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2014年11月22日21:58

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2014.11.22 秋元信一氏講演会 『放射能のアブラムシへの影響』

福島第一原発事故後、放射能で汚染された地域では、生物たちにどのような影響が出ているのか?
高汚染地域にいるアブラムシの生態を調べている、北大農学研究院教授の秋元信一氏の講演会へ行ってきました。

その概要をざっくりとまとめました。
画像の一部に私の汚い字が写っていますが、気にしないで下さいあせあせ


・2012年6月、福島第一原発から北西へ32kmの川俣町山木屋にて、アブラムシの一種「ワタムシ」の幼虫を167匹採取し、他地域で採取した1,559匹と比較した。

・採取した場所の空間線量は約4マイクロシーベルト/時。

・採取中に気付いたことだが、ミツバチ、モンシロチョウなどの昆虫を全く見かけなかった。

・ジョロウグモも見かけなかった。ジョロウグモの存在は、餌となる昆虫が多くいるかどうかの指針になる。

・鳥の鳴き声がしなかった。

・秋に来た時は、トンボも見かけなかった。

・(質疑応答にて参加者から)夏に飯舘村へ行った時、セミの声が聞こえなかった。

・調査の結果、167匹中22匹(13.2%)に形態の異常が見られた(他地域の形態異常は約4%)。
(画像1:形態異常の例)

・成虫にならずに死亡した個体は、167匹中24匹(14.4%)だった(他地域の死亡率は3.1%)。

・死亡したアブラムシのミトコンドリアを調べたところ、14体に異変があった。

・そのうち2体のミトコンドリアからは、アミノ酸に異変が見られた(←アミノ酸に異変があるということは、とんでもなく大変なことらしい)。

・ところが、翌2013年、2014年に同地域で採取したアブラムシからは、形態異常、死亡率ともに他地域と比べても有意な差は見られなかった。

・2012年のアブラムシからは異常が多く見られ、翌年以降少なくなった理由は、2012年に形態異常を起こさなかった個体だけが生き残ったからだと思われる。

・しかしここで疑問が生じる。昆虫は一般的に放射線に強いと言われる。人間は7〜8シーベルトでほぼ致死率100%だが、昆虫は数十シーベルト、中には400シーベルトの被曝でも死なない種もいるし、形態異常も報告されていない。ところが、今回ワタムシを採取した場所の線量は、4マイクロシーベルト/時。虫にとってはごく低線量な環境で、なぜ形態異常や致死率が上がるのか???

・考えられる原因としては、木の樹皮や葉に付着した放射性物質の塵が、ワタムシに付着して、局所的に強い被曝を引き起こした、ということが考えられる。
(画像2:放射性粒子の散乱)

・美味しんぼの鼻血問題も、同様のメカニズムで引き起こされたというのは、有り得る。

・鼻血否定論者は、「1シーベルトの被曝をしないと鼻血は出ない」と主張するが、厳重に管理された場所での放射線照射実験(線源が遠く、全体が被曝)による知見と、外部に撒き散らされた放射性物質による被曝(線源が至近距離で、ごく一部分が被曝)とを、同列に語ることはできない。
(画像2:2種類の被曝)

・しかし、同様の環境を再現して実験をやろうとしても、要は実験室に放射性物質をばら撒いたような環境でやらなければならないので、危険でできない(←法律違反になるあせあせ

・京大原子炉実験所の今中哲二氏のチームが飯舘村の牛を調べたところ、酸化ストレス(活性酸素による細胞の破壊)が見られた。
(画像3:福島原発事故被災動物の線量評価事業)

・一方、大阪大の中村裕夫氏が、飲料水としてマウスに100ベクレル/ml(=10万ベクレル/kg)の水を与え続けたが、有意な差は出なかった。

・東北大学の林剛平氏が、イネを4マイクロシーベルト/時の環境に3日間置いたところ、酸化ストレスに対する防御反応が起きていることが分かった。

・東北大学の中島正道氏が、福島と北海道のサクラマスを比較した結果、イネと同様のことが起こっていたことを発見した。

・放射線のワタムシへの影響は、被曝によって活性酸素が発生し、DNAの切断、細胞の炎症等を引き起こし、形態異常の原因になると考えられる。
(画像3:まとめ「放射線の影響」)

・さらに活性酸素が発生すると、細胞は酸化ストレスに対する防御反応をおこし、新たな病気を発生させる(風邪のようなもの?)。

・ワタムシの採取は年寄りだけでやっている。これから何十年もかけてやらなければいけない研究なので、本当は次の世代に引き継いでもらいたいのだが、あまり若い人を現地に行かせて被曝させたくない、というジレンマがある。

・放射能の生態系への影響を調べる研究者は非常に少ない。有意な変化が小さい、例えば1%程度ではデータを集めても、研究の価値がないと考える人が多いようだ。しかしたとえ1%でも、個体数が100万あれば1万に相当するわけで、果たしてそれを無視していいのか?

・テレビでも同じことを取材されたが、「人間には当てはまらない」という但し書きを勝手に付けられてしまう。

・(質疑応答にて)私は「食べて応援」はしてません。
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・・・とまあ、こんなところです。

今まで放射線の被曝影響というのは、『遠い』線源から、放射『線』だけを、『全身』に浴びた場合でしか語られてきませんでしたが、『至近距離』から、放射『能』を、『局所的』に浴びた場合のことを考えなければいけないという感想を持ちました。

そうでないといつまでも、「1シーベルト浴びなきゃ鼻血は出ない(キリッ」なんて論理がまかり通ったままになってしまいます危険・警告
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