思い遣りのある国

金美齢氏　電車で座る子供やベビーカー電車内持ち込みに意見
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社会的弱者なら、なんでも許される社会に対して、異論を唱えることに対しては、別にどうこう言う積りはない。
ある面では、そういう風潮もあるだろうとも、個人的には思う。

ただ、金美齢さん。
あなたが電車内の話を持ち出して、この議論を展開するのは、首を傾げざるを得ない。
引き合いに出す例としては、あまりにナンセンスだ。

社会的弱者という意味で言えば、高齢者の方だって、社会的弱者だ。
揺れる電車の中で、バランスを取って立つことで足腰が鍛えられるなら、小さな子供より、よっぽど高齢者の方に対して、良いリハビリになるじゃないか。
最近、高齢者が毎日のように整形外科へリハビリに通い、或る意味サロン化している。
医療費削減の為に、是非、高齢者の方には、積極的に電車の中で立ってもらって、足腰を鍛えるようにしてもらおう。
金美齢さん、あなたの言い分は、そう言い換えることもできるんですよ。

僕は、何も、金美齢さんの揚げ足を取りたいわけではない。

僕が言いたいのは、電車内のこうした問題は、ちょっとした思い遣りの問題に過ぎないということ。
何も、社会的弱者がどうこうという議論の引き合いに出す例としては、論点がズレているのだ。

電車に乗っていて、目の前に高齢者の方が立っていたら、僕は席を譲るし、妊婦さんが立っていても席を譲る。
同じように、松葉杖を突いた人が乗ってきても、幼い子供を連れた人が乗ってきても。

別に僕は、社会的弱者の人に対して、優遇しようなんて気持ちはさらさらない。
なんで、席を譲るか。
理由は簡単だ。
混み合った電車の中で、電車が揺れたりしたら、転倒の怖れがあるし、危ないからだ。

だから、妊婦さんについては、高齢者よりも優先して席を譲る。
妊婦さんが転倒すれば、それこそ命に関わることがあるから。
こう書くと、優先順位を付けるなんて酷い、なあんて言う人もいるかも知れない。

でも、席は僕の座っている席だけじゃあない。
他にも席は沢山ある。
その席のうち、誰かが席を譲れば、僕が優先順位をつけていたって、必要とする人にとっては何も問題のない話だ。
この僕の席しか、譲る席がないなら、平等だなんだと非難されるのも仕方ないかもしれないが実際はそうではない。
あとは、その誰かが席を譲るかどうか。

そして、それこそが思い遣りなんだと思う。

その思い遣りの気持ちを棚に上げて、子供は立つべきだ、子供を優遇すべきでない、と声高に叫ぶことが、どれだけナンセンスか。
ベビーカーの問題でもそう。
乗る側が同乗する人のことを考えて、ベビーカーを畳んで乗る。
その姿を同乗する電車内の誰か1人でいい。
見ていて、大変そうだなぁと思い、席を譲れば、それで済む問題だ。
要は、人と人とのコミュニケーションの問題であり、思い遣りの問題なのだ。

それを恩着せがましく、譲ってやったと思うから、他人の行為に感謝しろ、だとか、譲ってもって当然なんて思うな、なんて、思い遣りのない意見が出てくる。

電車内で、ちょっと席を譲る行為が、そんなに大層なことなのか。
そんなに立派なことなのか。

こんなことに、いちいち非難めいた意見を声高に叫ぶ金美齢さん。
きっと、心に余裕のない人なんだろう。

そして、その思い遣りのなさが、子育てを難しくしている。

人の気持ちがわかる、思い遣りのある日本。
僕はそんな日本が好きだし、そうあって欲しいと思う。