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2014年12月12日08:42

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東ベルリンから来た女(Barbara)


 


ベルリンの壁崩壊前の東ドイツを舞台に、秘密警察の監視のもと西側への脱出を計画する女性が、ある決断を下すまでの日々を描いたドラマ。2012年・第62回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(監督賞)を受賞した。東独の田舎町の病院へ赴任してきた美しい小児科医バルバラは、西側で暮らす恋人のもとへ脱走する計画を進めていた。しかし、誠実な医者の男に出会い、バルバラは医師としての自分を求められている東の生活と、自由で豊かな西への生活、そして2人の男性の狭間で揺れ動く。(映画.comより)





 ベルリンの壁は1989年に崩壊するんです。でもそんなこと、崩壊前はわからないですものね。だから人々は、どんな危険を冒してでも西に移ろうとするのです。もっとも、壁が崩壊した今でも、状況は厳しいと聞いたこともありますが。

主人公のバルバラは、優秀な医師。かつては東ベルリンの大病院で働いていました。しかし、彼氏と一緒の西側への移住申請を政府に撥ねつけられ、秘密警察(シュタージュ)の監視付きでバルト海沿岸の田舎町に飛ばされて来たのです。

赴任先の病院には、もちろん彼女を監視する役目の医師(アンドレ)もいるわけで。優しく接してはくれますが、アンドレには気を許すこともできない毎日。そして、彼女の家には時々家宅捜索が入ります。裸になって身体検査までされる屈辱も。美しいのに常にこわばった表情をしている彼女の心理的負担はいかばかりか。

そんな中、作業所から逃げてきた少女を救ったバルバラ。何度も試みた逃亡や素行不良により、見逃されるところだった少女の症状を「髄膜炎かも」と診断したのです。

そんななかでも、人目を忍ぶ彼氏との逢瀬には女になります。そして、彼氏の協力の元、西へ逃げる手はずを徐々に整えるバルバラ。

しかし、彼女を監視するはずのアンドレは、過去にいろいろあったにせよ、もはや出世欲もなく、医師として誠実に生きています。そして、本当に助けが必要な患者たち。バルバラの心は揺れます。

作業所とは名ばかりで、本当は死ぬまで追い詰めるような施設だと少女から聞いたバルバラ。あろうことか妊娠しています。彼女は、初めて自分に優しくしてくれたバルバラを慕っています。

規則により、治療が終わると作業所に戻される少女。しかし、西への逃避を決行するべくまさにその日、はるか遠い作業所から、再び逃げ出してバルバラの元にやって来た少女。この子たちをも捨てて西へ?

映画は「善き人のためのソナタ」と同時代。同じ時代を生きたヒロインの葛藤と決断を別の角度から描いたものと言えます。

にこりともしない美人医師の冷徹すぎる表情は、今の私たちには想像できない程のプレッシャーの表れ。胸が締め付けられます。つらい時代だったのですね。

シリアスな映画です。体調のいいときにどうぞ。

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