mixiユーザー(id:24710353)

2015年02月08日23:37

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小説レビュー:格闘する者に○

三浦しをんのデビュー作ですねー

なんか面白いタイトルと表紙だったので買ってみましたー
こういう漫画チックな表紙って意外と珍しいですねー
三匹のおっさんとかがそうかなー
あんまり普及してないところを見ると売れないのかな?
買うとき恥ずかしいとか、マンガと間違えられるとか?
たぶんなんか理由があるんでしょうね。


でこの不思議なタイトルの作品は内容もかなり不思議な感じでした。
あらすじとしては
マンガ好きの女子大生 可南子もついに3年生となり、就活をしなければならなくなった。
でもやる気はなし。
元々マイペース&実家が金持ちなので就職しようという意欲があまりないのだ。
周りの同級生も文学部のせいか、同様にやる気のないものばかり。
しかし、そうも言ってられず、マンガ好きを生かすべく出版社に入社して、編集者を目指すことに。
可南子の就活の日々はまだまだ続く。


とこんな感じ。
ただ、最初はトンデモ女子大生の就活奮闘記だったんだけど、途中からなんかガラリと雰囲気が変わります。
ん〜〜〜?
なんか身内の跡継ぎ問題に発展し、こっち方向にストーリーが展開するのかと思いきや、また就活話に戻るという…

可南子の家はちょっと複雑な家庭環境で代々政治家を輩出してきた地元の有力者な家の娘だった可南子の母親が政治家だった父親(可南子の祖父)が亡くなったことにより、急遽結婚して跡目を継ぐ者を用意せねばならず、選ばれたのが可南子の父親だった。
しかし、可南子の母親は子供のころになくなり、すぐに後妻を貰うことに。
そして、後妻との間に男の子が生まる。
父親は家を離れて、東京で暮らすことになり、家には義母と半分血のつながった弟が残った。
地元の人としては有志の家の血を継ぐ可南子を跡取りとして議員にしたく、父親の関係者は弟を跡取りとしたい。
しかし、2人とも跡を継ぎたくはないという状況。
そんななか、可南子は就職活動を行っていたのだ。


といっても、このお家の設定に大した意味があるわけではない。

この作品、全般的にそうなんだけどストーリーがあっちに行ったりこっちに行ったり、いろんなキャラを出してはみるけど特に意味はなかったりと非常に纏まりがないです。

ほんと、いちいち意味ありげに描写するもまったく意味のないキャラ多すぎ。
わけありで、それがあとあと話に絡んで来たり、その理由が判明したりすることは全くありません。
男友達の二木君が自らをホモだと告白してきても、その後のストーリーに何一つ影響を及ぼしたりはしないのです。
これはなかなか……衝撃でしたねー
うーん…

なんだろうなーこれ?
すごく場当たり的な作品なんですよね。
それでいてオチもなく、何が言いたいのかも全くわかりません。
なんちゅうか、エッセイなのかなー
たぶん作者の体験談に基づいてるんだろうけど、それをただダラダラと書いているだけ。

なので小説の体を成していないですね。
ほんと、その時々のあったことやそのときの感情を書いているだけ。
日記小説。


とにかくどことも繋がっていない。
あーあれがここでーとか全くない。

たとえば古本屋でキン肉マンの初版を見つけて、ホクホクしてあとで買いに来るので取り置いといてくださいというがその後この話は一切出ず。
大学の学食でミートスパゲッティーばかり食べており、周りにもその同士が増えるが特に意味はなし。
面接で雑誌を売るためのアイディアを聞かれて、いろいろな案を出して、落とされて案だけ盗まれたらやだなーと思うもこれも意味はなし。
冒頭部分に不思議な小説が出てくるんだけど、これが面接試験の課題で本人としては会心の出来も結果落選。その後まったく触れられず。

他にも山ほどあるんだけど割愛。
というよりも、繋がってる部分のほうがはるかに少ないね、この作品。
上記のお家騒動もその後の話にほぼ関係なし。


あとタイトルの意味は面接試験中に係りの人が「かくとうするものに丸をしてください」と言ったもの。
これは「該当」を「かくとう」と誤って読んでいたというもの。
もちろん、その後のストーリーになにも関係はない。



41点ぐらいかなー
サクサク読めるけど、小説じゃないね、これ。
まったく推敲されておらず、書きなぐったような作品。
個人的には是が非でも小説とは認めたくない。

むしろ、よくこれでデビューさせてもらえたなと感心する。
結果から見れば、先見の明のある編集者だったんだろうけど、チャレンジャーだねー
まったく面白くはなかったがこのレベルでもデビューできるんだという希望を作家希望者に与えたという意味では意義のある作品なのかもしれませんね。



同じ不思議系女子大学生が活躍する森見登美彦氏の「夜は短し歩けよ乙女」と比べると天と地の出来栄え。
方向性が違うとはいえ、緻密に計算されつくされたあちらと杜撰さを極めるこちらとでは悲しいほどに差がありますね。


あと、このわけのわからない小説もどきの作品の中で唯一よかった点はわはーが敬愛するミッチーの代表作「アルペンローゼ」が劇中でちょっとウエイトを置いて使われていたこと。
もちろん、ストーリー上は何の意味もないのですが…

わはーはこの作品を読むぐらいだったら「アルペンローゼ」を読むことを強くオススメします。
ちょっと昔の作品なので絵が古いですが壮大なストーリーで面白いですよー





三浦しをん 2005年3月2日 新潮社
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