日録8
森川雅美
いくつもの足たちが踏みつけいく
わずかな揺らぎに似た哀しみなら
留まる一瞬の面差しも確かにあり
日没までのかすかな囁きが聞こえ
小さく躓き見えなくなる人たちの
毎日の計算はいつも数が合わずに
くり返し指の先までも震えていて
人が人の上にまた積みかさねられ
一点からの波紋が少しずつ拡がり
何処まで歩いて行くのかと問いは
いつでも背後からの知らない声で
樹のこずえの先が少しだけ動いて
まだ見えない掌の白さなのだから
遠方からの陽光も確かに射しこみ
どこに抜けいく名残なのかと呟く
水音が足元に流れつづけるままの
今日の風向きがゆるやかに変わり
人を大切にする政治になりますように。
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