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2015年03月04日19:28

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大迷惑

ちょっぴり寂しいけどうれしい。大人になった弟に感心したこと4選「彼女に婚約指輪を渡したと聞いたとき」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=60&from=diary&id=3302006


言わずと知れた、ユニコーンの名曲だ。

もし、手元にユニコーンのCDがある、という方。
良かったら、「大迷惑」を聴きながら、この日記を読んでいただけると有難い。


さて、今日は、去年の盆休み中に実家に帰ったことを書いてみたい。

えっ?
ユニコーン、関係ないって?

いや、いや。
少しの間、我慢して読んでいただけますでしょうか。
この日記が終わるころには、”ああ、そういうことか。”てな話になっているでしょうから。


この盆休み。
家族を連れて、日帰りで実家に帰省した。
ひとつは墓参りと、もうひとつは、近いうちに結婚する妹の彼氏の顔を拝む為だ。

僕には、4つ離れた弟と7つ離れた妹がいる。
弟のほうは、僕よりも前に、すでに結婚していて、仕事の関係で東京に家族と共に暮らしている。
妹は、このたび長く付き合っていた彼氏との結婚が決まった。
そのお祝いと顔見せも兼ねて、一度実家の近くでランチでもしよう、となったのだ。

その日、京都は昼前から土砂降りの雨が降り出し、その雨のせいで、お墓参りができなくなった。
それでランチに行く前に、一度実家に寄ったのだが、実家に帰ると東京にいるはずの弟が家族を連れて帰省していた。

聞けば、今回の帰省が終わったら、暫く実家には帰れないとのこと。
何があったのか、と問うと、どうやら転勤が決まったそうなのだ。
でも、今でも東京に居るわけだから、今さら転勤したとて、帰れないことはないだろう、と訊くと、なんと転勤先は、日本ではなく、トルコなんだそうだ。

つまり、弟の転勤というのは、トルコへの海外赴任ということだったのだ。

弟は、就職してすぐに会社での成績が良かったおかげで、一年間、アメリカのコロラド州デンヴァーに語学留学させてもらった。
留学費用も会社持ちで、留学中も給料が出るという待遇で。

もちろん、それには会社のほうにも計算があって、弟に語学留学をさせた後、何年か後に、海外赴任をさせる為だったのだ。

弟はその頃、まだ独身だったのだが、海外留学から帰ってきて、結婚し、二人の子供にも恵まれ、そんな風に7年が経った今年、突然、弟へトルコへの海外赴任の辞令が下ったというわけだ。

僕の両親にしてみれば、息子が出世コースに乗ったと大喜び。
海外赴任から帰ってくれば、それなりのイスが用意されていると、だから、今日は弟の海外赴任祝いも兼ねて、お祝いをするということに。

だが、弟は浮かない顔。
と、いうのも今回のトルコへの海外赴任、行くのは弟だけ。
奥さんと子供は日本で、弟の帰りを待っている、とのこと。
その期間、なんと4年。
4年もの過酷な一人旅となったのだ。

理由はいろいろある。
トルコの治安を奥さんが心配しているのもひとつ。
また、1歳になる男の子の食物アレルギーの問題もひとつ。
それから、やはり、住み慣れた日本を離れたくはないのだろう。

弟にしてみれば、可愛い盛りの4歳の娘、1歳の息子を残して、そして愛する妻を残して日本を離れて単身赴任するのは、さぞ淋しいことだろう。
自分で選んだ道とはいえ、真逆、こんなタイミングで、海外赴任を言い渡されるとは。

まさに、こいつは、大迷惑だ。

弟は、子供の頃から僕よりも、飛び抜けて成績が良かったし、何かと出来の悪い僕と比べられた。
就職だって、しがない自営業の僕と比べて、良いトコロへ就職した。
そして今回だって。
ウチの両親にしてみれば、まさに自慢の息子なんだろう。

でも、果たしてそれが幸せかどうか。
人には、いろいろな幸せがある。
僕は、しがない自営業をしているが、その代わり、愛する嫁と可愛い息子たちが、いつもそばにいてくれる。
いつもそばで、僕を支えてくれている。
それは、何にも代え難い幸せなんじゃないだろうか。

その日の帰り道。
クルマの中で、僕は助手席にいる嫁に訊いた。
後ろの座席では、息子たちがスヤスヤと寝息を立てている。

「ねぇ。もし、僕がトルコへ行くようなことがあったら、一緒に付いてきてくれるかい?」

嫁は、笑って、

「あなたは、京都の隅っこで小さな鍼灸院を経営してる院長さんじゃないの。そんなことあるわけないでしょう。」

と言った。

「でも、もし、そんなことがあったら、私たちも付いていくかな。だって、海外で暮らしてみたいもん。」

嫁は、そう言って、また笑った。

僕も笑った。

そして。
僕は、クルマの中で、鼻歌を歌った。
曲は、ユニコーンの「大迷惑」。

嫁は、チラッと横目で僕を見て、ニヤリと笑い、

「あほ。」

そう言って、僕のアタマを小突いた。


そう。

お金なんて、ちょっとでいいのだ。


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