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2015年05月07日01:50

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製菓隊(せいかたい)

いきなりですが、製菓(お菓子作り)を趣味とする人間にとって一番気にすべきことは、どんな材料を常備しておくのか、という点です。

おおむね趣味事は一度踏み込むと抜け出せない沼のような世界が広がっているものですが、製菓の沼は相当ネバイです。

まず第一に素材が食品で腐ります。腐る趣味は数あれど、リアルに腐るのでたちが悪いのです。
例えばA、B、Cという材料を買ってそれぞれちょっとづつ余りました。その余った材料を睨んで次に作るモノを決めます。次はB、C、Dが必要なのでDを買い足し、Bは使い切りましたがCは先に余った分では足りないので買い足す羽目になり、結局A、C、Dが残ります・・・ってなループが無限に繰り返されます。


私が年末にシュトーレンを大量に作るのは、古い材料を一度使い切って1年以上前の材料は残さないようにしている、という面もあります。とくに洋酒方面は自分がお酒飲めないので日常で消費されず、1回で大さじ1杯とか使ってても全然減りません。

なら小分けの材料を買えばいいじゃないかってことで、100均の製菓コーナーは昔に比べて充実してきましたよね。あれはホント便利!!


・・・じゃないです。

割高すぎます。
例えば1kgで2,500円程度のアーモンドプードルが100均だと20gぐらいしか入ってないんですよ。ほぼ倍です。
いや、回転率がそんなに高そうに思えないので、廃棄などを考えると妥当な値付けだと思うんですが、あれはバレンタインとカレシの誕生日だけ製菓をする人向けです。
あと、ナッツ類とか透明の袋に入って吊り下げられてますけど、直射日光ではないにせよ光で劣化してますよ?


以上が前フリです。
つまり製菓を趣味とする製菓隊(せいかたい)にとって、どんな材料を備蓄し、そしてどう管理してローテーションしていくのか、そこが製菓技術よりも大切なんだと私は声を大にして言いたい。貯蔵庫は有限で賞味期限は待ってくれません。毎日製菓しているプロと、週1〜月1程度のアマとの大きな違いです。
尚、子供の毎日のおやつを手作りしちゃうカントリーマム的なヒトはちょっと別働隊ってことで。

さて備蓄材料に話を戻すと、どの材料でプロサイズに手を出すか、がポイントです。
自分の製菓の傾向は探究型なので、一度テーマを決めるとレシピや手順をちょっとづつ変えながら同じものを作り続けます。なので比較的プロサイズに手を出しやすい環境ですが、一応決めている保存場所に入りきる分としています。

自分がプロ用サイズでお勧めするのはチョコレートとアーモンドプードル、レーズン、とクルミです。

・チョコレート
スーパーの製菓コーナーでは製菓用のチョコはまず扱ってないので、板チョコかバレンタインの時期だと割チョコですね。板チョコ1枚が50gで80円とすると1kg1,600円。
私が使っているのは冨澤オリジナルのフレークタイプのものですが、1kg入りで1,900円前後です。
安くはなってないですが製菓用のカカオ分が50%以上のものですから仕上がりは全然違います。そしてフレークタイプということで1cm角程度のチップ状にされたものがシリアルのように大袋にざらざらと入っているので、テンパリング(調温)する前にチョコを刻んで〜というひと手間が要らないのも大きいです。
輸入物の製菓用チョコは1kgの塊かタブレットタイプですが、タブレットタイプも大きいのでテンパリングするなら刻む必要があります。刻まなくて良さそうな製菓用チョコは冨澤一択だったのですが、最近クオカでもオリジナルでダイスタイプを出してきました。まあ、日本にはものぐさな製菓隊が多いってことですね。
最後に重要なこととしてよほどひどいことをしない限りチョコは劣化しません。
つまり沼の中ではかなり浅い方です。

・ドライフルーツ
乾物(ドライフルーツ)は保存食ですからそうそう痛みません。
中でもレーズンは汎用性に優れています。酸っぱすぎない酸味が甘いお菓子の味のアクセントになるのはもちろん、甘くないお菓子にちょっと甘味を付けるのにも使えます。甘味と酸味のバランスが他のドライフルーツの追従を許しません。
ただし色が黒です。フルーツケーキで断面をポップにしたいなら、グリーンレーズンとクランベリー、オレンジピールあたりの組み合わせをお勧めします。
種類が多いので全てプロサイズだとしんどいですが、レーズンは頻繁に出番があるのでプロサイズがいいですね。
種類が多いので調子に乗って色々取りそろえるあっという間に破たんする罠がありますが、レシピが「適量」だったりするので「ちょっとだけ余る」とか「ちょっと足りないので慌てて買いに行く」といったことが起きにくい点でまだ"腰ぐらいの沼"と言ったところでしょうか。

・アーモンドプードルとナッツ類
アーモンドプードル(アーモンドを粉状に挽いたもの)は聖歌隊にとっては割とメジャーな材料です。スーパーの製菓コーナーにも高確率で100g程度の小分けがありますが、タルトなんかの焼き菓子中心なら1kgのプロサイズで買うことを検討してみましょう。ちょくちょく30gぐらいでレシピに入っていることが多いのですが、単価が高いこともあってレシピサイトだとアーモンドプードルなしのレシピが流行ってたりもしています。が、ちゃんと入れれば仕上がりのコクが違います。
但し粉末にして表面積を増やしているので、開封したらどんどん酸化していきます。2ヶ月程度で使い切りたいところなので、まさに沼の一番深いところにある悩ましい材料といえます。
私の現在の方針は、プロサイズで買って劣化する前にいろんなものに入れちゃえ、です。
水分油分を適度に含んだ材料なので、レシピになくてもコクが欲しいと思ったら他の材料の配合比率をあまり気にせずに30g程度をぱっと足してもそんなにおかしなことにはなりません。基本的に粉の量は減らさずに足します。
尚、常温で売っていますが開封したら空気を抜いて密封し、冷蔵庫のなるべく温度変化の少ないところです。空気に触れない事となるべく低温を維持して劣化を遅らせることが大切です。私は味が分かるほど劣化させたことはありませんが、酸化したアーモンドはかなりひどい味らしいです。

同じ理由でホールナッツ類も割と沼の深いところにあります。
そもそもアーモンドだけでも「ホールアーモンド」「アーモンドダイス(粒状)」「スライスアーモンド(薄切り)」「アーモンドプードル(粉状)」とさまざまあり、用途が違います。
さらにクルミ、マカダミアナッツ、ココナッツ、カシューナッツなどなどナッツの種類もいろいろあるわけです。
これをプロサイズで買ってしまうと、余らせて戸棚に仕舞い込みはや半年・・・なんて事故が頻発します。
そう、ナッツ類が食べられないほど腐るのはだいぶ先ですが、多く含む油分が酸素に触れて酸化し、日光で劣化します。たちが悪いのはどのぐらい放置するとヤバいのか、目安があまりないことです。ですから、「はや半年・・・」を「でもいいか」で使ってしまい「全てが台無しに」という大惨事もまた頻発するわけです。
一部の菓子レシピは劣化しやすいナッツを酸素や日光から守るために糖衣やチョコでコーティングして長期保存するという”目的”から発生したと私は思っています。
その製菓の為にホールナッツを未加工で備蓄する。何とも矛盾した行為です。
なのでホールナッツ類はあえて備蓄せず、スーパーのおつまみコーナーにある本来は製菓には使用しない味付きを買ってくるというのも手です。余った分は味付きなのでそのまま食べるわけです。もちろん製菓に使う分に味が付いているとアレですから、一度洗って味を落とし低温のオーブンで乾燥がてら乾煎りします。
というわけで私が備蓄するのはクルミ1種だけに絞ってます。
いや、単純に好きなものでいいんですが、クルミは適度に柔らかく表面がデコボコしていて生地に混ぜると絡むので切り分けの作業性が良いことと、ホームベーカリーで食パン作るのにクルミパンは美味しいけどアーモンドパンはないですよね。
私はホールで考えるとアーモンドよりクルミの方が汎用性が高いと思っています。

以上の材料を備蓄し、作りたいレシピをこの材料に合わせて適当にアレンジして今日も製菓するわけです。そしてこのアレンジが新しいレシピを生み出していく。
アレンジしてオリジナルレシピにしたいからアレンジするのではありません。備蓄材料を増やさず手持ちでやりくりするなかで必然的にアレンジはある。そしてその手助けとしてクックパッドなどのレシピサイトある大量のレシピとその検索が力を発揮するわけです。

基本的に製菓とは「保存食作り」だと思ってます。
短い期間に大量に採集されそのままでは長期保存できない果物類を、多少劣化しても美味しく食べられるように甘く味付けし、また脱水・被膜加工によって保存食とする。
肉に胡椒、果実に砂糖です。

製菓とは腐るということと切っても切れない関係にあります。
腐ってこそ製菓!
ようこそ腐沼広がる製菓の世界へ!!
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