その昔、どの学校でも卒業式で必ず歌われた名曲「仰げば尊し」
特に想い出に残ったり、温情を掛けて貰ったり、親しく頼った恩師などは居なかった。
しかしこの曲は数ある唱歌の中でも特に印象に深く残り、思い入れが強い。
それはこの楽曲が教師への厚き想いだけに固執した狭義の歌では無い証しであろう。
このビデオに流れる一つ一つの場面が懐かしき郷愁を誘う自分の子供時代とピッタリと
重なり回帰してくるのである。
校舎の窓から手を振る生徒たちの笑顔、
下駄箱に並ぶ運動靴、
教科書をいっぱい詰め込み重たかったランドセル、
いつも走り競争はビリで恥ずかしい思いをした運動会、
塩素の臭いが強いけど、ガブガブおいしく飲んだ水、
脚が不ぞろいでグラグラ揺れる古傷だらけの机、
エンピツやノート、黒板の匂い、
昼下がりに図書館の窓から入ってくる木漏れ日やそよ風の心地良さ、
名も知らぬ中国出身の女性が歌う曲と流れる画面を見るたびにじ〜んと
涙がこぼれそうになるのは楽曲の持つ力であり古き良き時代に生きた
日本人の心を伝えた名曲と言われる所以であろう。
今では家庭や学校でも、こうした唱歌や抒情歌は敬遠され誰も歌わなくなった。
そして温かい優しさや慈愛心も同時に廃れて行った・・・。
人が人として生きて行く上で最も大切な心の有り方はこうして失われて逝ってしまった。
https://www.youtube.com/watch?v=-4mssG1A_f4&spfreload=1
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