mixiユーザー(id:2958687)

2014年12月12日00:06

112 view

11月の読書記録

先月は先々月のリベンジを果たそうと思ったのだけれど、意外と思うようにいかなかったな…でもナイスの数が多いのが嬉しい。

2014年11月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:4598ページ
ナイス数:80ナイス
http://bookmeter.com/u/4147/matome?invite_id=4147

■潤一郎訳 源氏物語 (巻1) (中公文庫)
かねてから気になっていた『潤一郎訳源氏』。訳文はあっさりしているという印象ですいすい読み進めることができるのだけれど、主語が省略されているため、ストーリーが追いづらいというのが難点。というわけで初心者にはお勧めできない。これまで幾つかの訳で『源氏』を読んで、ある程度ストーリーを把握できているから、何とか読めるという感じ。潤一郎訳を本腰入れて読もうと思ったら、横に解説書や他の人の訳などを置いて読むべきではないか?という気がした。ただ、一読したときのわかりにくさ故、逆に長く付き合うにはいいのかもしれない。
読了日:11月30日 著者:紫式部
http://bookmeter.com/cmt/43160579

■日本精神分析 (講談社学術文庫)
講演を元にしたというだけあって、比較的読みやすいが、内容は濃い。特に印象的だったのは「入れ札と籤引き」。議会民主制が抱える矛盾と限界についての考察は、まさにポピュリズムが席巻する昨今だからこそ改めて読まれるべきではないか?という気がした。また、選挙や大学入試に籤引きを取り入れるという提案は、一見荒唐無稽だけれど、それなりの妥当性はある。その可能性はある程度追求すべきではないか?後、「言語と国家」ですでに後の『世界史の構造』の発想が見られるのが興味深い。それから、巻末の付録が思いの外楽しめた。
読了日:11月26日 著者:柄谷行人
http://bookmeter.com/cmt/43066525

■思想史の名脇役たち: 知られざる知識人群像 (河出ブックス)
現在ではあまり顧みられなくなったフランス現代哲学者の経歴と思想を取り上げることによって、哲学史の新たな側面を炙り出そうとする画期的とも言える一冊。各々の思想についての解説はかなり難解で、その全てを理解できたわけではないがかなりの刺激を受けた。それよりも興味深かったのが、伝記的記述。各々の思想家が、意外なところで他の思想家と結びついたり、あるいは敵対関係にあったりと、何かと発見があったり驚かされたりする。ただ、プロテスタントの聖職者に「神父」という訳語を充てるなど、疑問を覚える箇所が散見されたのが残念。
読了日:11月24日 著者:合田正人
http://bookmeter.com/cmt/43011636

■現象学 (岩波新書 青版 C-11)
「昔の新書はレベルが高かったんだな…」と改めて思わされた。一応一般向けとされてはいるが、その実今時の哲学科の学部生でも本書をちゃんと読みこなすのは、結構難しいのではないか?何せ門外漢には馴染みの薄い専門用語が注釈無しに頻出するのだから。哲学を専門としない人は、哲学事典を手元に置いて読み進めた方がいいかも?それはともかくとして、その当時把握できる限りの現象学及びその周辺の学説をコンパクトに纏めたその手際の良さは評価できる。ただ、時代的制約があるのは仕方がないとはいえ、レヴィナスへの言及がないのが残念。
読了日:11月20日 著者:木田元
http://bookmeter.com/cmt/42930849

■二百年の子供
何となし冗漫という感じがして、正直あまり入り込むことができなかった。後、故意に使っているのか、会話文ではなくて、地の文にやや不自然な日本語が散見されるのも気になったし。後、次男朔が地元の少年と衝突してすぐ仲直りをするというエピソードもやや強引。このあたりは新聞連載という制約がゆえの不自然さか?できれば単行本に纏める際には、加筆修正をして欲しかったという気がする。魅力的な要素はそれなりにあるから余計に。児童文学としても、大人向けの作品としても、どこか中途半端という印象が拭えない。ラストはわりによかったけど。
読了日:11月20日 著者:大江健三郎
http://bookmeter.com/cmt/42920738

■文学評論 (講談社学術文庫)
英文の引用が多かったり、英文科畑の人以外には馴染みの薄い人が取り上げられたりと、一般向けとは言い難いが、概ね興味深く読めた。とにかく、明治時代にこれだけのレベルの英文学講義が行われていたということが驚異であると思うのだがどうか?できれば、本国の英文学研究者に評価を聞いてみたい。特に興味深かったのは、最後のデフォーを取り上げた編。解説にもあるとおり、デフォーに対する毒舌は殆ど完膚無きと言っていい程。ただ、そのような作者が書いた作品が現在も名作として残っているのか?ということを解き明かして欲しかった。
読了日:11月19日 著者:夏目漱石
http://bookmeter.com/cmt/42903516

■往生際の悪い奴
毎度のことながら、そのシニカルな語り口と、スリリングなストーリーに惹き付けられて、ほぼ一気読み。元々連載物だとのことだが、その割に話にブレがないのにちと驚き。そこそこ小器用で要領がいいのに、ここぞというところで間が悪い主人公山下清が、失敗を重ねたり、停滞時期を過ごしながらも、徐々に地盤を固めていくプロセスは、読んでいて小気味良い。一方もう一人の主人公ともいうべき、三島の姿はある程度作者自身の姿が投影されているのと同時に、そう遠くはない自分の姿を見せつけられるようで、少なからず身につまされた次第。
読了日:11月12日 著者:島田雅彦
http://bookmeter.com/cmt/42743991

■M/Tと森のフシギの物語 (岩波文庫)
読み進めいくうちに「これって『同時代ゲーム』の焼き直しじゃないか?」という思いが強くなったが、巻末の著者後書き及び解説にて、本書がいわば『同時代〜』の別ヴァージョンだと知って納得。ただ、本書におけるバフチンや山口昌男からの影響は、今日になってみると、やや鼻白む思いがするのは、僕だけか?後、著者の分身である小説の語り手に「自分はトリック・スターである」と語らせるところも「何だかな…」感が拭いきれない。作品の大半を占めて綴られる森の歴史よりも、最終章における光と祖母との邂逅がずっと心に響く気がする。
読了日:11月11日 著者:大江健三郎
http://bookmeter.com/cmt/42715585

■下手に居丈高 (文芸書)
読了後、「面倒臭い人だな…」と改めて痛感。基本的に悪い人では無いと思うのだけれど、ちょっと常軌を逸した拘りや偏見がこの人の対人関係に悪影響を及ぼしているのでは?という気がした。後、本書で印象的だったのは、いつになく饒舌に語られる日ハムへの偏愛。僕自身、プロ野球に殆ど興味が持てない人なのだが、弱小で尚かつ全体的に垢抜けない球団を敢えて応援するというそのスタンスに、著者の本質の一端が伺えるような気がする。また、「あぶさん」のモデルの一人とも言われる、元日ハム選手との邂逅を綴ったエッセイがとりわけ印象的だった。
読了日:11月10日 著者:西村賢太
http://bookmeter.com/cmt/42688832

■チェンジリング 取り替え子
内容はともかくとして、著者独特の文体と相まって、時代と場所が行ったり来たりするのが、何とも言えずまどろっこしくて読むのがちょっと辛かった、というのが第一印象。後、ある程度著者の作品に慣れ親しんでいないと、何かとわかりにくい箇所があるのが気になる。個人的に妙に印象的だったのは、「試みのスッポン」。故郷の知人から送られてきたスッポンを何とか調理しようと格闘する、著者の分身である主人公の姿は、英雄的でありながらも滑稽、無様でありながら爽快感も感じさせる、矛盾に充ちた存在として描かれているように感じた。
読了日:11月8日 著者:大江健三郎
http://bookmeter.com/cmt/42628784

■街場の共同体論
例のごとく、その内容の大半はこれまでの著作で述べられたことの繰り返しなのだけれど、それでもやはり「なるほど!」と感心させられたり、「よくぞ言ってくれました!」と賛嘆の声を上げたくなる。個人的にとりわけ印象深かった…というより、耳に痛かったのは、そのポジションが低下の一途を辿る父親について述べている箇所。別に家庭を持っていなくても、現在における男性の生き辛さを端的に述べていると思う。後、「フェミニズムと資本主義は相性がいい」という主張は世のフェミニズム論者の神経を逆なでするかのようで、何とも言えず痛快。
読了日:11月6日 著者:内田樹
http://bookmeter.com/cmt/42577874

■透明な迷宮
どの短篇も一定の質を保っており、読み応えがあったが、とりわけ印象深かったのは、冒頭の「消えた蜜蜂」だったか?他人の筆跡を真似る天才である郵便局員の話だが、何となしカフカ風。なぜだか物語の中に入り込んで、Kの人となりをじっくりと観察したくなる気になってくる。それから、巻末に収められた「RE:依田氏〜」は普通に考えれば、突っ込み所が少なくないのだけれど、それをあえて読者に対する謎かけであるかのように思わせるのが見事だと思った。後、表題作のラストも印象的。それと同時に、主人公持てすぎの感が…(笑)
読了日:11月5日 著者:平野啓一郎
http://bookmeter.com/cmt/42554964

■臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ
冒頭の著者をモデルにした主人公と息子光(彼だけが本名というのが、ちと不思議)が遊歩コースを歩く冒頭のシーンが何とも言えず印象的。「ああ、あの光が中年になったのか…」と。そして、主人公を始め、かつて駒場時代「Petit Prince」と呼ばれた主人公の友人木守も小説終盤では車椅子上の人になるなど、迫り来る老いに対抗できないでいる一方、かつて自分の庇護者にトラウマ的な性体験を強いられた女優サクラが、ある時期闘病生活を余儀なくされたものの、終盤では活力的に動くのには、ある種の感動を覚える。やはり女性は強いな…
読了日:11月5日 著者:大江健三郎
http://bookmeter.com/cmt/42545431

■コーランの世界観―イスラーム研究序説 (講談社学術文庫)
あまりに素朴な感想だが、博士論文として書かれたものが、文庫として世に出るほどわかりやすく、なおかつ内容も濃いということに驚かされる。こういう例はかなり希ではないか?それはともかくとして、本書を読んで、改めてイスラム教とキリスト教との間にある類似性と絶対に相容れないものとの対比に驚かされる。特に後半は終末や創造など、まさにキリスト教にとって看過することのできない重要な概念が取り上げられているため、とりわけ興味深く読めた。できれば、キリスト教神学がイスラム教をどう捉えているかを知りたい。概ね良書と言える。
読了日:11月4日 著者:牧野信也
http://bookmeter.com/cmt/42533202


▼読書メーター
http://bookmeter.com/

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2014年12月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   

最近の日記

もっと見る