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2014年10月05日21:23

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【文字起こし】2014.10.4 ラジオ・フォーラム第91回 小出裕章ジャーナル【廃炉の抱える問題点について】

私事ではありますが、10月2日の日弁連人権擁護大会にて行われた、小出さんの講演を聴きに行きました。

テーマは核燃料サイクル。既に破綻しているこの計画にいつまでも拘り、原子力を止めようとしない国を痛烈に批判されていました。

小出さんは来年3月で京都大学を退官されるので、北海道では退官前最後の講演。
聴きに行ってよかったですわーい(嬉しい顔)



ラジオ・フォーラム第91回の紹介ページ
http://www.rafjp.org/program/091/

小出裕章(京大助教)非公式まとめ
http://hiroakikoide.wordpress.com/

京都大学原子炉実験所 原子力安全研究グループ(小出氏が所属)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/index.html

小出裕章氏講演会情報
http://healing-goods.info/koide/


【内容文字起こし】

パーソナリティ:湯浅誠(社会活動家)

湯浅:小出さんよろしくお願いします。

小出:こちらこそよろしくお願いします。

湯浅:今日は、「廃炉の抱える問題点」ということなんですけれども、

小出:はい。

湯浅:えー、まあ運転開始から40年前後が経過した古い原発は、基本的・原則的に廃炉にすると、まあそういう話になっておりますが、

小出:はい。

湯浅:それに当たって、そもそも廃炉についてちょっと、学びたいという感じなんですけれども、まず廃炉っていうのは、何なんでしたっけね?単に原子炉を停止させるだけじゃないんですよね?

小出:そうですね。ですからあの・・・皆さん、40年で廃炉にするということがまあ、よく言われるわけですけれども、

湯浅:はい。

小出:それは単にその時点で運転停止するということであって、それまで動いていた原子力発電所をどうやって始末するかという、長い長い年月がその先に待ち構えているのです。

湯浅:うーん・・・。

小出:で・・・最終的に、まあ放射能のゴミそのものは、消すことはできませんけれども、少しでも安心できる状態にするまでに、それこそ50年経つのか100年経つのかという、そういうことが、まあ廃炉ということの作業なのです。

湯浅:ということはまあ40年経ったところで、廃炉にするけども、それは・・・

小出:えー運転停止するけれども、

湯浅:そうですね(笑)。

小出:はい。それから廃炉の作業が始まるということです。

湯浅:そうですね。廃炉に着手するのは40年で、完了するのはさらにその何十年後かもしれないと。

小出:もう、いつになるか分かりません。はい。

湯浅:なるほど。そうすると、まあ当然ながらその間の、工事費、維持管理費、もちろん放射性廃棄物の後処理、いろんなことがかかると思うんですが、

小出:そうです。

湯浅:電力会社がまあ・・・なかなか廃炉にできないでこの間来ているのは、何が一番の原因なんですかねえ?

小出:まずは金儲けに、原子力発電所を使いたい。40年経ってまだ動いているなら、それからまた20年使いたいとか、彼らはまず思うわけですね。それが一つの一番大きな理由だと思いますし、もう一つは、運転停止したところで、それ以降の廃炉という作業が、どうやってできるかが分からないのです。今現在。ですから、あの・・・彼らとしては、少しでも先延ばしにしたいと思っていると思います。

湯浅:ああ・・・世界的に廃炉の例が無い?

小出:はい。あの、大きな原子力発電所を廃炉にした例は、1度も、1基もありません。

湯浅:ああ、そうなんですね。

小出:はい。

湯浅:そうすると、この間の原発事故と同じとは言いませんが、まあ、やったことのないことをやらなきゃいけなくて、その間色んなことがまた起こると予想される、ということですね?

小出:もちろんです。はい。

湯浅:この廃炉費用ってのは、それでもまあ、一応計算上は見積もってるはずじゃないかと電力会社は。思うんですが。

小出:(笑)、そうですね。

湯浅:いくらぐらいということになってるんですかね?

小出:えー、確か当初は200億とか300億とか言っていたと思いますが、そんなものでは到底済みませんので、何千億円という桁になるはずだと私は思います。たぶん、それでも済まないんではないかと思っています。

湯浅:はあ・・・それはやっぱり、その放射性廃棄物の地層処分とか、そこにかなり莫大なお金がかかるであろうということですかね?

小出:そうです。えーと一番危険な放射性『廃物』というのは、使用済み燃料そのもの、あるいはまあ、再処理ということをやってしまえば高レベルガラス固化体というものが、まあ一番恐ろしいものなわけですけれども、え・・・その次・・・に恐ろしいものが、原子炉本体です。30年なり40年動いて、放射能の塊になってしまったその鋼鉄をどうするかと、いうことなのです。

湯浅:うーん。

小出:で・・・使用済み燃料あるいはガラス固化体は、深地層、深い場所に埋めようと、深さ300メートルから1000メートルのところに埋めようというのが日本政府の方針なのです。では、放射能の塊になった鋼鉄をどうするかということで、それを300メートルから1000メートルの深さに埋めるのは大変なので、「余裕深度(※)」と彼らは言っているのですが、50メートルとかそのぐらいの穴に、穴を掘って埋めてしまいたいと、彼らは言っています。ただし、その場所すらが未だにありません。
(※)余裕震度処分
http://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/rw/gaiyo/gaiyo03-3.html
(経済産業省 資源エネルギー庁)

湯浅:地下300メートルって、何か、現実的なんですか?

小出:私は全然そうは思いません。私は地震学者ではありませんので、正確な判断ではないかもしれませんが、地震というのは深さ何キロ、何十キロという深いところで発生して、岩盤をバリバリ割りながら地表まで断層が現れてくるというような現象ですから、300メートル1000メートルなんていうのは全然深くないのですね。例えば東海地震なんていうのは、100年か150年に一遍ずつ起きてきたということが分かっているわけです。で、今、次に起きた東海地震で、仮に被害がなかったとしても、また100年か150年後には襲ってくるわけですね。それでまた100年から150年後にまた襲ってくると、いうことになるわけで、え・・・一度埋めてしまった放射能のゴミが、曲がりなりにも安全になるまでに10万年とか100万年とか言っているわけですから、仮に100年ごとに来るとすれば、1000回とか1万回とかその、耐えなければいけないという・・・

湯浅:・・・ということになりますよねえ(笑)。

小出:(笑)、そんなことは有り得ないと私は思います。

湯浅:うーん。まあそういうことが表立って言われなくても分かっちゃってる以上は、技術的に可能かどうかの前に受け入れ自治体の問題ということが、大きく出てくると思うんですけれども、

小出:そうです。未だに、その高レベル放射性廃物を受け入れるという自治体は一つも、日本にはありません。そのため、ある時にはモンゴルに押し付けてしまおうというような案まで出てきて、

湯浅:ありましたねえ。

小出:日本という国は恥ずかしい国だと、私は思いました。でも今後も、高レベル放射性廃物を引き受ける自治体はおそらく、なかなか出てこないだろうと思います。

湯浅:ドイツは、まあ日本の原発事故を受けて、原子力から脱却することを決めたと聞いてますが、

小出:はい。

湯浅:ドイツの場合はその廃炉、まあ順次どんどんしていくんでしょうけども、どうするんですか?

小出:えーとドイツはですね、まああの・・・カンブリア台地という古い地層に、まあヨーロッパというのはあるわけですけれども、地下に岩塩層というのが広がっていまして、要するに塩の塊が地下に眠っているわけですね。

湯浅:はい。

小出:塩の状態であるということは、そこには水が入ってこなかったという証拠だと、ドイツの人たちは考えたのです。ですから岩塩層に放射能のゴミを埋めてしまえば、水が浸入してこないから、外に放射能のゴミが漏れていくこともないだろうと考えて、一時期そのテストを始めたわけですけれども、

湯浅:はあはあ(相槌を打つ)・・・

小出:人間が岩塩層の中に穴を掘ってしまったら、そこに水が入ってくるようになってしまったのです。そのためドイツも、岩塩層に処分するという方策を諦めてしまいました。でもどうすればいいのかということに関しては、まだドイツも決めかねています。

湯浅:うーん・・・。ということは世界中どこでも、原発事故が起こんなくても、この原発の廃炉問題は、私たちの今のところ、少なくとも今のところ手に負えない問題としてあるっていうことですね?

小出:はい。まあ、科学が、いつか何か良い方法を見つけてくれるだろうと、思ってこれまで原子力をやってしまったわけですけれども、いくら経っても良い方法が見つからないというまま今があるわけです。

湯浅:どこまで、先延ばしを続けるんですかねえ?

小出:本当ですね(笑)。ちゃんと原子力を進めてきた人たちにも、自分たちが何をやってきたのか考えて欲しいと私は思います。

湯浅:うーん。まあ私たちにも、十分監視をしてこなかった責任がありますね。

小出:ふふっ(笑)、そうですね、はい。

湯浅:小出さん、どうもありがとうございました。

小出:はい。ありがとうございました。

【文字起こし終了】


核のごみ「地上で暫定保管」
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=3074134
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