mixiユーザー(id:24710353)

2015年03月08日23:53

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小説レビュー:かのこちゃんとマドレーヌ夫人

個人的に微妙な作家 万城目学作品ですねー
(過去レビュー参照)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1913589411&owner_id=24710353


今度は面白いといいなー
これはかなり昔に買った本なんですよねー
面白そうな気がするんだけど、なかなか読む機会がなくて後回しになっていましたが早く読めそうということで日の目を見ましたーw


あらすじとしては
今年小学生になった女の子かのこちゃんの家には老犬の玄三郎とアカトラのマドレーヌがいます。
この世界の猫は人間の言葉が結構なレベルで理解出来て、もちろん猫どおしも会話が出来ます。
しかし、犬とは出来ない。犬の言葉は外国語なのだ。
そんな中、ネコたちの間で“マドレーヌ夫人”と呼ばれるかのこちゃんの飼い猫はその外国語が話せる猫だった!
ただ、すべての犬と話せるわけではなく唯一主人の玄三郎とのみ会話が出来るのだった。
それゆえに近所の猫からも一目置かれているマドレーヌ夫人はゲリラ豪雨が降りしきる中、玄三郎の犬小屋に避難しているときに玄三郎の声を聞いて、夫婦となり、かのこちゃんの飼い猫となるのであった。
かのこちゃんははじめての小学校でクラスメイトのすずちゃんと「刎頸の友」になる。
楽しく日々を過ごすかのこちゃんとマドレーヌ夫人。
しかし、いろいろな問題をかかえるマドレーヌ夫人にある日不思議なことがおきるのであった。



とこんな感じー

あー、いい話だ!
途中まで(マドレーヌが○○になるところとか)は相変わらず微妙だなーと思って読んでたんだけど、最終章からグッとよくなって感動した!
切なくて、それでいてさわやかでいい話だった!

動物もの(特に猫もの)で猫がしゃべる系(実際にしゃべるわけじゃなく自我がある系)の話って大概が最後に『死』で終わることが多いのですよね…
(猫自身が死ぬわけじゃなくても、飼い主が死んじゃったり、他の猫が死んじゃったりするパターンもあり)
これは実際の猫の寿命が短くて、猫との話を書く上でこの「別れ」というのを書かずにはいられないせいじゃないかと思うのですねー


でこの作品も「別れ」が待っています。
これは最初に読んだ時からあーと思っていましたが案の定って感じで読んでましたねー
そこまでは普通だったんだけどそこからがよかった。

この作者らしい伏線を回収して、キレイに畳まれるのは素晴らしいですねー
あーそういうことだったんだと納得なのです。





82点ぐらいかなー
サクっと読めていい感じでした。
ほんわかします。

物語は「かのこちゃんサイド」と「マドレーヌ夫人サイド」でストーリーが展開していくのですが途中でそれが交錯していきます。
2つの世界が不思議な現象で繋がるんだけど、これはなんでそうなるのかの説明はまったくないのです。
そういうのの説明がいらない世界観なんですねー
これはなかなかすごいことだと思いますね。


あとこの作品は小学生が主人公で、猫もしゃべるので児童文学っぽい作品なんですが実際に児童文学ver.も出てるんんですねー
(コミカライズだと思って買ったのは内緒w)
別れが切ないですが内容的には難しいところがないのでお子様にもおススメですねー
(ただ表現は一部難しいのがありますがー)

というかこの話、『恩返し』系の話と読み解くことが出来るんですよねー
そう考えればやっぱり童謡をベースにしていると思われるので、最初から児童文学として書かれているのかなー
所謂「大人の」ってやつで。


それと、かのこちゃんの父親に関しては「鹿男あをによし」を読んでるとちょっと得した気になります。
母親のキャラクターはなんか違うんだけど…





万城目学 2010年1月27日 筑摩書房(角川文庫) 
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