■６歳未満の脳死判定 両親「少しでも光がともせたら」とコメント
(産経新聞 - 01月13日 16:09)
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人生の決断において、どんな決断が正しくて、どのような決断が間違っているかなんて、そんなの僕にはわからない。
だから僕は、何かの決断に迫られた時、さんざんに迷った挙句、決断した後でも、�牴未燭靴討海譴芭匹�ったのだろうか“と、自分の決断に自信を持てないでいる。
僕には、ちょうど今回脳死になった女の子と同じくらいの年齢の息子がいるが、もし、自分の息子が、脳死を宣告された時、この両親と同じ決断ができるだろうか、と考えた時、おそらくは自分の息子の臓器を提供するなんて決断はできないだろう。
今回、この女の子のご両親は、わが娘が重い心臓の病に罹っていて、心臓移植でしか命を繋ぐ道はないという状況で、このような脳死という事態に見舞われた。
だから、これまで、自分の娘が心臓移植を待つ身であり、それだけに移植を待つ方の気持ちがわかるから、そういった方の為に臓器を提供するという決断をされた。
確かにそうかもしれない。
でも、僕なら果たしてそのような決断ができるかと問われれば、きっとできないように思う。
人にはそれぞれ立場というものがあって、実際、その立場に立たされないとわからないこともある。
普段の生活の中で臓器移植の話をしていて、ウチでは家族が脳死になったら、臓器提供することを家族間で承諾していたとしても、それは所詮、普段の生活の中での話。
いざ、本当に自分の家族が、そのような立場に立たされたら、そんなに簡単に、臓器提供するなんて決断を下せるものなんだろうか。
ただ。
もし、僕の息子がこの女の子と同じように、重い心臓の病に罹って、移植でしか助からないとしたら、僕はきっと、自分の息子の命を助けてあげたいと思うだろう。
息子に心臓を提供していただける方を待ち続けるだろう。
いや、もし自分のこの心臓を息子にあげることができるのなら、そうするかもしれない。
今回、この女の子のご両親の決断によって、そうした移植を心待ちにする人たちへの命のリレーが行われることになった。
それはきっと、そうした人たちへのひとすじの希望の光となったろう。
だが、それは誰にでもできる決断ではない。
脳死とはいえ、目の前で眠っている我が子を前にして、その子の死を果たして受け入れることができるのだろうか。
そして死を受け入れられたとしても、臓器提供することで多くの人の命を救うことができると分かっていたとしても、果たして目の前の我が子の身体から臓器を取り出すことができるだろうか。
僕の祖母が大動脈瘤の手術がもとで亡くなった時、医師は、祖父に後学の為に祖母の遺体を病理解剖させて欲しいと言った。
祖父はその時、
「どうか、妻の身体をこれ以上切り刻まんとってください。もう、安らかに眠らさせてやってください。」
と泣いて医師に懇願した。
僕はその時の祖父の気持ちがよくわかる。
先ほども述べたように、こればっかりは、その時の立場に立たされなければ、本当の意味で、自分がどう決断するかなんてわからない。
もしかしたら、他の人の臓器の一部となって生き続けることができるのなら、と思えるのかもしれないし、それはわからない。
ただ僕という人間は、どちらにしても臓器を提供しようが、提供されようが、どちらの側に立たされたとて、我が子のことばかりで、この女の子のご両親のように、臓器移植を心待ちにされている方の為に、なんていう貴い気持ちを持っているわけではない。
そういう意味では、このご両親の決断に頭の下がる思いがする。
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