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2014年11月05日19:00

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10月の読書記録

10月は特に後半、ケアマネの勉強に専心していたため、読書は滞りがち。それに加えて、職場が何かとえらいことになって、読書が捗らなかったというのも大きい。11月は10月の分を取り戻そうとは思っているのだけれど…

2014年10月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:3420ページ
ナイス数:58ナイス
http://bookmeter.com/u/4147/matome?invite_id=4147

■イスラームとコーラン (講談社学術文庫)
著者後書きでも述べられているとおり、ラジオ放送を元にしただけあって、非常にわかりやすく、なおかつ内容は濃い。それはともかくとして、これまで何冊かイスラム・アラブに関する書物を読んできたが、読めば読む程、彼らの思想に埋めようのない違和感を覚えたのだけれど本書を読んでも、その印象は変わらず。また、一クリスチャンとしては、ユダヤ教、キリスト教との関係性を有しながら、それと同時にどうしても超えられない一線を固辞するイスラム教のあり方に今更ながらに興味を覚えた。その互いに譲れない線をどう対処するかが問題か?
読了日:10月31日 著者:
http://bookmeter.com/cmt/42425464

■読む人間
久しぶりに手にした大江の作品。それまであまり知らなかった著者の読書歴が詳細に語られているのが、興味深い。個人的には冒頭にシモーヌ・ヴェイユに触れているのが、とりわけ印象的だった。彼女の名前を思わぬ所で目にすると、いつものことながら何とも言えない感慨を覚える。後、印象的だったのは、サイードと共に、幾度となく言及される、義兄であり長年の親友だった伊丹十三。高校時代互いに孤独だった二人がごく自然と友達になり、色々なものを共有するに到ったというエピソードが良い。例え後年、二人の間に愛憎関係が生じたとしても…
読了日:10月31日 著者:大江健三郎
http://bookmeter.com/cmt/42419110

■アラブ的思考様式 (講談社学術文庫 398)
「アラブの人って面倒臭いな」というのが第一印象(笑)。とにかく日本人である我々とは物の考え方捉え方が根本から違うということを改めて認識。他の感想でも述べられている著者の体験談は、いやしくもアラブ思想史を専門とする人間として、あまにも初歩的なミスだろう、と突っ込みを入れたくなるが、それでもアラブ系の人達の特異性を物語っているものと言える。それはともかくとして、本書でとりわけ驚かされたのが、例えば同じ馬を指す言葉一つにしても夥しい数の単語が存在し、しかもその単語に共通する語幹がないということ。やはり面倒臭い…
読了日:10月29日 著者:牧野信也
http://bookmeter.com/cmt/42382239

■語られざる哲学 (1977年) (講談社学術文庫)
百頁強という短めの書物だが、内容はかなり濃い。とにかく著者の学問や文学に対する迸るような熱情にあてられる。とりわけ西田に対する多大な敬意を吐露くるくだりには、ある種打たれるものがある。翻ってみるに、昨今の大学教育といえば、効率ばかりが取りざたにされるというのが現状。それだけに当時の雰囲気には何とも言えない憧憬を覚える。現在、これだけの熱情を持って学問に対峙しようとする若者がどれだけいるだろうか?各種メディアを通じて、様々な情報が容易に得られたことによって、我々は多くの物を失ったに違いない。
読了日:10月28日 著者:三木清
http://bookmeter.com/cmt/42343727

■現代思想の断層―「神なき時代」の模索 (岩波新書)
取り上げられている思想家にそれ程精通していないため、理解の程は怪しいが、概ね興味深く読めた。個人的に驚かされたのは、大学で安定した教授生活を送っていたものと勝手に思い込んでいたウエーバーが実はかなり不遇な時代を過ごしていたということ。ウエーバーの伝記的エピソードは意外に知られていないということを認識した次第。またウエーバーだけでなく、本書で取り上げられている思想家全員が亡命を余儀なくされたり、大学の職を追われたりと、某か不遇な目に遭っているというのが印象的。それが彼らの思想の魅力になっている気がした。
読了日:10月23日 著者:徳永恂
http://bookmeter.com/cmt/42213698

■私とは何か (岩波新書 新赤版 (664))
帯に掲載されている言葉が示唆する通り、哲学的エッセイという趣が強い。そのためか、直接に哲学者を扱った章より、禅や山頭火、尾崎放哉といった歌人を扱った章の方が個人的には興味深く読めた。特に座禅から見た我を論じた「立って『我』」の章は、普段我々が何気なく行っている「座る」という行為について、虚を突かれるような気づきを与えてくれた。また、漱石を扱った最終章では、近代的自我のあり方と正面から取り組んできた漱石の苦悩を改めて垣間見ることに。特に『道草』を扱ったごく短いくだりで言及された人間のエゴは非常に重い。
読了日:10月16日 著者:上田閑照
http://bookmeter.com/cmt/42047630

■<戦前>の思考 (講談社学術文庫)
講演集ということで読みやすいが、内容はかなり高度。それから著者後書きを読めばある程度納得できるが、このタイトルは本書の内容をちゃんと言い表しているように思えないというのがちと気になる。それにしても、本書が世に出てはや二十年を経ても、柄谷が投げかける問題意識は今日でも殆ど古びていないということに驚かされる。折しも偏狭なナショナリズムが勃興し、国民不在のまま重大な法律がすんなり通ってしまう昨今。そんな中で本書が掲げるナショナリズムや議会政治、自由についての言説は読者に少なからず示唆を与えるに違いない。
読了日:10月16日 著者:柄谷行人
http://bookmeter.com/cmt/42032232

■ペール・ゴリオ パリ物語 バルザック「人間喜劇」セレクション (第1巻)
以前、新潮文庫版で読んだ物を、新訳にて再読。他の「人間喜劇シリーズ」を読んだ後で、読み返すとやはり新たな味わいがある。最初読んだ時には、全くと言って言い程気づかなかったヴォートランの同性愛的嗜好を今回かなりリアルに感じたのがまず印象的。それから、印象的…というか半ば辟易させられたのが、ゴリオ爺さんの盲目的なまでの娘への献身ぶり。こういう猫可愛がりは当人にも相手にも害にしかならない、という良いサンプルかも知れない。他の所で述べられていたが、この献身ぶりにはかなり近親相姦的な傾向が見受けられる気がする。
読了日:10月14日 著者:バルザック
http://bookmeter.com/cmt/41982163

■漱石―母に愛されなかった子 (岩波新書)
サブタイトルが示すように、ひたすら母に愛されなかったという漱石像に基づいて漱石の著作を紐解いていく評論。一般的には爽やかで一本気というイメージが強い『坊っちゃん』も本書によると、かなり鬱積した物を抱えた人物として捉え返されるのには虚を突かれた思いがした。それにしても、本書を読んでいると、「漱石の作品の主人公って、その殆どが面倒臭い奴だったんだな…」ということを改めて認識(笑)。改めて漱石の作品を読み返したくなった。後、漱石程ではないが、母親との関係に鬱屈を抱えている者として、身につまされるものがあった。
読了日:10月11日 著者:三浦雅士
http://bookmeter.com/cmt/41885358

■薄明鬼語―西村賢太対談集
わずか二年の間を置いて二冊目の対談集が出る。しかも芥川賞受賞で世に知られるようになってまだ数年…この事実一つだけをとっても西村氏がかなり特異な位置を占める作家である証左のように思う。ただ、内容は悪くないのだけれど、対談相手の濃さに比して、ちょっと食い足りないかな?というのが正直なところ。個人的にはマツコとの対談が最も興味深く読めたか。双方とも世に出るまで悶々とした時期を過ごしたという共通点があるので尚更。後、六角精児とは今後また違う形でどんどん絡んでいって欲しい。とりあえず西村原作の映画化の際は是非…
読了日:10月8日 著者:西村賢太
http://bookmeter.com/cmt/41830812

■詩学と文化記号論―言語学からのパースペクティヴ (講談社学術文庫)
発表済みの論文を編集して一冊に纏めた物ということで、一貫した流れのある読み物を期待していた者として、若干肩透かしを喰わされた気に。タイトルからして、文学作品の分析が主題になるのか?とも予想していたのだけれど、それは主に前半のみということで、これもちと期待外れ。全体としてはそれなりに興味深いが、個人的には食い足り無さ感が否めず。日本語と英語との発想の違いについて論じた最後の章が最も興味深く読めたが、ここで著者が少なからず影響を受けたと思われる廣松の事的世界観についての言及がなかったのがちょっと不満か?
読了日:10月7日 著者:池上嘉彦
http://bookmeter.com/cmt/41807836

■マホメット (講談社学術文庫)
恐らく著者が学者として油が乗り始めた時期に書かれた物であろうということを感じさせる、迸るような熱情に溢れた文体が印象的。多くの読者はその文体に引き込まれて一気に読み終えるに違いない。ただ、一気に読み終えて終わりにするには、あまりに多くの示唆や含蓄が秘められているのも確か。著者自身も述べているように、あえてマホメットが誕生するまでの歴史的背景に多くの頁を割いたということに読者は思いをはせるべき。そして、我々から見たらかなり特異に思える歴史的背景の中でなしたマホメットの偉業はまた新たな意味を持ってくる。
読了日:10月5日 著者:井筒俊彦
http://bookmeter.com/cmt/41741407

■仏教と事的世界観 (1979年) (エピステーメー叢書)
対談形式ということで嘗めてかかったが、これがとんだ食わせ物(笑)。何せ双方が哲学及び仏教の碩学ということで、その内容は相当に高度。しかも、一般の人には馴染みの薄い用語が到る所に出現し、それでいて注釈が極端に少ない。これはあまりに不親切。とりあえず近代の閉塞した世界観を打開するために実態概念から関係概念へとパラダイムシフトすることが肝要であり、そのために仏教的世界観が参考になるということは理解できたが…それから気になったのが、本書が出て三十数年を経ても、その閉塞感を打開できていないのでは?ということ。
読了日:10月3日 著者:広松渉,吉田宏晢
http://bookmeter.com/cmt/41680968

■秋のめざめ (集英社文庫 8-D)
本書を読み進むにつれて、そのストーリー展開の危うさに「これは恐らく連載物だったのだろう」という印象を抱いたのだけれど案の定新聞連載物だった。大枠としては悪くないのだが、ちょっとしたことが積み重なって作品の魅力を大いに損なっているという連載物特有の弊害を改めて認識した次第。できることなら著者の手によって加筆修正したものを読んでみたかった。特に気になったのは、冒頭ではかなり困り者だった主人公藤子の息子雪郎がもう一人の主人公木原にあっさりと懐いてしまうというくだり。そこはもう少し突っ込んで描いて欲しかった。
読了日:10月2日 著者:円地文子
http://bookmeter.com/cmt/41653135


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