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2014年10月15日21:39

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【文字起こし・前編】2014.10.10 京都大学原子炉実験所 小出助教 福島の現状について語る

福島第一原発事故の現状と収束作業の見通し、放射能汚染の現状や被曝対策について、小出裕章さんにインタビューされた方が動画をUPして下さいましたので、その模様を書き起こしました。

長いので前・後編に分けます。
前編は主に福島第一原発の現状と、収束作業の進捗状況やこれからの見通しについてです。



小出裕章(京大助教)非公式まとめ
http://hiroakikoide.wordpress.com/

京都大学原子炉実験所 原子力安全研究グループ(小出氏が所属)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/index.html

小出裕章氏講演会情報
http://healing-goods.info/koide/


【内容文字起こし】

(聞き手:koji72st氏)

koji72st(以下、koji):はいどうも。小出先生こんにちは。お久しぶりでございます。

小出:はい。お久しぶりです。

koji:えーと、早速ですけど、えー・・・まあ、現在ですね、福島、全然解決してないと思うんですよ。で、まあ、先生の方で、今現状について把握されてると思うんですけど、これについて、先生が考えてらっしゃること、一言、二言で良いんで、お聞かせ願えますでしょうか。

小出:はい。えー・・・、2つ違った問題があって、一つは、原子力発電所そのものですし、一つは、周辺の汚染ということです。原子力発電所そのものについては、3年半以上もう、時が流れましたけれども、事故現場に行くこともできないと、そういう状況です。

koji:そうですね。

小出:壊れたのが火力発電所なら、現場に行って、どこがどんな風に壊れたか調べられるわけですけれども、原子力発電所の場合には現場に行くことすらできないまま、3年半。これから多分まだ何年も、現場にたどり着くことができない。え・・・その現場というのは原子炉が溶けてしまって、どこに行ってるかも分からないわけですけれども、ただひたすら、これ以上溶かしてはいけないということで水をかけていると。水をかければそれが汚染して、放射能で汚染して、汚染水になってしまう。当たり前のことであって、

koji:まあ海にも地下にもずっと流出していますもんね。

小出:(頷いて)もう、どんどん流れてしまっているわけです。

koji:まあ簡単に日本語で言うと、垂れ流しというやつですよね。

小出:(笑)・・・そうですね。

koji:はい。そう思いますけど。

小出:はい。そういうこと。まあ手の打ちようが無いのですね。だから私としては、もう水を入れるのは止めなければいけないとか、まあいろんな提案をしてきたのですけれども、え・・・日本の政府あるいは東京電力の方は、ほとんど何の手を打つこともないまま、事故を防げないまま、今まで来てしまったということです。

koji:放置ということですね、ほとんどね。

小出:え?

koji:放置されてるみたいなね。簡単に言うと・・・

小出:(笑)・・・まあ、毎日5000人、6000人もの労働者が働いているわけですけれども、まあ、何をしているかと言ってもただ水を入れて、それが少しでも外に出ないようにしようということ。後はまあ、これから10年続くのか20年続くのか分かりませんけれども、現場にたどり着くための、まあ様々な準備。瓦礫の撤去とかですね、いうのを今やっているということです。

koji:そうですね。

小出:それから、周辺の方は、およそ1千平方キロメートルというところが猛烈な汚染を受けていて、え・・・人々が追われて、もう、何十年も自分の住んでいた所に戻れないという、そういう状況が未だに続いているわけですし、その周辺にも、日本がもし法治国家だと言うなら、放射線管理区域という・・・

koji:はい。法律がありますね。

小出:はい。法律があるので、そういう地域に指定して、人々の立ち入りを禁ずる。私のような人間(放射線業務従事者)であっても、仮に立ち入ったらもう水を飲むことも禁じるという地域にしなければいけない、汚染地帯が、およそ1万4千平方キロメートルあるのですが、そこに数百万人もの人たちが、捨てられてしまって、今現在、被曝をしているという、そういう状況です。

koji:全く、その通りで、事実ですね。

小出:はい。事実です。

koji:えーとそれでは、まあその現状を踏まえて、今後福島でやらなければいけないこと。解決するために。これについて。

小出:まあ今聞いて頂いたように問題は2つあるわけで、え・・・原子炉そのものをこれからどうするか、という課題があります。で、汚染水を海へ流さないようにするという課題もあります。で・・・まあ汚染水を海へ流さないためには、私は2011年5月の段階で、原子炉建屋周辺に、地下の遮水壁というものを張り巡らせて、溶けた原子炉と地下水の接触を断たなければいけないと、主張したのです。

koji:そうですね。

小出:はい。ただその年の6月に東京電力の株主総会というのがあって、地下の遮水壁を作ろうとすると1千億円のお金がかかる。そんなことを言ってしまったら株主総会が乗り越えられないということで、東京電力がやらないことにしたわけです。で、何にもしないまま、ずーっと時が流れてきて、最近になって、政府の方もやっぱり遮水壁を作らなきゃいけないと、いうことになっているわけで、あまりにも遅かったと私は思いますけれども、でもやはり作らなければいけない。で・・・東京電力の方は、凍土壁という、地面を凍らせて、遮水壁を作るという計画を出しているのですけれども、私はできないと(笑)、思います。ですからそれはもうさっさと諦めて、ちゃんとしたコンクリートと鋼鉄の遮水壁を作らなければいけないと、思います。そのためには、何年もかかるでしょうし、たくさんの労働者が被曝をするんだろうなと思います。そして完成するまでは、汚染水が海へ流れ出す。それを避けることができないということです。で・・・さっきもちょっと聞いて頂きましたけれども、私はもう水を入れるというのは止めて、例えば金属で冷却をするであるとか、あるいはもう空冷を考えるとか、別の手段を取る必要があると思っています。でまあ、それをまあ当面、放射能汚染水問題をやりながら、後は溶け落ちてしまった炉心をどうするのかと、いう課題を、本気でやらなければいけません。え・・・まあ日本政府や東京電力が、溶け落ちた炉心を、いつか掴み出すと、言ってるわけですが、たぶん私はできないと思います。ですから、ん・・・まあチェルノブイリでやったように、いわゆる石棺というようなものを、やはり作るしかないと思います。

koji:閉じ込めるしかないということですね。

小出:で・・・それより前に、まずは、原子炉建屋の中の使用済み燃料プールという中に、使用済みの燃料が未だに存在していますので、それをとにかく掴み出さなければいけません。今4号機の使用済み燃料プールの中の、あった使用済み燃料を、もうたぶん9割ぐらいは、共用燃料プールに移したはずで、まあ後残っている物をまずは、移すということをやる。それから1号機・2号機・3号機にも、使用済み燃料プールがありますので、そこから燃料を掴み出さなければいけない。それにもまたたくさんの被曝を、することになると思います。それをやった挙句に、ようやく石棺というものができるようになるわけで、一体そこまでたどり着くのに何年かかるんだろうかなと、不安に思っています。

koji:そこでちょっと質問なんですけど先生、

小出:はい。

koji:えー、今まあ、4号機が9割、だいたい取り出しているであろう。でも、1、2、3号機プラントの、使用済み燃料プールにはまだ、使用済み燃料が残っていますよね?

小出:残ってます。そのまま。

koji:で、えーと・・・僕のほうが聞いた話では、3号機はかなりの汚染で、そこに入ることすらできないと。プールの方に。

小出:そうです。

koji:これは取り出すことも現在できないということですよね?

小出:そうです。

koji:そうするとその後に例えば大きな地震が来たり、何らかの災害で燃料プールの水が漏れたり、壊れたりした場合にですね、これはまたとんでもないことになるんじゃないかと思うんですけど、

小出:そうです。

koji:そうなった場合に、連鎖的に、周辺環境も汚染されて、手が付けられなくなるんじゃないですかね?

小出:えー、一番・・・使用済み燃料プールで、危険だったのは、4号機だったのです。何故かと言うと、4号機は、事故当日運転していなかった。そのため、原子炉の中にあった燃料も含めて、もう全てが、使用済み燃料プールの中にあったわけですね。

koji:1千5百・・・

小出:1533体だったと思いますけれども、それが、使用済み燃料プールの中にあった。その上、4号機でもなぜか爆発が起きて、え・・・原子炉建屋の最上階が吹き飛んでいるのですが、まあ1号機も3号機も爆発して最上階が吹き飛んでいる。でも4号機だけは、最上階だけでなくて、使用済み燃料プールが埋め込まれていたその階すらが爆発で吹き飛んで・・・

koji:宙吊り状態になりましたよね。

小出:そうなのです。ですから4号機の使用済み燃料プールだけは、半ば壊れた建物の中に宙吊り状態だったのです。そこに大量の使用済み燃料があったわけですから、それが・・・水がなくなって、溶けるようなことになれば、東京すらがもう住めなくなると、当時の原子力委員会の委員長(近藤駿介)自身が、言っていたわけです。ですからまずそこを何とかしなければいけないということで、まあ東京電力が、他のプールよりまず4号機と、いうことで、

koji:補強作業とか、そういうの色々としましたよね。

小出:はい。去年の11月からその移す作業を始めて、まあようやく1年ぐらいかけてきたわけで、たぶんこの一月・二月の間には、4号機の使用済み燃料は、移し終えるんだろうなと私は期待しています。えー・・・そして、なぜその4号機が、比較的早くできたかと言うと、4号機自身は今聞いて頂いたように原子炉が運転していなかったがために、4号機の燃料は溶けなかったわけですね。使用済み燃料プールの底に残っていた燃料も、まあ、あれも溶けたと言う人もいたけれども、たぶん溶けていなかったわけです。ですから4号機は、原子炉建屋の中が、放射能で大きくは汚染されていないと。

koji:そんなに汚れなかったと。作業ができるくらいで。

小出:はい。あの、1号機から3号機まで爆発して降ってきているので、4号機も汚れてはいるけれども、作業ができるくらいの汚れだった。

koji:まあ何とかね。被曝はするけれども。

小出:はい。だからまあ4号機の使用済み燃料プールから、一番初めに取り掛かって移したわけですが、今kojiさん仰ってくれたように、3号機なんていうのはもう猛烈な汚染になって、

koji:たぶん人が近づくと死んでしまうしかないぐらいの・・・

小出:まあ、そうですね。(聞き取れず)わけで、とにかく3号機使用済み燃料プール周辺の、汚染をまずきれいにしないと人が行かれないということですね。ですから今は遠隔操作の重機を使って、瓦礫なんかを取り除こうとしてるわけですけれども、

koji:まあ何か最近の情報だと、それも何か難航してるっていう話でしたよね。
(※がれき撤去中断続く 第一原発3号機核燃料プール 落下物の回収困難 http://www.minpo.jp/news/detail/2014100318407

小出:そうです(笑)。ですから・・・まあ、人間が現場に行って操作をすればまだ、やり易いわけですけれども、人間が近づくこともできない、遠くから遠隔操作で重機を動かしているわけで、例えば使用済み燃料を、移動させるための操作卓なんかが、動かそうとしたら落としてしまったと、いうわけですよね。それでまた使用済み燃料が、また何か破損をしているかもしれないわけですし、とにかくもう作業自身が困難を極めている。で・・・それをやりながら、とにかく何とか、瓦礫を片付けて、汚染も何がしかきれいにしない限りは、そこに現場に人が行くこともできませんので、まずは、使用済み燃料を取り出すことも難しいだろうと、思います。

koji:まあでも、必ずやらないと進まないことですね?

小出:そうです。必ずやらないといけません。

koji:分かりました。

小出:はい。

【後編に続く】→http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=23621043&id=1933883365


■セシウム濃度、過去最高=地下水、25万ベクレル―東電「台風の影響」・福島第1
(時事通信社 - 10月14日 20:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=3095502
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