mixiユーザー(id:7050111)

2015年04月08日18:31

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患者さんとの不思議な話

 先日、80代半ばの女性患者さんが突然、「O大学の食堂はすごい近代的で、テレビで取り上げていましたよ。」と仰った。
 その大学は僕の出身大学だったが、この方にそのことを話していたかどうかわからなかったので、「僕の出身大学って申し上げてましたっけ?」と言うと、「えっ?そうなの?」と驚きになる。
 そして、大学の話が続き、僕が「尼崎にあるE大学ってなくなるんですってね?」と言うと、「その大学、うちの娘が行ってたところなんです。」と仰る。
 今度はこちらが驚かされた。しかも、お互いが何気なく口にした大学名がそれぞれ関わりのあるものを図らずも交換する形になったことはまず不思議なことだった。
 ところが、そこから話が違う方へ広がった。
 その患者さんの娘さんの大学時代の仲良しグループのお一人に降りかかった不幸はこの患者さんからずっと以前から耳にはしていた。
 そのご友人という方の娘さん(当時女子大生)が千葉県で殺害放火事件に遭い亡くなられている。犯人はそれまでに強盗や強姦を犯している凶悪犯だが、この事件で無期懲役が確定している。当時大きく報道もされていた。
 亡くなられた娘さんは気のしっかりしたところがあり、犯人に強く抵抗したのではないかと、亡くなられた方のお母さんが仰っているらしい。
 しかし、更に治療家として衝撃的なお話は、この亡くなられた娘さんのお父さんという方は、その事件のショックで視力を失っていることだ。
 精神的ショックが体に及ぼすことは普段の臨床現場でいくつか実感はしていたが、これほどまでに大きなショックであれば、体に及ぼす影響も大きなものになるんだと再認識させられた。
 日々の報道で次々に凶悪犯罪が報じられるが、その後のこと等、ほとんど知られることはない。でも、こんな形で被害者のご家族は新たな苦しみを与えられることになるんだとも思い知らされる。
 そう言えば、別の患者さんのお知り合いが人が飛び下り自殺を目の当たりにされたらしく、その後、その方はうつ病に苦しまされることになったらしい。
 人間には、他の生物にはおよそないと思われる精神というもうひとつの体に毒をもたらすルートがあると思ってもいいくらいだ。

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