mixiユーザー(id:4997632)

2015年05月09日21:36

1036 view

食料自給力とは何か その背景を考える

 日刊ベリタ記事の転載です。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201505091428226






Full Text
2015年05月09日14時28分掲載  印刷用

農と食

食料自給力とは何か その背景を考える


 農水省が食料自給率の達成目標を引き下げ、その代わりに自給力という考え方を出しました。聞きなれない言葉ですが、どういう意味なのでしょうか。背景を追っていくと、軍事安保とも絡むきな臭いにおいも漂ってきます。(大野和興)


 日本の食料自給率はカロリーベース(国民が摂取するカロリーのうち国内生産の割合)でみて39%と先進国といわれる国々の中でも最も低い水準にあります。これを50%に引き上げるというのが、政府の目標でした。

 しかしいつまでたっても39%水準から上がらないことから、政府は今年3月31日に閣議決定された「農業・食料・農村基本計画」で、目標を45%に引き下げ、あわせて新しい考え方として打ち出したのが「自給力」という考え方です。

 農林水産省の説明によると、自給力というのは国内の農地など農業資源をフルに活用した場合、どのくらいの生産能力を持つかを評価したものです。農水省はこれを「潜在生産能力」といっています。なぜ、こんな考え方を打ち出したかといいますと、農地には食料だけでなく花や植木なども栽培されています。そうした農地も食料生産に使うというのが前提です。

 潜在生産能力を生かしたら、どのような食生活が可能かも農水省は提示しています。いくつかのメニューがありますが、基本は「コメ・小麦・大豆の基本穀物中心」と「イモ類中心」の二つにわかれます。それぞれのメニューごとに摂取できるカロリーが示されており、もっとも多いのが「イモ類中心」のメニューで1日1人当たり2754キロカロリーとなっています。相当の重労働に耐えられる熱量です。

 政府はなぜこんな考え方を打ち出したのか。その背景を探っていくと、かなりきな臭いにおいがします。潜在生産能力なるものが必要になるときとはいかなる状況のときか、を考えると、それは見えてきます。日本が戦争状態に入り、海路は閉ざされ食料が海外から入ってこなくなったときを想定しているとしか考えられません。世界がこれだけグローバル化している時代、平和が保たれている状況でイモ中心の食生活など、いまではありないからです。

 折から安倍政権はさまざまの軍事法制度の創設、さらには憲法改正を政治日程に組み入れ、「戦争する国」への道をまっしぐらに進んでいます。今回、閣議決定で打ち出された食料の「潜在生産能力」という概念は、軍事の安全保障と食料の安全保障を重ね合わせた考え方であり政策であるといえます。

 アジア太平洋戦争ただ中の時代、畑に花を植えていた農民は「非国民」と非難され、花の種や球根が軍の命令で焼き捨てられたことがありました。花を引き抜いた後にはイモを植えさせられました。「自給力」は、そんな時代が来ることを暗示しています。



1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年05月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31