次元が違う日本の反戦意識

■ロシアが反論「言いがかりだ」　核巡る長崎市の抗議文に
(朝日新聞デジタル - 04月11日 20:29)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3366941


ロシアの抗議には憤りを感じる。


まず、過去に何をしたかが問題ではない。
アメリカが過去に日本に原爆を投下した事実を今さら責めることで、世界から核兵器がなくなるのだろうか？
日本に核兵器を使用する確率が今となってはほぼゼロであるアメリカを責めるより、「今まさに核兵器を使おうとしていたよ」と発言したロシアに抗議することにおかしな点はあるだろうか？
とてつもない論理の刷り替えである。
小学生がおねしょをしてしまった時にする言い訳以下の詭弁である。



さらに言いたいのは、ロシアの次元の低さだ。


まず、議論に先駆け、いっておきたのは、私は、日本の反戦運動には嫌気を感じるということである。決して私は左翼ではない。


むしろ理想主義的で地に足がついていない左翼が嫌いだ。
殺人鬼に「殺さないで」と武器を捨てたからといって、殺人鬼が思い直してくれるわけではない。
本当に平和を保ちたいのなら、一時的に武器をもち、相手を威嚇することも選択肢の一つに入れなくてはいけない。
何故なら我々は、武器を持たないと平和を保てない愚かな生き物だからだ。

（もちろん、その期間は短い方がいいし、軍縮もどんどん行うべきだが、そのプロセスが非現実的なものではいけないと言っているだけだ。）



さて、そんな日本の反戦運動家や左翼でも、誇れる点が一つあると私は思っている。
それは「ある一つの国を標的にしない」ということ。



アメリカは、日本の戦時中の首脳陣を裁いたアメリカ自身の基準で行けば、武装していない女こどもを含む一般市民を2発の爆弾で何十万人と殺したわけだから、これは「人道に対する罪」にあたる。
しかしアメリカ自身、謝罪どころか「原爆投下が戦争終結を早めた」とふんぞり返っているありさまである。



ところがアメリカの戦争責任を問う声はない。もちろん、政治レベルでそれをすることは、サンフランシスコ平和条約を調印している時点で不可能である。


しかし、いつもはそんなことお構いなしに荒唐無稽で支離滅裂な主張をする左翼の方たちですら、そのようなことは言わない。
ロシアの言うとおり、原爆を二発も一般市民に使用したアメリカは左翼の主張の正反対に位置する「悪の権化」なのにだ。



どうしてアメリカを責めないのだろう？？その答えは簡単である。
日本の左翼は、原爆投下を行った国ではなく、「原爆」という兵器の残虐性や破滅性そのものを問題視しているのである。
罪を憎んで人を憎まずと似ている。これは平和を考える上で非常に有用であるように思える。



例えば韓国や中国は自国への「殺戮」を非難するのではなく、「謝罪しない日本」を非難している。
話がややこしくなるため、日本が謝罪しているかいないかはここでは論じさせないでほしい。
注目すべきなのは、彼らの頭の中にはもう「憎い日本人」「ダメな日本人」しかなく、「殺戮」やそれを生む「戦争の悲惨さ」といった事項には一切興味を示さないことだ。
結局そのような視点に終始すると、話は責任論や感情論に及び、誰が悪いのか、いつ謝ったのか、どう謝ったのか、「何が欲しいのか」　といった非常に下世話で下品な政治的問題に話が格下げされていくのである。




そうしたものに比べると、日本の「反戦論」は、やり方に問題があれど、その掲げる理想自体は非常に心地が良い。
原爆を使用したアメリカは確かに問題だ。しかし、大切なのは今、若しくは将来において殺戮の恐れのある国や人を抑え込むことだ。



過去に残虐の限りを尽くしたが、今は民主国家で憲法上は武器を持たない国を批判し、過去に一度も殺戮や戦争の経験はないが、核兵器を何千発も保有し反独裁で、危なっかしい発言ばかりをする国家っはそのまま。
こんなこっけいな話はない。
ビジネスで言えば、過去の実績ばかりで評価し、将来の可能性や現在の業績などを一切無視する管理職のようで、言うまでもなく、そんな管理職は最低である。



結局ロシアという「平和」について真剣に考えたことのない国は、平和についての認識は野蛮なのである。
本当の意味の平和は何か、それに対する答えは多様であり、正解を出すのは難しいだろう。



しかし、少なくとも「ナガサキ」や「ヒロシマ」が言いたいことは、アメリカに謝罪してもらい、お金をたんまりいただくことではなく、今後、第二の「ヒロシマ」や「ナガサキ」を作らないために人類が全力で平和維持に取り組んでほしいということだろう。



次元の違うロシアの平和と日本のそれを同じにしないでほしい。