いつも思うのだが、政府は年20ミリシーベルトでも住めるとか、除染の基準は毎時0.6μSv(←放射線管理区域の線量)で良いとか言うくせに、いざ住民の被曝量を計算する際になると、「ほとんどの人は年1ミリシーベルト以下でした(キリッ」と、やたら1ミリシーベルト以下であることを強調する。
20ミリでも安全なら、やたらと1ミリを強調する必要はない。
「全員1ミリシーベルト以上被曝してるけど、健康被害は起きないからガタガタ騒ぐな」ぐらい言えるはずだが
(画像は小出裕章氏・今中哲二氏の講演会資料から引用しました)
ラジオ・フォーラム
http://www.rafjp.org/
小出裕章(京大助教)非公式まとめ
http://hiroakikoide.wordpress.com/
京都大学原子炉実験所 原子力安全研究グループ(小出氏が所属)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/index.html
小出裕章氏講演会情報
http://healing-goods.info/koide/
【内容文字起こし】
パーソナリティ:谷岡理香(東海大教授)
谷岡:東京電力福島第一原発事故に伴う除染をめぐって、環境省は8月1日、これまでの空間放射線量から、より実態に近い個人被曝線量に基づいた除染に転換すべきだという報告書を発表しました。なぜ急に、これまでの空間放射線量から、個人被曝線量に変えようとするのでしょうか。その目的は何なのか、小出さんに伺います。小出さん初めまして。
小出:初めまして。
谷岡:どうぞよろしくお願いいたします。
小出:こちらこそよろしくお願いします。
谷岡:まず、この空間放射線量と、個人被曝線量の違いについて教えてください。
小出:はい。えー、空間線量というのは、それぞれの場所が、どの程度の放射線量が飛び交っている場なのかと、いうことを測定します。例えば学校の教室が、どれだけ放射線が飛び交っている、え・・・校庭に出ればどれだけだ、あるいは家庭はどれだけだ、道路はどれだけだということを測るのが、空間線量です。で・・・これまで福島の事故の後、あちこちでそういう・・・線量を測ってきて、どこで何時間その場にいるのであれば、どれだけ被曝をしてしまうということを推定しながら、きたのでした。
谷岡:はい。
小出:で・・・そうやって推定してしまいますと、人々の被曝線量を1年間に1ミリシーベルト以下に抑えることが、ほとんどもうできないと、いうことがもう分かってきたために、今度はもう国は、「もう一人一人の被曝線量を、測ってしまって、それが1ミリシーベルトを下回ればいいことにしてしまおう」ということを、考え始めたのです。
谷岡:はい。
小出:それで・・・個人の、被曝線量というのは、一人一人に、放射線の被曝線量を測る測定器を持たせまして、で・・・それがいくつの値になるかということを調べるわけです。ただし、なかなか難しくてですね、例えばずーっとその本当に一人一人が、放射線を測定する機械を肌身離さず、1日24時間365日持っていられるかと言えば、おそらくたぶん私はできないだろうと、思います。ですから個人の被曝線量を測定するということ自体が、まずは無理だろうと私は思います。
谷岡:これまでの環境省の、除染の目標基準からはどういうふうに変わっていくのでしょうか?
小出:えーとこれまではですね、日本の普通の方々は、1年間に1ミリシーベルト以上の被曝をしてはいけないと、定められていました。しかし福島第一原子力発電所の事故というものは、あまりにも酷い事故であったために、福島県を中心として到底それはもう守れないという状態になってしまった、のです。そのため、日本の政府は、今はもう守れないのだから、1年間に20ミリシーベルトを超えないような地域には、人々が住んでもいいし、一度逃げた人たちも底に戻れと、言って指示を出しているわけです。
谷岡:はい。
小出:でもそれは余りにも酷いことだということで、これまで原子力を推進してきた人たちの中にも、やはり、納得しない人たちがいる。そのために、できる限り早く1年間に1ミリシーベルトを下回るように、「除染」というものをやろうと、いうことになっていたわけですけれども、除染がほとんど効果がないのです。もともと除染というのは、「汚れを除く」と書くわけですけれども、
谷岡:ええ、はい。
小出:汚れの正体は放射能であって、人間が放射能を消す力はありませんので、え・・・言葉の本来の意味で言えば、除染はできないのです。できることは、人々が生活している場の一部から、放射性物質を剥ぎ取ってどこかに移動させるということが、唯一できることなわけですけれども、もう大地全部が汚れてしまっているわけで、「除染」ということ、私はあの、除染は正しくないので「移染」という言葉を使っているのですが、移染できる場所というのも本当に限られた場所しかないのです。それでこれまで環境省などがやってきた、いわゆる除染活動というものがほとんど効果がないということが、既に分かっているわけです。そうなるともう、基準自体を引き上げるしかないだろうということで、何とかその・・・1年間に1ミリシーベルトという基準すら、変えたいと彼らは思っているわけですし、できる限り小さな数字が出てくるような、測定のしかたをしたいと、彼らが思っているわけです。
谷岡:あの、先ほどちょっとお話していただきましたけれども、
小出:はい。
谷岡:個人の被曝線量っていうのは、具体的にはどうやって測るんですか?
小出:はい。え・・・私自身は、まあ、毎日「ガラスバッジ」という放射線測定器を身に付けて、仕事をしています。
谷岡:はい。
小出:で同じように、個人の被曝量を測るための測定器を、一人一人にずーっと持っていてもらおうという形で、測定します。
谷岡:ずーっとっていうのは、本当にさっき仰ってました、24時間ということ・・・
小出:そうです。それをしなければ、要するにほとんど意味がないわけですけれども、まあ私のことを言ってもですね、放射線の管理区域に入る時には、もちろん持って行きますけれども、そうでない時には、肌身離さず持っているということはほとんどできないわけです。
谷岡:そうですね。苦しいですね少しね、生活する中で。
小出:そうです。え・・・ですから、おそらく私でもできないようなことですから、普通の方々が、丸1日24時間持ち続けるということはまずできないはずですし、1年365日ずーっと持っているということもできないだろうと、思います。
谷岡:はい。
小出:そして、個人の被曝線量の測定器というのは、例えば、一月間ずーっとまあ、肌身離さず持っていたとしても、一月経った後に、「あなたはどれだけ被曝をしました」と、いう結果が出てくるのです。
谷岡:はい。
小出:で・・・私はそういう測定に関しては、私のような放射線業務従事者と、法律で決められている人間にとってはもちろんやらなければいけないし、ある程度意味があると思いますけれども、一般の人々の場合には、とにかく被曝を少なくするということが、何よりも大切なことだと思うのです。そのためには、一月間測定した後に、「あなたはどれだけ被曝をしてしまいました」というように、教えるようなやり方は私はダメだと思います。ですから、従来と同じように、空間線量というものを測って、「この場所に近付いてしまうと、被曝が多くなってしまうよ。だからできる限りそういう場所には行かないように」と、言って予防できるようにするということの方がむしろ私は、大切だと思います。
谷岡:そうですね。
小出:ですから、空間線量を測るのと、個人線量を測るのは、二者択一ではなくて、本当であれば両方やらなければいけないという、そういうものです。
谷岡:はい。あの・・・環境省が、そういった個人被曝線量に、方向転換した目的っていうのは何だとお考えですか?
小出:要するに空間線量を測って・・・これまでは空間線量だけ測ってきたわけですけれども、空間線量を測ってきて、人々の被曝線量を1年間に1ミリシーベルト以下に抑えるということが、もうほとんどできないと。だから今度は個人線量という形で、測定をして、何とか上手く逃れることはできないかなあと、彼らが考えているのだと私は思います。
谷岡:はい。小出さん、どうもありがとうございました。
小出:はい。ありがとうございました。
【文字起こし終了】
■被災地除染委員長「原発安全神話がまた繰り返されようとしている」
(dot. - 08月31日 07:10)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=3031957
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