mixiユーザー(id:5141166)

2015年05月06日19:57

874 view

【皇陵】裏口推薦?「百舌鳥・古市」世界遺産登録運動の不明朗

 仁徳天皇陵・応神天皇陵・仲哀天皇陵などの皇室御陵墓を主体とする、いわゆる「百舌鳥・古市古墳群」のユネスコ世界文化遺産登録を目指す地元自治体(大阪府・堺市・羽曳野市・藤井寺市)は、登録機運醸成のためと称して、学者等を招いたシンポジウム等の開催を随時行っています。

 ところがこれらシンポジウムは、単に「専門家を招いて話しを聴く」といったレベルにとどまらない大きな問題をはらんでいます。

 すなわち、登壇者として招聘される人物に、世界遺産推薦候補の国内における選考に公的権限を持つ者が多く含まれ、こうした人物に登壇者としての謝礼・旅費等の名目による金銭を公金から支出することは、“裏口推薦”的な不明朗さを孕むものではないかと思われるのです。

 そこで、昨年十一月と今年二月に開催されたこうしたシンポジウムに関して、一部登壇者への公金支出についての情報公開を請求していましたが、このたび行政文書の一部公開を得られましたので報告します。


<strong>国内選考の重要性</strong>

 先日、ユネスコ世界文化遺産への登録を目指している「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」について、ユネスコの諮問機関・イコモスが、登録にふさわしいとする「記載」勧告を行ったとの報道がありました。来月ドイツで開かれるユネスコの世界遺産委員会での審議を経て、登録されることになるでしょう。

 「明治日本の産業革命遺産」については、ユネスコへの推薦を決める国内での選考に際し、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」との争いが話題になったこともありましたが、その「長崎の教会群」についても今年、日本政府からユネスコへの推薦が行われていますので、いずれ登録されることになるでしょう。

 過去に日本政府がユネスコに推薦した世界文化遺産の登録候補は、現時点での唯一の例外「武家の古都・鎌倉」を除き、多少の曲折はあるにせよ登録に至っています。

 曲折があったものとしては、「石見銀山遺跡とその文化的景観」は、イコモスから「記載延期」勧告を受けましたが、日本政府の猛烈なロビー活動により、世界遺産委員会で逆転登録、「平泉―浄土思想を基調とする文化的景観」は、イコモスの「記載延期」勧告を世界遺産委員会でも逆転できず、三年後に「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」として推薦し直したうえで、登録を実現しています。

 日本政府が世界文化遺産候補として推薦したものとしては唯一イコモスから「不記載」勧告を受けた「武家の古都・鎌倉」は、世界遺産委員会で「不記載」が決議されると二度と推薦できなくなることから、その前に推薦を取り下げ、現在も再推薦に向けて準備をすすめています。

 ユネスコ世界文化遺産への登録を実現するためには、日本政府が一年に一件ずつユネスコに推薦する登録候補に、国内での審査で選ばれることが最も決定的であるとともに、最も難関であるともいえます。

 現在、日本国内で世界文化遺産候補とされる「国内暫定リスト」には、十一件が記載されています。このうち「明治日本の産業革命遺産」「長崎の教会群」「国立西洋美術館・本館」については、既にユネスコへの推薦が行われています(「国立西洋美術館」は「ル・コルビュジエの建築と都市計画」の構成資産として、フランス政府の推薦枠で推薦)。「百舌鳥・古市古墳群」を含む残り八件が、「一年に一件」の政府推薦候補の座をめぐってしのぎを削っているのです。

<strong>誰が選考するのか</strong>

 その「一年に一件」日本政府がユネスコに推薦する世界文化遺産登録候補は、文化庁(文部科学省の外局)によって選定されますが、実際の審査は、文科省の諮問機関である<strong>文化審議会</strong>の<strong>世界文化遺産・無形文化遺産部会</strong>で行われます。

 <strong>文化審議会</strong>の<strong>世界文化遺産・無形文化遺産部会</strong>の中には<strong>世界文化遺産特別委員会</strong>が置かれ、さらにその中に<strong>推薦候補選定小委員会</strong>が置かれています。こうした場に集う大学教授などの「有識者」「専門家」が、学術的・専門的かつ公正・中立な立場から審議を行い、ユネスコへの推薦候補を選考する…というタテマエになっています。

<strong>選考委員の抱き込み工作</strong>

 「百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産登録を推進している地元自治体は、大阪府・堺市・羽曳野市・藤井寺市であり、この四者で「百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録推進本部会議(以下、推進本部会議)」という組織を作っています。

 推進本部会議や個別の自治体は、登録実現に向けた様々な催しを行っていますが、その中心的なものとして、「専門家」「学者」を招いたシンポジウムがあります。

 ところが、こうしたシンポジウムに基調講演者やパネリストとして招聘される「専門家」「学者」に、上記の<strong>文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会、同世界文化遺産特別委員会、同推薦候補選定小委員会</strong>の委員として、公的権限をもって政府推薦候補の選考を行う立場の人物が多数含まれています。彼らには公金から謝礼や旅費といった名目の金銭が支払われています。

 言ってみれば、受験生が志望大学の試験官に家庭教師を依頼するようなもので、“裏口推薦”を期待したきわめて不明朗な行為なのではないでしょうか。

<strong>情報公開請求</strong>

 そこで、最近開催された下記二件のシンポジウムについて、政府推薦候補の選考に公的権限を持つ一部登壇者について、大阪府(推進本部会議の事務局)と堺市に対し、謝礼・旅費等の名目で支出された公金の金額が記載された行政文書の公開を請求しました。

<strong>■第4回百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録推進国際シンポジウム</strong>
 主催:推進本部会議、平成26年11月24日に四天王寺大学大講堂(羽曳野市)で開催
フォト フォト
<strong>○岡田保良 国士舘大学イラク古代文化研究所所長</strong>
(基調講演者・パネルディスカッションパネリストとして登壇)
 文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会世界文化遺産特別委員会委員
 同 推薦候補選定小委員会委員

<strong>○和田晴吾 立命館大学特任教授</strong>
(講演者・パネルディスカッションパネリストとして登壇)
 文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会世界文化遺産特別委員会推薦候補選定小委員会委員

<strong>○稲葉信子 筑波大学大学院教授</strong>
(パネルディスカッションパネリストとして登壇)
 文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会委員
 同 世界文化遺産特別委員会委員長代理
 同 推薦候補選定小委員会委員


<strong>■「百舌鳥・古市古墳群」魅力発信シンポジウム</strong>
 主催:堺市、平成27年2月2日に時事通信ホール(東京都)で開催
フォト フォト
<strong>○西村幸夫 東京大学先端科学技術研究センター所長</strong>
(パネルディスカッションパネリストとして登壇)
 文化審議会世界文化遺産・無形文化遺産部会長
 同 世界文化遺産特別委員会委員長
 同 推薦候補選定小委員会委員
 日本イコモス国内委員会委員長


<strong>公開された情報</strong>

 上記請求に対し、大阪府(府民文化部都市魅力創造局魅力づくり推進課魅力推進グループ)からは、部分公開決定が通知され、堺市(市長公室広報部市政情報課)からは、情報公開制度によらない情報提供により対応するとの通知がありました。

 公開された情報をまとめると下記の通りです。

---------------------------------

<strong>■第4回百舌鳥・古市古墳群世界文化遺産登録推進国際シンポジウム</strong>
(シンポジウムの前々日・前日に開催された「国際専門家会議」含む)

<strong>○岡田保良 氏</strong>

 謝礼金:75,200円(専門家会議9,600円×2日、シンポジウム56,000円)
 交通費:30,310円(関東圏から往復)
 宿泊費:67,000円(ハイアットリージェンシー大阪に3泊)
 合計額:172,510円

<strong>○和田晴吾 氏</strong>

 謝礼金:75,200円(専門家会議9,600円×2日、シンポジウム56,000円)
 交通費:1,970円(近畿圏内往復)
 宿泊費:52,000円(ハイアットリージェンシー大阪に2泊)
 合計額:129,170円

<strong>○稲葉信子 氏</strong>

 謝礼金:54,600円(専門家会議9,600円×1日、シンポジウム45,000円)
 交通費:30,130円(関東圏から往復)
 宿泊費:26,000円(ハイアットリージェンシー大阪に1泊)
 合計額:110,730円

※ハイアットリージェンシー大阪の宿泊料金は、11月21日が1室15,000円、22日・23日が1室26,000円。


<strong>■「百舌鳥・古市古墳群」魅力発信シンポジウム
</strong>
<strong>○西村幸夫 氏</strong>

 謝礼金:23,000円
 交通費:660円(関東圏内往復)
 合計額:23,660円

---------------------------------

 皇霊の永遠の静謐を奉護するため、御陵墓の世界遺産登録に断固反対します。
6 4

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する