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2014年11月28日04:48

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「隠れ多極主義が、好戦策を過剰にやって失敗することで世界の覇権体制を多極化できると考えて軍産傘下の好戦派と合流し、米政界の全体が好戦派になったから」という説明だ>はどうも?なぁ。単なる説明に過ぎない?

軍産傘下の好戦派が米政界で優勢なのは、今に始まったことでない。冷戦時
代も、911後もそうだった。911後の好戦策の失敗が確定した今になって、
好戦派が再び優勢になる理由は何か。私が提示できるのは「隠れ多極主義が、
好戦策を過剰にやって失敗することで世界の覇権体制を多極化できると考えて
軍産傘下の好戦派と合流し、米政界の全体が好戦派になったから」という説明だ。

 これまで何度か書いたが、第二次大戦で覇権国となった米国には、覇権運営
のやり方をめぐって2つの系統がある。一つは、国連の安保理常任理事国の
5大国制度を作った多極主義で、南北米州は米国、欧州は英仏(独)、ユーラ
シアはロシア(ソ連)、東アジアは中国(日本)といったように、それぞれの
地域の大国が自分の地域を影響圏として持ち、大国間の談合で世界を安定化す
る体制だ。国連を作ったロックフェラー家などが多極主義を推進してきた。

 もう一つは米単独覇権主義で、米国が欧州を傘下に入れ、ソ連や中国を敵と
して恒久対立する冷戦構造がその具現化だった。戦後の国際政治体制は当初、
多極主義で設計されたが、その後の冷戦開始でクーデター的(赤狩り、容共者
たたき)に単独覇権主義に取って代わられた。冷戦を起こして単独覇権主義を
推進したのは、軍産複合体(好戦派)と英国だった。

 敵を必要とする単独覇権体制は、敵に仕立てられた地域(中露や途上諸国な
ど)の経済発展を阻害するが、多極型体制にはそれがなく、世界中を経済発展
させる利点がある。

http://tanakanews.com/080427multipole.htm
隠れ多極主義の歴史

 多極主義は潰えたかに見えたが、1972年の米中融和で復活し、1989
年の冷戦終結につながった。多極主義者は好戦派のふりをして政権内に入り込
み、過剰な好戦策をやってベトナム戦争を失敗に陥らせ、国内外で左派リベラ
ルの反戦運動が激化するよう仕向けて軍産複合体を窮地に追い込み、ニクソン
とキッシンジャー(隠れ多極主義者)が中国と和解して冷戦終結への道筋を開
いた。負けていた多極主義者は、自分たちの真意を隠して好戦派の中に紛れ込
み、好戦策を過激にやって劇的に失敗することで成功した(だから私は彼らを
「隠れ多極主義」と呼んでいる)。

http://tanakanews.com/071218multipolar.htm
世界多極化:ニクソン戦略の完成

 冷戦後10年ほど、政治より経済が重要な、例外的な時代が続いたが、911
テロ事件という軍産複合体のクーデターを機に、米国はイスラム世界を恒久的
な敵に仕立てる「テロ戦争」の体制に入り、単独覇権主義に戻った。しかし
早速、隠れ多極主義者が「ネオコン」「タカ派」としてブッシュ政権の上層部
に入り込み、彼らは大量破壊兵器の濡れ衣が後でばれる構図を持たせつつ無謀
なイラク侵攻を挙行し、軍事と外交の両面で米国の覇権を劇的に浪費させた。

http://tanakanews.com/911.htm
911事件関連の記事

 09年から大統領になったオバマは、自滅的に好戦策をやめて外交重視の国
際協調策に転換し、イラクとアフガンから米軍を撤退して米国覇権を守ろうと
する策を採った。しかし、軍産の側は、アルカイダ系のイスラム過激派勢力を
扇動してリビアのカダフィ政権を転覆したり、シリアで内戦を起こしたりして、
米軍がリビアやシリアに軍事介入せねばならなくなる状況を作り出した。リビ
アやシリアの内戦が悪化する中、オバマは両国への本格的な軍事介入(地上軍
派兵)を拒否し続けるのが困難になった。そこでオバマが昨夏に採ったのは、
シリア問題の解決をロシアに丸投げし、ロシアの監督下でシリア政府が化学
兵器を廃棄する多極主義的なシナリオだった。ロシアは最近、シリアのアサド
政権を正式に支持する表明を放っている。ロシアの支持を得たので、アサドが
転覆される可能性は大幅に減った。

http://tanakanews.com/130913syria.php
シリア空爆策の崩壊

http://edition.presstv.ir/TextOnly/detail.aspx?id=387666
Russia backs Assad in Syria crisis

 オバマは、イラン核問題についても、イランの濃縮ウランを核燃料化し、兵
器としての使用を困難にする工程をロシアが受注し、イランの原子力産業をロ
シアの傘下に入れることで核問題を解決する多極主義的な策を進めている。イ
ラン核問題の交渉は先日6カ月延長されたが、いずれロシアに任せる形で解決
するだろう。オバマは、軍産(好戦派)がシリアのアサドを敵視し、イランに
核兵器開発の濡れ衣を着せている構図を受け入れて好戦派に同調しつつ、当然
の帰結として事態がうまくいかなくなると、解決策としてロシアに丸投げし、
シリアやイランをロシアの傘下に押しやってしまう多極主義をやっている。

http://tanakanews.com/141027iran.php
◆イランと和解しそうなオバマ

http://tanakanews.com/130917russia.htm
プーチンが米国とイランを和解させる?

 今年6月には、軍産が敵として育てたISISがイラクの大都市モスルを陥
落して台頭し、米地上軍がイラクに再介入すべきだとの主張が米政界で増えた。
しかしオバマは地上軍の本格侵攻をせず、イランに「ISISとの戦いを拡
大してくれるなら核問題を解決してやる」と持ちかけ、イランがイラクを傘下
に入れることを容認する多極主義的なやり方で、ISISと戦おうとしている。

http://tanakanews.com/140924isis.php
◆敵としてイスラム国を作って戦争する米国

 軍産(国防総省)は、ISISを中東への恒久軍事駐留の道具(理由)とし
て維持しておきたいので、ISISと本気で戦う気がない。オバマは、自分で
直接現場の米軍司令官に命じてISISを本気で潰す空爆を続けている。国防
総省の幹部たち(軍産)とオバマとの対立が激化し、ヘーゲル国防長官が辞任
に追い込まれた。後任には、元国防次官のミシェル・フルールノアの名前が取
り沙汰された。フルールノアは軍事産業とのつながりが深い好戦派で、彼女が
国防長官になれば、オバマに対する軍産の圧力が強まりそうだった。しかし下
馬評に挙がって数日後、フルールノアは国防長官にならないと表明した。リー
ド上院議員ら他の候補も、国防長官にならないと言っている。

http://news.antiwar.com/2014/11/25/with-hagel-gone-does-anyone-really-want-to-be-defense-secretary/
With Hagel Gone, Does Anyone Really Want to Be Defense Secretary?

 これが意味するところは、たとえフルールノアが国防長官になっても、彼女
や軍産がやりたいように(ISISの温存)はやれず、オバマの命令に従って
ISISと本気で戦わねばならず、就任する利得がない、ということだ。
ISISを本気で潰す戦いをやるオバマは「好戦的」に見えるが、実のところ
逆で、ISISを本気で潰さずのさばらせることが好戦派(軍産)のやりたい
ことだ。

http://tanakanews.com/141015isis.php
◆イスラム国はアルカイダのブランド再編

 好戦派は今春来のウクライナ危機でロシアへの敵視も強めている。ロシアを
敵視し制裁するほど、プーチンは中国との結束を強めて米国の覇権を引き倒そ
うとする動きを積極化する。中国が外貨備蓄として持っている米国債を売り放
つと、米国の覇権は崩壊する。米政界で好戦派が席巻し、米国がロシアや中国
を敵視するほど、中露は結束し、ブラジルや南アなども米国に愛想を尽かし、
EUを率いるドイツも米国の言うことを聞かなくなり、静かに露中と協調する
ようになる。

http://www.ft.com/cms/s/0/93e5e066-757a-11e4-b1bf-00144feabdc0.html
Merkel offers Russia trade talks olive branch

 911やイラク戦争のころは、国際的にロシアの影響力は今より少なく、露
中の結束もそれほど強くなく、経済面でも中国より米国の方が優勢だった。し
かしリーマン危機やオバマのロシア依存の中東政策などを経た今、ロシアの国
際政治力と中露結束が強まり、中国は購買力平価でGDPが米国を超えている。
米国は、国際政治力が落ち、経済も金融バブル膨張のひどさが顕著になって
いる。

http://tanakanews.com/141115gold.php
◆金融危機を予測するざわめき

 このように中露と米国の優劣が逆転している中で、米国が以前に増して好戦
的になり、中露への敵視を強めると、中露は米国の覇権を崩して多極型の覇権
に転換する試みを増強し、今後いずれかの時点でその転換が具現化し、米国で
金融危機とドル・米国債の崩壊が起こり、覇権体制の多極化が実現する。これ
は、米国の多極主義者たちの目標の達成でもある。

 もとから好戦的な軍産(単独覇権主義者)と、好戦策をやることで多極化を
達成できる(隠れ)多極主義者という、米国を動かしてきた2つの勢力の両方
が、好戦策をやることを望んでいるので、米政界はますます好戦派に席巻され
ている。イラク占領の失敗以来、一時低調になっていた好戦派が、今また再び
台頭してきたのは、中露が結束して強くなり、この局面で米国が中露敵視の好
戦策を過激にやれば、中露が本気で米国に対抗し、米国覇権を崩して世界を多
極化できるからだろう。米国は今後、単独覇権が崩れるまで好戦的な姿勢をや
めないだろう。



この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/141127hawk.htm

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー以上転載ーー
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