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2015年04月26日22:43

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小説レビュー:明日の子供たち

久々に有川浩作品〜


今現在に2番目に新しい作品ですねー
書下ろしです。

人気作家にしては珍しいかな?
雑誌連載で小説を読んだことがないので、そこらへんイマイチわかりませんがー
個人的に小説雑誌の存在意義がよくわからない…
マンガほど気軽に読めないのを複数作品、断片的に追いかけるのって苦痛じゃない?
しかも、前回のないよう忘れちゃったら読み返すのに時間かかるし…
まあ、そこらへんはまた別の機会に書きますかー



本作のあらすじとしては
施設のドキュメンタリーに感動して、営業職を辞めて児童養護施設『あしたの家』に新任職員としてやってきた三田村慎平は施設の下駄箱からはみ出していた靴を直してるところを3年目の職員の和泉和恵に注意される。
甘やかして、本人たちがやらなくなったら困る。迷惑だと。
親がいないんだから可哀そうだ。少しくらい甘やかしたって…と反論する慎平だったがじゃあ90人全員を甘やかせられるのか?と言われ、封殺される。
新任早々、施設の現実にぶつかる慎平。
さらには施設内の“問題のない子供"谷村奏子にも一見愛想よくされるが裏では嫌われるという仕打ちも受ける。
自分の思っていたものとの違いに悩む慎平。
しかし、持ち前の明るさとやる気でどうにか打ち解けることに成功する。
そして、待ち受ける施設ならではの問題。
規則、金銭問題、進学、就職…
『あしたの家』の子供たちは『明日の大人たち』へと成長していく。
児童養護施設の職員、そしてそこで暮らす子供たちの物語。



とこんな感じー

今度の舞台は児童養護施設。
なかなかの意欲作です。

かなり取材したのが見受けられますねー
妙にリアリティにあふれた作品に仕上がっています。
そこに作者ならではの恋愛要素をプラスして、読み応えのある作品へと昇華しているのは流石!

これにより重いテーマですがそこまで重くならず、意外とあっさりしてるのはいいですねー
ウェットとドライの感覚がいい感じにミックスされていて、バランスが取れています。

恋愛も思ったほどくどくなく、前面に出てるわけじゃないのもよかった。
「県庁おもてなし課」みたいに後半恋愛ばっかりになったらどうしよう…と思いましたがそんなことはほんとなくてよかった…w

ストーリー展開的に「県庁おもてなし課」にかなり似た印象でしたが後半失速することなく、しっかりとテーマに沿った展開をしつつも盛り上がっていったのはかなりよかったですねー
「県庁おもてなし課」の失速っぷりが酷かっただけに、ここはちゃんと改善したんだなーと成長が感じられました。



80点ぐらいかなー
しっかりと児童養護施設というテーマを紹介しつつも、後半熱い展開に持って行ったのが素晴らしい!
グッとくるシーンもあって、なかなかに完成度の高い作品です。
(最終章のタイトル「明日の大人たち」の意味がわかるところとか痺れた!)
ラストがあっさりと終わってる気もしますが予定調和的な終わり方でこれはこれでと思えなくもないですね。

ただ、世間が異常に狭いのが気になりましたがー
前回までレビューしていた「猫弁」シリーズもそうでしたが『あの時の!?』が多すぎ。都合よすぎ。
「猫弁」は最早ネタと化してるレベルに昇華してましたがこちらはそうは感じられなかったのでそこが気になりましたねー

あと、最後の演説のシーンで同じことを続けて3回も書いてるのが非常にくどかった。
作者が思いついて、書きたかったシーンなんだろうけど3回はいらないよ。マジでくどい。
せめて、2回。
ここ、ちゃんと推敲してほしかったなーと。

以上2つが微妙に残念なところですねー
それと児童養護施設なのに小さい子供の話がなかったのもちょっと残念かなー
ストーリーのテーマ的に外れるんだろうけど、少しは触れて欲しかったかもー


でもまあ、ここ最近の有川作品の中ではトップクラスじゃないでしょうか?
売れちゃって以降、腑抜けた作品が多かっただけに骨太のしっかりとした作品がまだ書けることにちょっと感動しました。






有川 浩  2014年8月8日 幻冬舎
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