mixiユーザー(id:13668040)
2015年05月03日21:33
1316 view
●美術館のはしご 日本画編 �ぁ惻穡佞班鸞次戞淵汽鵐肇蝓屡�術館）〜円山応挙を共通の友とした同時代の画家／沈銓ちんせん（沈南蘋しん なんびん）から学んだ技量と発揮されるユーモア
 |
美術館のはしごシリーズも最後になった。今回４つの美術館を「はしご」したが、規模といい中身といい最もすばらしいと思わせたのは、この『若冲と蕪村』の企画である。ベスト・オブ・ベストとどこかの美術館の企画にちなんでいうべきものだと思われる。そして、西洋絵画もすごいものがあるが、日本画のすごさは尋常じゃないなと、けっして国粋的な思想をもっているわけではない私であっても思ってしまう絵画体験をさせていただいた。
私たちは天才はいるんだなと思わせる人を各分野で本当にまれにだが知るきっかけを得る場合がある。今回そう思わせたのは、すでに世間での評価かまびすしい伊藤若冲である。与謝蕪村がだめだというのではない。彼は俳句の分野でもすごいし、絵の分野でもここまでやってしまうのだから、言うまもなく尋常な人ではない。ただ、伊東若冲の絵の才能は、博覧強記で、ぼかしの墨絵（モダンアートへも）から描写力をいかんなく発揮する色彩画まで、掛け軸から巨大な屏風絵まで、何から何まで自由にやってのける画才に恵まれていたに違いない。サントリー美術館で行っているこの企画で、鶏などの極彩色の絵画はそうたくさん来ているわけではないが、いろいろな側面が見えるようにさまざまな画を点数も多く集め、蕪村と対比させながら上手に見せている。
二人は直接付き合いがあったかどうかはいまだ不明らしいが、共通の友達は複数いて（円山応挙は有名）しかも通りをはさんで結構近所に居を構えていたらしい。また、長崎に来ていた沈銓ちんせん（沈南蘋しん なんびん）から学んだ絵画の技量を学んだ点でも共通点がある。持ち味は異なるが、ともにユーモアがある点では変わりはなく、いざとなればすごい絵をいくらでも描けた二人である。
以前「対決展」という企画があったが、久しぶりに思い出した。大作から見てみたい。左が若冲、右が蕪村だ。後の冨岡鉄斎は蕪村に学んでいることは間違いがない。若冲の陸海の巨大生物の対峙は、どこか前代の俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の「風神雷神図」の別バージョンを思わせる。日本で巨大壁画がない代わりに、屏風絵と襖絵があったのはとてもよかったと思う。しかも、移動が可能である点もすばらしい。
さて、今度は鳥だが、若冲は右？左？
ユーモアがより漂っているのが蕪村である。よって、落下していくマンガチックな右が蕪村、左が若冲だ。さて、次はどうだろうか。雪の中で耐えている黒い鳥を描いたのは？あるいはユーモラスな「寒山拾得図」を描いたのは誰？
正解は、左の黒い鳥が蕪村で、右の「寒山拾得図」の方が伊藤若冲だ。もうこれでわからなくなったのではないだろうか。
こちらが伊藤若冲。そして次のが与謝蕪村。
墨絵は省略の利いた抽象絵画へ一歩近づきユーモアを漂わせ、描写力を利かしたリアリズムの絵は対象を何処までも克明に浮き彫りにし、細部を浮き立たせる。
さらに、連作というか巻物レベルで展開した作品が両者にはそれぞれある。これも今回展示されており、ＮＨＫでも伊藤若冲の川くだりの図は紹介されていた。特別な手法で描かれており、黒いところが白くなる拓本式のやり方らしい。蕪村の方は言わずと知れた「奥の細道」の全文と挿絵の巻物である。
今回の展覧会で私たちが知るべきは、描き方の複数性と描く場所（掛け軸か、屏風か、巻物かなど）の複数性、そしてそれを乗りこなせる両者の技量の確かさである。硬軟も使い分けているところもにくい。ユーモアも忘れない、本気になると絵描きの鬼才が登場するといった具合で。
ただ惜しむらくは、伊藤若冲の鶏を初めとした極彩色のリアリズム絵画が少なめであったことだろうか。不満はこれくらいで、あとは相当に満足のいくものであった。はてさて、これでＧ．Ｗの美術館のはしごを外したいと思う。
そろそろ本についても何か書きたいと思う。
※お断り〜絵画の写真はネットの各所から引用させていただいております。
私たちは天才はいるんだなと思わせる人を各分野で本当にまれにだが知るきっかけを得る場合がある。今回そう思わせたのは、すでに世間での評価かまびすしい伊藤若冲である。与謝蕪村がだめだというのではない。彼は俳句の分野でもすごいし、絵の分野でもここまでやってしまうのだから、言うまもなく尋常な人ではない。ただ、伊東若冲の絵の才能は、博覧強記で、ぼかしの墨絵（モダンアートへも）から描写力をいかんなく発揮する色彩画まで、掛け軸から巨大な屏風絵まで、何から何まで自由にやってのける画才に恵まれていたに違いない。サントリー美術館で行っているこの企画で、鶏などの極彩色の絵画はそうたくさん来ているわけではないが、いろいろな側面が見えるようにさまざまな画を点数も多く集め、蕪村と対比させながら上手に見せている。
二人は直接付き合いがあったかどうかはいまだ不明らしいが、共通の友達は複数いて（円山応挙は有名）しかも通りをはさんで結構近所に居を構えていたらしい。また、長崎に来ていた沈銓ちんせん（沈南蘋しん なんびん）から学んだ絵画の技量を学んだ点でも共通点がある。持ち味は異なるが、ともにユーモアがある点では変わりはなく、いざとなればすごい絵をいくらでも描けた二人である。
以前「対決展」という企画があったが、久しぶりに思い出した。大作から見てみたい。左が若冲、右が蕪村だ。後の冨岡鉄斎は蕪村に学んでいることは間違いがない。若冲の陸海の巨大生物の対峙は、どこか前代の俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一の「風神雷神図」の別バージョンを思わせる。日本で巨大壁画がない代わりに、屏風絵と襖絵があったのはとてもよかったと思う。しかも、移動が可能である点もすばらしい。
さて、今度は鳥だが、若冲は右？左？
ユーモアがより漂っているのが蕪村である。よって、落下していくマンガチックな右が蕪村、左が若冲だ。さて、次はどうだろうか。雪の中で耐えている黒い鳥を描いたのは？あるいはユーモラスな「寒山拾得図」を描いたのは誰？
正解は、左の黒い鳥が蕪村で、右の「寒山拾得図」の方が伊藤若冲だ。もうこれでわからなくなったのではないだろうか。
こちらが伊藤若冲。そして次のが与謝蕪村。
墨絵は省略の利いた抽象絵画へ一歩近づきユーモアを漂わせ、描写力を利かしたリアリズムの絵は対象を何処までも克明に浮き彫りにし、細部を浮き立たせる。
さらに、連作というか巻物レベルで展開した作品が両者にはそれぞれある。これも今回展示されており、ＮＨＫでも伊藤若冲の川くだりの図は紹介されていた。特別な手法で描かれており、黒いところが白くなる拓本式のやり方らしい。蕪村の方は言わずと知れた「奥の細道」の全文と挿絵の巻物である。
今回の展覧会で私たちが知るべきは、描き方の複数性と描く場所（掛け軸か、屏風か、巻物かなど）の複数性、そしてそれを乗りこなせる両者の技量の確かさである。硬軟も使い分けているところもにくい。ユーモアも忘れない、本気になると絵描きの鬼才が登場するといった具合で。
ただ惜しむらくは、伊藤若冲の鶏を初めとした極彩色のリアリズム絵画が少なめであったことだろうか。不満はこれくらいで、あとは相当に満足のいくものであった。はてさて、これでＧ．Ｗの美術館のはしごを外したいと思う。
そろそろ本についても何か書きたいと思う。
※お断り〜絵画の写真はネットの各所から引用させていただいております。
4
7
ログインしてコメントを確認・投稿する