mixiユーザー(id:2438654)

2015年05月09日12:45

299 view

Hamburg Ballet: Romeo and Juliet


2015/5/2土、5/3日、5/6水 19時〜 ハンブルク州立歌劇場

Ballet by John Neumeier after William Shakespeare

5/2
Juliet: Cojocaru as Guest,
Romeo: Trusch
Mercutio: Bubenícek,
Tybalt: Jung,
Benvolio: Libao
Lady Capulet: Laudere,
Lord Capulet: Urban
Count Paris: Bellussi,
Rosalind: Lin,
Brother Lorenzo: Riva
The Nurse: Drower
Conductor: Markus Lehtinen
Hamburg Philharmonic State Orchestra

5/3
Juliet: Mazon,
Romeo: Bellussi
Mercutio: Azatyan,
Tybalt: Franconi,
Benvolio: Amuchástegui
Lady Capulet: Vracaric,
Lord Capulet: Pohl
Count Paris: Lenz,
Rosalind: Heylmann,
Brother Lorenzo: Jubete
The Nurse: Drower
Conductor: Markus Lehtinen
Hamburg Philharmonic State Orchestra

5/6
Juliet: Bouchet,
Romeo: Trusch
Mercutio: Riabko,
Tybalt: Franconi,
Benvolio: Tselikov
Lady Capulet: Vracaric,
Lord Capulet: Pohl
Count Paris: Ballone,
Rosalind: Heylmann,
Brother Lorenzo: Riva
The Nurse: Drower
Conductor: Markus Lehtinen
Hamburg Philharmonic State Orchestra

ノイマイヤーの70年代の作品、ロミオとジュリエット。今回メインキャストが3パターンあったのですが、GWを利用して現地で一気に観てまいりました。キャストによって印象がかなり違い、面白かったです。

星1ちなみにこの作品自体をハンブルクバレエで初めて観たのは昨年でした。そのときのキャストはジュリエットにコジョカル、ロミオにEdwin Revazov、感想はこちら。http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1929414636&owner_id=2438654

5/2はゲストダンサーのコジョカルと一番若い男性プリンシパルのAlexander Trushの組合せに、マキューシオがオットー・ブベニチェク。これが実質ファーストキャストということになるのでしょうか。

コジョカルのジュリエットの役作り、昨年観たものとかなり変わっていました。昨年はマクミラン版とそれほど変わらないと感じましたが、今回のはジュリエットの幼さを強調していたのかな?動きがパタパタしてて、常にテヘヘと笑ってて、ずっこけるシーンもコントみたいにお見事。30代半ばであの可愛さは反則でしょう…。ハンブルクの観客も熱狂的な賞賛を送っておりました。ただ個人的にはこの役作り、少しガキっぽ過ぎるのでは?と。まあこのあたりは好みの問題だと思います。彼女のチャレンジ精神は素晴らしいです!

ロミオ役のTrushは次の時代を担う若手プリンシパル。踊りもノーブルでテクニックもあり、お顔も王子向き。とってもみずみずしいロミオでした!いいねえ。

二人の相性は、今回を見る限りはまずまずといったところ。二人とも我が強いキャラクターだったので、若干、恋に恋する二人がお互いの妄想の中の相手に恋をしたという風に見えてしまい、運命の相手というところが見えにくかったかな。この組合せでのロミジュリは確かこれが2日目のはず、回数を重ねればもっとケミストリーが働くようになるのかもしれません。昨年東京で観たティアゴとエレーヌの素晴らしいカップルと比べるのは酷ですね。

さて影の主役マキューシオのオットー。チョイ悪でエロくて、この人だけ完全に別次元の圧倒的な威圧感!ティボルト役のカーステンも堂々とした存在感でしたが、それを手のひらで転がしてる。オテロのイアーゴのときも思ったのですが、こういう役やらせると上手すぎて、今のハンブルクの素朴な若手達では受け止めきれないですね…。演技だけでなく踊りも見事でした。彼の動きはこういうクラシカルな振り付けでもコンテのニュアンスがあってとっても好きです!

5/3はまだコールドのEmilie Mazon(ジジ・ハイアットの娘)とJacopo Bellussiのフレッシュな組合せ。Emilieはジジに似たファニーフェイスの風貌で舞台上での存在感も際立ったものがあり注目していたのですが、このたびジュリエットにデビューしました。私が観たのは彼女の2日目にあたり、1日目よりかなり進化していたとのことですが、この二人凄くよかったです!

踊りは、そりゃコジョカルとTrushに敵うわけがないわけですが、二人とも恐らく重責を果たそうというのもあったのでしょう、必死で役を生きようという様子が伝わってきました。何より褒めてあげたいのはJacopoくん!彼はテクニックに秀でているというわけではなく、恐らくルックス採用(ごめんなさい!)。演劇的なノイマイヤー作品は役に似合うかどうかがキャスティングの重要な一面であり、特にロミオやジュリエットは踊れれば誰もが演じられる役ではないのが現実。でも彼の、ひたむきで優しくて振りの一つ一つが全てジュリエットに向かっているような演技を観ていたら、踊りが絶品でなくても彼をキャスティングしたことに納得がいく気がしました。特に1幕はみずみずしくて素晴らしかったなー。若い人のロミジュリは、やっぱり年齢が近い人にしか出せない臨場感があるなあと思います。

マキューシオ役は今シーズンからハンブルクに移籍してきたばかりのKaren Azatyan。彼は凄く基本に忠実できれいな踊りをするダンサー。生真面目なイメージの彼がどういうマキューシオを演じるのか興味津々でしたが、みんなの世話をよくやく優しい兄貴分といった感じでした。で、その彼を殺されてロミオが激昂するというのに説得力が出てくる。でも、彼のロミオが観たいなあ。似合うと思うんですがね。

2日あけた5/6はジュリエットにエレーヌ、ロミオにTrush、マキューシオにサーシャ・リアブコというハンブルクオリジナル鉄板キャスト。実はこれを観るのがハンブルク遠征の第一の目的でした。

一番感動したのはエレーヌのジュリエット!彼女は私の大好きなダンサーで何を観てもよいと思うことが多いのですが、このジュリエットの役作りも素晴らしかった。ジュリエットって、ロミオに対する気持ちはシンプルですが両親やパリスに対する演技をどうするか、も作品全体の完成度を上げる重要な要素だと思います。彼女のジュリエットは両親を尊敬しながらもその厳格さに従うことがうまくできず、自分の失敗を微笑みとともに許してくれたロミオに恋をするというストーリーが見えて、うーんさすが!と思いました。パリスとのことも、家の都合と自分の感情に引き裂かれるという文脈に見える。これは、他のキャストからは見えてこなかった。エレーヌ様、さすがです。

エレーヌのジュリエットは、他のキャストより少し大人で周囲の状況を配慮しなければという受容的な部分があるのだと思います。そういう少し受け身のジュリエットに対して若気のいたりで猪突猛進の純粋なTrushロミオはよく合ってたように思いました。背がほとんど変わらないのによく頑張ったね、Trush君!彼、リフトやサポートも本当に上手くなったなあ。

さて、サーシャ・リアブコのマキューシオ。想像してたのと全然違って、かなりコミカルな味でした。彼のマキューシオはムードメーカーのお調子者。ティボルトへの挑発もオットーのように見下してるわけじゃなくてすべてジョーク。特筆すべきは娼婦と絡んでもあんまり興味なくて、すぐロミオとベンヴォーリオの様子を気にしちゃうところ。このメンツでつるんでるのが楽しくて、ロミオに対しても劇中劇でジュリエットとの恋愛の危険性を警告してたというのが初めて分かりました。役柄の軽さと呼応するように、難しいステップがいっぱい入ったマキューシオのソロも軽々と踊ってたなー。いつも思うけどこの人、振りを本当に正確に踊るなあ。しかもそれがちゃんと演技の一部になってる。凄い。

その他のキャストで印象的だったのはAnna Laudereのキャピュレット婦人。彼女、今度バレエフェスにEdwinとともに来ますけど、コンテっぽいものは凄くいいです。何だか存在感があるんですよね。あとはイヴァン・ウルバンがとても久々に怪我から復帰してキャピュレット公を踊ってたのが嬉しかった。彼も役者としてこのバレエ団にかけがえのない存在。それとベンヴォーリオではEmanuel Amuchásteguiがよかったなー。彼、凄く小さいけど小気味よい綺麗な踊りをします。そして顔が可愛い。背丈で損をしてると思いますが、今後いい役がつくといいなあ。

日本人女性ダンサーも大活躍。ソリストの大石さんは旅芸人の女ボス(?!)で目立ってたし、有井さんと石崎さんもコールドの中でいいポジションにいました。来年3月の来日が正式に発表になったハンブルクバレエですが、彼女達の活躍にも注目が集まるといいなーと思います。残念なことに大石さんは今シーズン限りで退団されるとのことですが、彼女は振付家としても活躍してきたし、今後の動向に期待したいところです。

そうだ。ノイマイヤーのロミジュリではパリスが死にません。いつもパリスを殺す必要はないよねー可愛そうに…と思ってしまうので、例え原作と違ってもそちらの方が救われる感じがして好きです。
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する