2013年7月27日。世話になった山中湖の遊覧船「白鳥の湖」号を桟橋で見送り、警察犬協会エアデールテリア本部クラブ夏期大会の会場である山梨警察犬訓練所へ向かった。
この訓練所は、エアデールの繁殖を行っている数少ない訓練所で、グレイスの祖母は、この訓練所で生まれた。
遊覧船乗り場のそばの「旭日丘」交差点から3キロほど国道138号線を湖岸沿いに走ると、山中湖の西端に辿り着く。
その西端から約4キロ先にある「自衛隊入口」という交差点を右折し、自衛隊北富士駐屯地方向へ。北富士演習場が反対側にあり、ドーンという音が鳴り響いていた。
200メートルほど行くと、ビジネスホテル(自衛隊しかないようなところなのに…。名称にビジネスホテルとあるので…)のすぐ手前の細い道に訓練所の立て看板があり、左折してその細い道に入って暫く行くと訓練所に着いた。
参加受付(出陳、出場等の料金支払い等)が済んで、暫くすると開会式が始まり、参加犬全頭と参加者全員での記念撮影やシニア犬等の表彰など。参加犬の紹介は、来場している全頭を紹介するということで、本部テント前に順に呼び出され、審査会や訓練競技会に出ない犬たちも紹介された。
本部クラブの行事が数年間も休止されていたり、審査会に出陳される頭数が少なくなっていることもあり、参加犬が少ないと再開に努力された方々に申し訳ないような気がして、少しでもお役に立とうと競技会を離れて久しいグレイスを無理矢理に復帰させて参加したのだが、余計なお世話だったようで(笑)、参加頭数は56頭、参加人数は90名だったとか。
それが済んで暫くして、審査会(警察犬協会では展覧会=ドッグショーを審査会と呼ぶ。但し、各警察本部が行う嘱託警察犬の審査会=採用試験と紛らわしいので、日常的には展覧会と称することが多い)が開始された。
http://www.policedog.or.jp/shinsa/shinsa.htm
個体審査が済み、比較審査が幼犬クラスから始まり、若犬牝、若犬牡、未成犬牝、未成犬牡、成犬牝、成犬牡の順で進行される。
幼犬クラスが、見ていて一番おもしろい(笑)。何せ、仔犬だから色んなことしてくれちゃうので…。
その幼犬クラスは、月齢で区分されていて、生後3〜6ヶ月未満(幼犬特組)、6〜9ヶ月未満(幼犬小組)、9〜12ヶ月未満(幼犬大組)の3クラスに分けられ、さらにそれぞれ牡と牝に分けられている。
幼犬たちが観客を楽しませてくれる(笑わせてくれる)仕草や行動も審査という観点からは、マイナスなのでハンドラーは大変だけど(笑)。
今まで、審査会の様子を書いたかことは無かったと思う。当然、画像は添付したことが無かったが、グレイスが行事から完全に引退したことや不治の病に罹患したこともあり、回想するということで残しておくことにする。
自分だけで行事に出るので、ビデオカメラを適当な位置に置き、録画しっぱなしにして広い範囲を撮影する為、どうしても被写体が小さくしか撮れないが、後で自分や犬がどんなだったかは分かるので面白い。
まず、ゼッケン(ハンドラーが胸に着けている番号が書かれた布)の数字が小さい順に並び、立止(ジャパンケネルクラブ=JKC等の一般的なドッグショーではステイ、スタック=セットアップかな)での審査、審査員の指示で常歩(普通に歩く)でスタート。
警察犬協会の審査会では、陸上競技のトラックのような形に(線が描かれている)、左回りで周回する審査がメイン(一般的にはラウンドと呼ばれる審査)。
約半周すると審査員の指示で速歩(人間は駆け足、犬にはギャロップさせない…今回はリンクが小さいのでスタートからスグに感じた)でグルっとスタートした位置まで。
スタート地点で再び立止した時に、前の犬と後ろの犬(グレイス)の順を変える審査員の指示があり、グレイスが先頭を走ることになった。常歩でスタートしたが、2〜3歩行ったあたりで速歩の指示があり、速度を上げた。
ヤバい!グレイスは何を勘違いしたのか、私の脚に密着し、なおかつ頭を私に向けて脚側行進しだした。
このままグレイスの頭脳が競技会モードで、私が停止したらグレイスは「指示無し停座」してしまうだろう。姫路支部主催の展覧会に幼犬クラスで出た時に、グレイスは指示無し停座してしまい、審査員から「訓練もチャンとできてますね」と笑顔でジョークを頂いたことがある。
そんな時は、パッと止まらず(犬が即座に反応してしまいがちなので、それを防ぐ)、ゆっくりというよりもダラダラと止まりながら、最終手段として「立って待て」と声符で指示するしかない(笑)。
この画像↓をよくみると、思いもよらない審査員の指示で隣にいる犬の横を通って前へ出ることになり、立止時に右手で握っていたリードを歩きながら左手に持ちかえ、手のひらの中で折り畳みながら握り直し、うっかり下げてしまった手を左大腿部に近付けた動作が、「ツケ」(脚側行進等)の指示だとグレイスが受け取ってしまったようだ。
後ろの犬には悪いけど、速度を上げて脚側行進ではない速歩(単なる躾の悪い犬のように?自分勝手に?前進する感じ)に切り替わるように刺激を与えた。
何とか、普通に?戻せた。ここらへんが、ショードッグではなく服従訓練が入っている犬の扱いの難しさだと思う。
ショードッグには絶対教えない「指示無し停座」の覚えたての頃には、動いている状態から停止すると犬が座ってしまい易いので細心の注意がいる。「指示無し停座」とは、脚側行進中に停止したら犬が自ら判断して停座(座ること)することで、それができるように訓練する。
これぐらいのことができないと最上の警察犬訓練資格が取得できないかも。「指示無し停座」は、単なる服従作業の一部に過ぎず、警察犬の仕事は服従ではないので…。
競技会や取得テスト(訓練試験)では減点されるだけなので、現実的には「指示無し停座」ができなくとも他の項目(作業)の減点が大きくなければ合格はするだろうけど…。
その資格が取得できないということは、警察犬の日本一を決める競技会にも出ることができない。
脚側行進は、犬がハンドラーの左脚(警察犬協会では指導手=人間の左側に付かせる)に引っ付いて歩くように訓練し、競技会では順位を決めなければならないこともあり、少しでも離れば減点されることが予測されるので、指導手の進行を妨げない限りは密着しているのにこしたことがない。
犬に脚側行進されてしまうと、ハンドラーの脚に引っ付きながらハンドラーの進行方向に注意して犬がついて行くので、犬が遅れ気味になったり、頭をハンドラーに向け気味になったりする。犬は努力してハンドラーが進む速度に合わせるので、その犬種本来の歩様では無くなってしまう。
速歩のまま1周したあたりで審査員から、「アップアンドダウン」の指示。
アップアンドダウンとは、真っ直ぐ歩いたり走ったりして、「行ったり来たり」することだが、審査員が前と後ろからシッカリと見る為に…。今回の審査員は2名。
アップアンドダウンを行った位置から、再びリンクを常歩で回り出した。審査の結果が出たようで、審査員の一人が本部テント前で係員にメモを手渡した。
ゼッケン8番のグレイスがチャンピオンに決定したとの場内放送があり、審査員からチャンピオンの証に何か頂いたが…。
「それナニ?オヤツ?」
ダメだよ。撮影係の方が、カメラ構えてるんだからチャンとしなきゃ…。
「このニオイはタベラレナイな」
ほら、チャンとしないとシャッターボタン押せないってば!
大会本部テントからの場内アナウンスで促されたウイニングラン(用済みのモノを追い出して進行を早める為にかな?審査会場の出口へ向かって最後のひとっ走り=終わり)なのだが、状況が理解できないワンコのグレイスは、「暑いのに…また詰まらんことをやるんかい(泣)」ぐらいの心境かな(笑)…。
このあと、最後のプログラムである成犬牡の審査が行われた。
賞状や記念品等の授与(各々ゼッケンと引き換えるだけで式典はない…以前はチャンピオンにはトロフィーだったが、今回はエアデールのシルエットが彫られたティースプーンセットだった)が終わり、明日の予定や今夜の懇親会についての説明があり、この日の予定は無事に全て終了し、一旦解散した。
懇親会まで時間があるので、貸し別荘に戻ることにした。
懇親会の会場は、犬の同伴ができないのでグレイスには気の毒だが留守番をしてもらうことに。グレイスに夕食を与えて、人間だけで懇親会の会場へ。
会場は、訓練所から北へ約1キロほど行ったところにあるレストランが貸し切られていた。貸し切りでなくても、夏期大会の参加者で満席になり、必然的に貸し切りなのだが(笑)。
すぐそばに「さかな公園」があり(
http://www.vill.oshino.yamanashi.jp/docs/2013032200032/ )、公園内に山梨県立富士湧水の里水族館等がある。
「忍野八海」(
http://www.oshino.jp/spot_8lakes.php )は、そこからさらに約1キロのところにあるが、残念ながらスケジュール的に行けなかった。
そのレストランが、本日貸し切りの表示をしていないものだから、貸し切りを知らないお客さんの車が駐車場へ入って来て困った。
何分、車の数が多く、ツメツメに詰め込んで、最後尾の車が移動しなければ他の車は出られないという停め方でないと全部収まらない状態だった(笑)。
懇親会の終了後、貸し別荘へ戻り、グレイスに庭で排泄を兼ねた自由運動をさせたり、明日の競技会に備えて臭気選別の練習をして、この日の予定は終了。
グレイス、今日は暑い中、朝から晩までご苦労さん。
夜は窓を締め切ってもエアコンが不要なぐらい涼しいので、ゆっくり休んでちょうだい。
つづく…
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