応用編です。
先日、経済が強い国 ⇒ 通貨高 弱い国 ⇒ 通貨安。
そして、通貨高は輸出には不利ですが、経済が強い国というのは「高効率で品質の良い品を作る能力のある国」だから高くても売れる。だから問題がないとお話ししました。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1938151657&owner_id=49397917
(ただし、通貨高がその国の能力以上になってしまうと輸出が落ちて、その国の景気を悪くします。)
さて、応用編ということで、もし弱い国と強い国両方が同時にユーロを使うとどうなるかをお話しします。
代表的な国である、ドイツとギリシャを考えましょう。
ドイツは工業国で、「ベンツ」や「BMW」といえばわかるように、良質な工業製品を作る企業をたくさん持っています。
当然、ドイツ企業の株や債券は魅力的ですから、多くの海外投資家が自国通貨を売り、ドイツ通貨を買ってそれら株や債券を手に入れようとします。
一方ギリシャは観光業以外、有力な産業はありません。観光業はギリシャ以外の景気に左右されやすく、不安定です。(海外の景気はギリシャがコントロールすることはできないから)
当然、ギリシャ企業の株などを手に入れる人は少ないですし、有力な産業がないということは、自国では優良な製品が少ないわけですから、足りない分をドイツなどの有力な国から買わなければ(輸入しなければ)いけません。
となると、自国の人が輸入のために自国通貨を売って外国通貨を買わなければ輸入製品は買えないのでその国の通貨は安くなります。
もしもこの二国が違う通貨(例えばマルクとドラクマ)を使っていた場合、特に問題は起きません。例えばドルに対するマルク高、ドラクマ安となるだけです。
しかし、ご存じのように、両国は同じ通貨「ユーロ」を使用しています。そうすると、ユーロには「ドイツの株を欲しくてユーロを買う投資家」と「海外製品を買うためにユーロを売るギリシャ人」が混在することになります。
結果どうなるかというと、ユーロはドイツの経済力ほど高くはならず(ギリシャ人の「売り」がユーロを安くし)、ギリシャの経済力ほど安くはならない(ドイツの株・債券「買い」がユーロを高くする)でしょう。
つまりユーロはドイツにとっては「ユーロ安」ギリシャにとっては「ユーロ高」となるのです。
もっと具体的に言えば、ユーロはドイツ製品にしては安く売ることができ、ギリシャ製品にしては高くついてしまう水準ということができます。
この結果、ドイツは自国製品をどんどん売るために景気が良くなり、新たな設備投資もできて製造業を営む企業がどんどん育つ。逆にギリシャは採算が取れないために工業産業がますます衰退します。ドイツにとっては「好循環」ギリシャにとっては「悪循環」が生まれるのです。
しかしいわゆる“リーマンショック”に端をはす経済危機までは両国経済は順調でした。
それに関してはまたいつか、書きたいと思います。
御清聴(してくれた方がいたら)ありがとうございました。笑
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