こちらは時間をかけて紡いだ言葉です。
日録8
歩む足首からしずかに穢れいき
日日の語らいが少しずつ消えて
心音が弱まりいく予感のうちに
まだ足りない数をかぞえながら
安らかだったひと時に追憶する
うっすらと香るひとの掌の色に
足裏はいつも鮮やかだったから
ひとみの内側から色あせていき
誰かの背中が確実に壊れている
追い詰められる日日の語らいに
空洞化する背骨の痛みは増して
陽射しははやあわく掠れていき
首筋に明確な血管が浮き上がり
目の前の出来事はすぐ忘れられ
きれいだった唇がただ明るんで
死んだ人たちがもう一度殺され
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