mixiユーザー(id:13668040)

2015年05月08日19:23

586 view

『ウェスタン』(セルジオ・レオーネ)・『悲しみよこんにちは』(オットー・プレミンジャー)再見

再見の映画ばかりで、新鮮味がないかもしれないが、再見してもやはりそれなりに見るべきところがあったので、少しだけ日記で紹介させていただきたい。

●『ウェスタン』(セルジオ・レオーネ)
言わずとしれたマカロニ・ウェスタンの傑作だが、アメリカでセルジ・レオーネが撮った傑作と言いなおしたほうがいいかもしれない。話の先を見せないように、じりじりと映像で見せていく。見せ場はいちいち上手く作っている。場としては、最初の駅で汽車(だれともしれない男)を待つ3人のロングコートを着た悪漢と時間の経過を感じさせる、風見鶏の音の演出、水滴やハエの演出などすばらしい。一度、なーんだ誰も降りてこないじゃないか、と思わせといて、線路をはさんでの決闘が一瞬のうちに終わる・・・。もうすきがない演出。これで終わらず、ジョン・フォードの初期を踏まえた西部へと線路が延びて行く開拓時代の話が舞台で、CC(クラウディア・カルディナーレ)が出ている。いきなり彼女が列車で着くと誰も迎えにきていない。仕方なく馬車で目的の家族のもとへ向かうが・・・。これがこれが。

話もとてもおもしろいが、話の運びもすばらしいし、いちいちの演出がきまりまくっている。群像劇にはちがいないが、私は今回見て何よりも配役上ですばらしいと膝を打ったのは、ジョン・フォードの映画をちゃんと見ている人にしかできない配役、権力を傘に悪役を演じる役をヘンリー・フォンダにやらせていることだった。ジョン・フォードと途中で仲たがいしたこの俳優は、フォードは後半きまって権力のほうについて働く役をやらせていた。それは長いフォードの映画の歴史の中で最初からではない。最初はリンカーン役を彼に負わせていたし、また『怒りの葡萄』の役を見よ、そうではなかったはずだが、途中からそうなっていった。そして、以前ならヘンリー・フォンダがやっていた役を、ジョン・ウェインがやり始めた。どこあたりかといえば、騎兵隊三部作(『アパッチ砦』、『黄色いリボン』『リオ・グランデの砦』)の辺りである。

これはセルジ・レオーネがいまだにすぐれた映画監督であり、映画の歴史を踏まえた配役と演出ができる人だったという証左だと私は考える。またエンリオ・モリコーネの音楽に合わせて、映画の構成を考えるというから、この人は変わった人だともいえるが、音楽はやたらに感傷的で叙情的で甘いけれども、悲劇が背景にあるので、とてもいいマッチングをしている。

今度ひさしぶりに『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を見てみたいと思う。

●『悲しみよこんにちは』(オットー・プレミンジャー)
この監督さんには以前からとても惹かれている。何よりもこの映画を見ようという気にさせるのは、監督さんの腕前を見るためではなく、それはきまって「ジーン・セバーグ」というゴダールの『勝手にしやがれ』以前の出演作を見るためであった。短髪が相変わらずしばらしい。クラさを隠せない、明るさへと振り切れない感じの存在感が、この時代をやはり映していたといえるかもしれない。原作のサガンはプチブルの家族の話で全然よくないわけであるが、そんなことは最初からわかっているわけで、そこを見て楽しむ映画ではないだろう。

回想シーンはカラーで(よき時代として)、現在をモノクロで暗く描くように撮っている。このカラーの撮影がすばらしい。色がいいなと思う。

6 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する