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2015年04月21日05:25

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『見上げていたい』

私は今年もまた

満足に桜を見上げることが

叶わなかった

去年もそして一昨年も


満開に咲く桜の花びらたちを愛でる

ほんのかすかな休日と

春の愉しみを奪い

四季を狂わす風雨が憎い


この邪魔者は何処からやってくるのか

神が住むという

あの見渡す限りの大きな天空と

恵み豊かな太陽の光を

厚く濁った雲で覆い隠し

私たちが住む地上に落ちてくる

悪戯な春の雨どもが

私の大好きな桜の花の数々を

容赦なく地面に落として散らしてゆく


これがどんなに哀しいことか

侘しいことか

小悪魔たちは知りもしない


やっとのことで咲いたばかりの美しい桜が

無残に散って踏まれてゆく

泥や季節外れの嵐によって

惨めな無数の花びらとなって

あっけなく土へと還ってゆく

彼等はまだ美しく咲いたばかりだというのに

無情な鬼は春ごとすべて振るい落してしまう


これがどんなに悔しいことか

寂しいことか

お前たちは知ろうともしない


ああ 

だからこそ私は

この時期の雨が

心底嫌いで堪らないのだ


それなのに桜の樹木たちは

大切な我が子たちをいとも容易く

吹き飛ばされてもなお

律儀なまでに己を尽くして

次の春に向かって芽を伸ばす

青葉を着けて黙々と

枝葉を生やし続けている


それがどんなに逞しいことか

切ないことか

私たちは知っているのだろうか


桜の木々の本当の気持ちと

桜を見て心が洗われるあの尊い感情を


私はまた無事に見ることができるだろうか

来年の春にこそ

この桜の木の下で

空を覆い尽くすほどの満開の桜と

小春日和を味わう春の訪れを


その時まで見届けていられるのだろうか


生きながらえてここに立ち

桜の咲く長く美しい貴やかな春の姿を

迎えることのできる日が

ここに見上げて微笑む桜のあることが
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