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2015年04月02日23:28

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冬アニメレビュー1『SIROBAKO』アニメ残酷物語 前編

今期のアニメが終わりましたので改めてレビューいきたいと思います。
総括すると、ネットレビューとかでも話題になってるように
かなり『良かった』派と『酷かった』派で真っ二つに争われていますが。
私としては今期は全体的に豊作だったと思います。

その中でも今期の覇権アニメは間違いなく『SIROBAKO』でしょう。
アニメの制作現場というまさに身内ネタを使うという
「ええっ? 現場見せて大丈夫なの?」という作品w

そう思ったのも、
実は私、昔アニメの会社で仕事してたもんですから・・・

なんでこの際、アニメ会社にいた頃の事をSIROBAKOと照らし合わせて語ろうと思います。

・アニメ業界について
 まず、アニメの仕事ですが
「ハンパなくキツいです」
 ただし、肉体的にではなく、精神的に。
 肉体的なのは大丈夫なんですよ。
「夜、終電まで帰れない」だの「泊まり込みしないといけない」だの
「忙しくて肝心のアニメ観る暇ない」だのは
 実は慣れるとなんとかなるもんですし、
 何より、入る人は大抵『覚悟のうえ』で入社しますし。
 じゃあ、何が問題なのかというと。
 肉体的な覚悟はしてても、精神的な覚悟が想像以上にキツイ。
 当時の上司がこんなこと言ってた、
「アニメが好きならアニメの仕事はするもんじゃないな。
 だって一番好きなもので一番辛い思いをしないといけないから」
 その上司は半年後に辞めました・・・
 多分、入社した人は
「会社内なら同じアニメ好きな人同士で話が合うから、楽しい仕事ができる」と思ってるでしょう。
 でも、そこには大きな勘違いがあるんです。
 確かにアニメ会社ですから社員はみんなアニメ好きですしアニメの話はします。

 た
 だ
 し

 それは『趣味として』ではなく『仕事として』です。

 解りますか?
 「○○面白かった」「○○微妙だったなぁ」
 なんていう楽しい楽しい話ではなく。
 「○○はいつまでに上がる」とか「スケジュールは? 予算は?」
 なんていう『真面目な生々しい話』を大好きなアニメでしないといけないということなんです。
 実はこれ、そういうことを覚悟してない人が意外と多いんですよ。
 忙しいながらも、和気藹々と楽しい同人サークルみたいなのを想像してますが、
 実際は仕事である以上、現場は彼らが考えている以上に『真面目』なんですよ。
 そして新人の大半はその真面目な空気に耐えきれず、
 まず入社した人の半分が最初の一ヶ月で辞め、
 さらに残った半分が半年で辞め、
 一年後には一人残ってるかいないか?
 それがこのアニメ業界なんです。


・制作進行について。
 実は私も半年ほど制作進行してたことありました。
 人身事故起こしちゃって撮影に部署移動しちゃいましたが(苦笑)
 まずこの制作進行ってのは、要約すると基本的に
「アニメの仕事したいけど、絵が描けない人が最初にする仕事」です。
 つまり絵が描けない人が監督やプロデューサーをやりたいなら、
 まずこの仕事をする必要があります。
 そして、
『最も離職率の高い仕事』でもあります。
 実際、私の時も半年だけで先輩の8割が辞めました。
 なんでかというと、この仕事の一番ヒドいとこは
「コミュ障の人たちとコミュニケーションを取らないといけない」ということなんです。
 SIROBAKO本編を観てもらうと解りますが、
 こういってはなんですが、この業界の人って実はコミュ障な人が多いんです(特に作画)。
 収入や時間が足りてないはずなのに、好き勝手に動くし。
 急かすとすぐに逆ギレして、思いっきり手抜きしたり、投げ出したり。
 ・・・・・・マジですよ?w
 そんな人を橋渡ししないといけないのが制作進行です。
 でもね、制作進行になる人って、実は同じように『コミュ障』な人が多いんですよ。
 ましてやリアルなコミュニケーションとなると・・・・・・
 コミュ障な人がコミュ障な人とコミュニケーション・・・・・・
 うん、よほどの『社交性』そして『図太さ』がないとまず無理ですww
 
 そういやネットで業界の人がこんなことを書いていました。
「タローみたいな人材はむしろ積極的に採用する」
 SIROBAKOのタローったらいいかげんだわ、失敗しても反省しないわで
 序盤でも大きなトラブル起こしてた問題児ですが、
 なんでそんな人材を重宝するのかというと、
 タローみたいな人材は基本的に『辞めない』からなんです。
 先ほども言いましたようにアニメ業界、特に制作進行はとても離職率が高いんです。
 しかも辞める時は唐突に辞めることが多いんで、会社にしてみたらすごく厄介なんですよ。
 でも、タローみたいな人はとにかく神経が図太いんで、めったなことでは辞めないんで、
 デメリットよりも『辞めない』って方が会社としては安心なんですよ。
 もちろん、エリカやみゃーもりみたいな有能で且つ社交性のある人材がいれば当然そっちの方が欲しいですよ。
 でも正直、彼女たちみたいな人材は業界じゃウルトラレアなんです。
 しかも、有能な人材は有能な人材で『業界同士の奪い合い』になることも多々で、結局それで辞めてしまうことも・・・
 ゆえに、残りやすいのはタローみたいなタイプ。
 でも、タローみたいなタイプは元々社交性は高いし、むしろ図々しい位の方がコミュ障なスタッフとコミュニケーション取りやすいので
 仕事に慣れてくると、次第にトラブルも起こさなくなり(本編でも後半はほとんどトラブル起こさなかったし)
 場合によっては遊び人が賢者にクラスチェンジするごとく大化けすることもありますから、
 会社としてはむしろありがたい人材なんですよ。

 むしろ平岡みたいな『真面目な』タイプはむしろ嫌がられます。
 真面目な人間ってのは本来必須な要素なんですが、アニメ業界ではとにかくこのタイプは煙たがられます。
(特に作画の人は自分の仕事を『作業扱い』されることを非常に嫌います)
 でもこのタイプは真面目にこなすぐらいしか手の打ちようがないため、ますますスタッフと軋轢が起こりやすくなる。
 そうなると、生き残ろうと思ったら「仕事として割り切って仕事」するしかなくなります。
 でも、それはアニメの仕事としてはある意味致命的。
 アニメの監督やプロデューサー目指そうとしているのに、それに必須な『感受性』を捨て去って仕事しちゃったら、
 それはもはや本末転倒です。
 それでは生き残れても、会社は重要なポストをまかせることは永遠にありません。
 そしてある日、
「・・・あれ? なんで俺、こんな仕事してるんだろ?」
 そう思ったら最後、心が一気にボキッと折れて辞めてしまいます。

 でも、制作進行になる人の8割は平岡タイプなんですよね・・・
「真面目に仕事してればいつか・・・・・・」
 でも、殆どの人は体の限界が来る前に、心の限界が来るでしょう。
 しかもそれに耐えられたからといって自分の望んだ方向に行けるとは限らない・・・

 それが、制作進行という『残酷な仕事』です。



・・・うーん
本当は作画や声優の話をしたかったんですが、
長くなりそうなんでまた次回www
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