バルダイ国際会議におけるプーチン演説(6)
THINKER・鶴田 HP ( 40代 名古屋 自営業 ) 14/12/22 PM09 【印刷用へ】
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=299473
私がこの件を持ち出したのは、ウクライナをEUに加盟させる計画が進む中で、欧米側からロシアに裏取引の話があったからです。
ロシアは、これに賛同しませんでした。
この事情について誰も訊ねませんでしたが、ロシアはウクライナのEU加盟に関して、あらゆる側面から根気強く討議してきました。
それも首尾一貫して、礼節を持って、起き得る問題を指摘し、正当な理由を持って欧米側と議論を重ねてきたのです。
しかし、ロシアの主張には彼らのうち、誰も耳を傾けず、話し合いを望む人もいませんでした。
「この件はあなた方には関係ない」の一言で、彼らは話し合いを終わらせたのです。
礼節のある話し合いにも関わらず、理解を示す代わりに差し出された結果が、あのウクライナ政府の転覆です。
彼らはあの国を混乱に陥れました。
経済も社会も壊され、内戦で莫大な数の死者や負傷者が出る事態となっています。
なぜ、このようなことをしたのでしょう。
私はその訳を尋ねましたが、彼らはもはやその答を持ち合わせおらず、誰もが沈黙しました。
それがまさに答でした。
誰もが途方に暮れ、ただそうなってしまった、と言うだけなのです。
あのような行動はやめさせるべきでした。
そうすれば、このようなことにはなっていなかったでしょう。
すべては、元ウクライナ大統領のヤヌコヴィッチが彼らの持ちかけた取引に全て同意し、契約書に署名してしまったからです。
なぜ、そのようなことをしたのでしょう。そこに何の意味があったでしょう。
これが、文明的に問題を解決するやり方ですか。
そして、常にあれこれと新しい「カラー革命」を裏から編み出し続ける者たちは、明らかに自分達のことを「卓越した芸術家」だと思っているため、止む様子もありません。
国家同士で組織する連合や国際地域の各種団体の協力関係は、ユーラシア経済連合(EEC)のように透明性と明示された原則の上に築かれるべきだと確信しています。
このユーラシア連合は、参加諸国が事前に欧米側に同組織の持つ権限の範囲や世界貿易機構の規定に則った指針をとることを明確に示し、その旨を告知しています。
この件についてもう少し話しますと、以前ロシアは、ユーラシア連合とEU(欧州連合)間で具体的な対話を始める用意がありましたが、こちらもウクライナの件と同様に、完全に拒否されています。
何の理由もなしにです。一体何を恐れているのでしょう。
当然のことながら、今後の国際協力においても、じっくりと対話を交わすことは必要になってきます。
(対話の必要性に関して、私は幾度となく話し、欧米諸国の多く、少なくとも欧州諸国からは同意を得ていました)
大西洋から太平洋へと共同経済圏や人道的協力の範囲を拡大する際にも同様のことが言えます。
さて皆さん、ロシアはある選択をしています。
われわれが今後、最優先に推進することは、民主的でオープンな経済機構をさらに改善させること、そして、国内の発展を早め、世界に存在する有益で先進的なものを全て考慮に入れつつも、この国を伝統的価値観と愛国心に基づいた社会へと統合していくことです。
ロシアは、周囲との結びつきを強め、前向きかつ、平和的な指針を持っており、ユーラシア経済連合、上海協力機構の参加国やBRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国の4大新興国)、またその他の世界諸国と積極的に共同事業を行っています。
ロシアの諸計画の目的は、各国政府との絆を深めることで、断絶することにはありません。
また、限定された国家だけで同盟を組んだり、殴り合いの喧嘩に参加したりするつもりもないのです。
ロシアは帝国を作ろうと企んでおり、近隣諸国の主権を侵害しているといった主張や意見がありますが、それは事実無根です。
ロシアは、国際社会においてどのような特別な地位も要りません。
このことは強調しておきます。
われわれは他国の利益を尊重しながら、自国の利益も考慮されるよう望み、そして、その立場を尊重してほしい、ただそれだけです。
私たちは、絶え間ない変化と地球規模の変容が起きる時代に入ったことを深く自覚しています。
このような時代には、私たち一人ひとりに特別な注意力と、不注意な歩みを避ける能力が求められます。
冷戦後に世界情勢を動かしてきた人達は、このような資質に幾分欠けていました。
今こそ、これらの資質を取り戻すときです。
さもなくば、平和や安定成長への願いは、現実逃避の危険な空想となり、今日私たちが目にする世界の騒動は、未来に起こる世界秩序の崩壊の前触れと化すでしょう。
そう、より安定した世界秩序を築き上げることは困難な課題であると、私は述べました。
実に長くつらい仕事なのです。
第二次世界大戦後、国際社会におけるルール作りの進展を見せ、70年代には、ヘルシンキで一つの合意に至りました。
(全欧安全保障協力会議―ソ連を含む欧州33ヵ国とアメリカ、カナダが参加し、調印。国家主権の尊重、武力不行使、国境の不可侵、領土保全、紛争の平和的解決、内政不干渉、人権と諸自由の尊重などに合意)
私たちに共通の責務は、新たな発展段階にある今、この根本課題を解決することなのです。
ご清聴ありがとうございました
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