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2014年08月02日19:52

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7月の読書記録

今月は思ったより頁数が行ったな。後、哲学・思想関係が占める割合が多い。それから思ったよりナイスが多いのが嬉しい。

2014年7月の読書メーター
読んだ本の数:19冊
読んだページ数:5842ページ
ナイス数:81ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/4147/matome?invite_id=4147

■街場の憂国会議 日本はこれからどうなるのか (犀の教室)
できたら、本書は今後一年一冊ペースでシリーズ化して欲しい…本書が出た二ヶ月後に集団的自衛権が閣議決定したことを考慮に入れると、余計にその思いは強くなる。時折希望の光は見えるものの、でも大半の記述は読めば読む程暗鬱な気にさせられるもの。とりわけ印象的だったのは、内田樹氏の「民主制より金が大事」という言葉。これまで堅固だと思っていた制度や常識があっという間に根こそぎにされている昨今の風潮は恐らくこの言葉に集約されるのではないか?一人でも多くの人が本書を読んで、今後の日本の行く末を真剣に考えてもらいたい。
読了日:7月30日 著者:内田樹,小田嶋隆,想田和弘,高橋源一郎,中島岳志,中野晃一,平川克美,孫崎享,鷲田清一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39946617

■愛国者の憂鬱
現在、世に席巻している愛国とか保守がどれだけ浅はかな物かということが、本書を読むとよく分かる。ただ、全体的に緩いのと、巻末で自身が述べているとおり、基本的に鈴木氏が坂本氏に教えを請う側に回っているのがちと不満。鈴木氏も非常な勉強家なのだから、そこをもう少し出して欲しかったな…と。それはともかくとして、二人の対談を読んでいると、かつての右・左、保守・革新の図式がかなり曖昧な物になっているということを改めて痛感。現在の日本の右傾化を食い止めるのは、皇室の権限に頼るしかない…という倒錯した状況にある気さえする。
読了日:7月29日 著者:坂本龍一,鈴木邦男
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39916572

■沈黙の声を聴く
フェミニズム系神学の書籍で初めて読んだのが本書。これまであまり知らなかった福音書に対する視点がいくつか散見され、ある程度興味深く読めたものの、同時にある種の限界というか、カトリック信者として、どうしても受け入れられない要素があったのも事実。とりわけ最終部、九章においては、贖罪論と十字架の否定、十章においては、マリアの処女懐胎の否定。確かに実証的に読み説いていけばそうなるかもしれないが、そこを否定されるのは、ある意味これまでのキリスト教信仰の根幹に関わる問題なわけで、そこはどうしても軽視できない。
読了日:7月28日 著者:絹川久子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39891260

■イスラーム哲学の原像 (岩波新書)
のっけからこんなことを言うのも何だが、これまで何冊かイスラム関係の帆を読んだけれど、未だにあっち系(?)の名前に馴染めない(笑)。それはともかくとして、本書は講演を元にしたということもあって、比較的わかりやすいが、それでも最終部はかなり哲学的な論議になっていて、読み進めるのがちょっとしんどかったか。それから、西洋哲学を専攻していた者として、著者が唱える東洋的メタ哲学の確立も勿論大事だが、もう少しイスラム哲学とスコラ哲学との関係について語って欲しかった気がする。後、著者の後を継ぐ学者があまりいないのが遺憾。
読了日:7月26日 著者:井筒俊彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39839121

■暇と退屈の倫理学
何やら人を食ったようなタイトルで、最初は「どんな内容だろう?」と若干訝しさを覚えたが、概ね興味深く読めた。個人的には後半のハイデガーの作品を用いた哲学的考察より、前半の考古学や経済学を駆使した論考の方が楽しめたが…ただ、ハイデガーが退屈の第二形式としてあげたパーティーのエピソードには、人間だけが覚える満たされなさの業の深さを垣間見たように思え、示唆的だった。それから、巻末の注釈で何度か言及されている日本におけるボードリヤールの理解がいかに誤解に充ちているか?という指摘はかなり興味深かった。
読了日:7月25日 著者:國分功一郎
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39819807

■西洋哲学史 3 「ポスト・モダン」のまえに (講談社選書メチエ)
最初の二章がかなり読み辛かった。いずれもこれまでの哲学史では言及されなかった哲学者が取り上げられている上、それらの哲学者に注釈が施していないのはあまりに不親切。後、度々ルターの宗教改革に言及しているのにも拘わらず、その概略も触れていないのはいかがなものか?ただ、そうした難点をあえて度外視すれば、これまでにないユニークな西洋哲学史というということで、かなり読み応えはある。個人的には、五章でマルクスの古典ギリシャ文学の素養、及びアリストテレスの『ニコ倫理学』からの影響に言及しているのが興味深かった。
読了日:7月23日 著者:
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39764657

■西洋哲学史―近代から現代へ (岩波新書)
本書を読んでいて、日本人の一研究者による西洋哲学通史として、本書と前書は波多野精一の『西洋哲学史要』以来のものではないか?という思いがふとよぎったが、著者後書きにいみじくもその『西洋哲学史要』が言及されていたのにはちと驚き。それはともかくとして、一研究者による西洋哲学通史として、本書はかなりのレベルに達しているのでないか?と思われる。とにかくこれまであまり知られていなかった各哲学者の歴史的背景やエピソードがふんだんに盛り込まれているのが興味深い。それと同時に自分の勉強不足も痛感させられることに…
読了日:7月21日 著者:熊野純彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39718866

■日本の大転換 (集英社新書)
未曾有の大震災から早二年以上の月日を経た今、日本は本書で提言されているような大転換とはほぼ真逆な転換を遂げつつあるという事実に何とも言えない無力感を覚える。確かに原発に変わる電力供給の道を開発し、経済至上主義的な社会のあり方からの転換を図るという思想は非常に魅力的であるし、ある程度の支持層を生むだろう。しかし、それを実現するにはあまりに障壁が大きすぎるという思いが拭いきれない。だが、その一方で本書で言及されている原発が抱える危機的な事情は到底看過できないもの。ここでやはり発想の転換が必要なのか?
読了日:7月19日 著者:中沢新一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39673050

■メノン (岩波文庫)
本篇は百頁強程でかなりさくさく読み進めることができるが、やはりそこは一筋縄でいかないものがある。「徳とは何か」が主題だけれど、その結論に到るまでに、ごく少数の人達との間に様々な錯綜した議論が展開されるのがみそ。中盤の幾何学に関する問題はやや退屈で、巻末に掲載された解説も、門外漢(というより数学を不得手とする者)にとっては今一つ理解しづらい。やはり読み所は終盤の後にソクラテスを死に至らしめた一人と言われるアニュトスとの議論。ここで露呈されるアニュトスの頑迷さはプラトンの無言の抵抗とも思われる。
読了日:7月19日 著者:プラトン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39666605

■イスラーム文化−その根柢にあるもの (岩波文庫)
本書で幾度となく「イスラーム文化は日本にあまり知られていない」ということが言われているが、本書が世に出て三十年以上の月日を経た今も実情はそれ程変わっていないのではないか?という気についなってしまう。現在の中東の事情にある程度通じていたとしても、本書で語られているような思想的背景をちきんと押さえている人がどれだけいることか…それはともかくとして、イスラムといえば、つい「原理主義」という言葉を思い浮かべ、そこから閉鎖的とか不寛容というイメージを抱きがちだが、意外に懐の深いところもあるというのが意外だった。
読了日:7月19日 著者:井筒俊彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39657132

■四季の夢 (1980年)
ベタな昼ドラというのが第一印象だが、それなりに楽しめた。ただ、主人公祥子が店の使用人小柴との不倫がばれそうになった矢先に、外遊していた良人仙三郎が外地で急死するというのは、あまりにご都合主義でちといただけなかった。ただ、どうしても主人公の側に立ってしまいがちな読者としては、そういう展開がある意味一番望ましいわけで、やはり人は基本的にベタな展開が好きなんだな…ということに改めて気づかされた次第。後、当初は問題児だった末の妹志賀子が後に改心して、終盤で姉のために尽くすという展開も、ベタながら小気味良かった。
読了日:7月16日 著者:円地文子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39602964

■哲学の自然 (atプラス叢書03)
色々と気が滅入ることも語られているが、全体としては勇気と希望を与えてくれる一冊。経済や効率性ばかりを追いかけてきて、いつの間にか大切な物を失ってしまった日本。このあいだの震災でそのことに気づかされ、新たな道を選択するかどうかを迫られていた筈なのに、結局元の道をしかも以前より加速度を増して突き進んでいるかのように思える昨今。でも、そういう時流に「否」という態度を示している人がある程度いるということに気づかされた。そのことだけでも大きい。ただ、かなりハイデガーが持ち上げられているのが、ちょっと気になるな…
読了日:7月15日 著者:中沢新一,國分功一郎
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39579057

■有縁の人々と―対談集
個人的には中上健次との対談が収録されているのが、とりわけ興味深かったし、また最も面白く読めた。考えてみれば、この二人親子と言っても良いくらいの年齢差で、実際中上にどこか円地に甘えるような雰囲気もあるのだけれど、それがやがて対等に文学談義を繰り広げるのが面白い。しかもこの二人の文学感がかなり被っているのだ。この二人にもっと生前対談をさせたかったと思うことしきり。それから瀬戸内寂聴(当時は晴美)との対談では、自伝的作品『朱を奪うもの』の背景がかなり赤裸々に語られていて、ある種の狂おしさのようなものを覚えた。
読了日:7月15日 著者:円地文子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39572629

■意識と本質―精神的東洋を索めて (岩波文庫)
かなり難解であり、理解の程はかなり怪しいが、何とも言えない求心力と魅力を覚える一冊であった。何より古今東西の宗教、文学に精通している著者の博覧強記ぶりにとにかく驚かされる。個人的には表題作「意識と本質」10章における「トーラー」や『旧約聖書』を古代ヘブライ語で読む際の多種多様な読み方についての解説には特に引き込まれるものを感じた。ただ、難解な概念や、一般には馴染みのないタームが頻出しているのにも拘わらず注釈がないというのが非常に不親切。いずれ版を改めて詳細な注釈をつけたものを出すことを強く望む。
読了日:7月15日 著者:井筒俊彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39568199

■西洋哲学史 2 「知」の変貌・「信」の階梯 (講談社選書メチエ)
一巻もそうだったけれど、西洋哲学及び哲学史に関するある程度の知識が無いと理解が難しい代物。また「哲学史」とは銘打っているものの、通史という形はとっておらず、あくまでテーマ毎に書かれた論文を収めているという体裁をとっている。ただ、イスラム哲学にかなりの紙幅をさいているのを初め、通常の西洋哲学史からかなり逸脱している要素が散見しているのが面白い。ただ、専門外の人が読むには、注釈がかなり不親切なのが残念。後、最後の二章を本書に収める必然性があったのか、個人的に疑問が残る…いずれまたじっくり読み返したい。
読了日:7月10日 著者:
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39450808

■ゴルギアス (1967年) (岩波文庫)
これまで読んだプラトンの著作の中で、本書が一番わかりやすくすっと入り込んできた。一クリスチャンとしては、「不正を行うより、不正を行われるほうが良い」という主張に、後のキリスト教の教えにも通じるものを感じた。そして何より、本書のクライマックスともいうべき、カルリクレスとの対話で繰り広げられる哲学者と政治家との応酬には、まさに今の時代だからことリアルに響いてくる箇所が少なからず見受けられることに驚かされる。また、ソクラテスの発言に半ば侮蔑的な発言さえ発するカルリクレスに、某大阪市長をつい重ねてしまう…?
読了日:7月7日 著者:プラトン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39390796

■プラトンの哲学 (岩波新書)
比較的難解だった終盤を急ぎ足で読んだので、やや理解はあやふやだったが、概ね良書だったと思う。プラトンといえば、古代ギリシャ哲学の巨人的なイメージが強いが、その反面右からも左からも白眼視される傾向があるという指摘には、少なからず驚かされた。また、それと同時に世間に流通しているプラトン哲学の常識と言われている説が、いかに事実とかけ離れているかという著者の嘆きにも近い(?)主張には、思った以上にプラトンの著作がちゃんと読まれていないのだな…という気にさせられた。更にプラトンの著作を読み進めた後で読み返そう。
読了日:7月6日 著者:藤沢令夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39347753

■日本的霊性 (中公クラシックス)
非常に読み応えのある濃い内容で、繰り返し読む価値のある一冊。『源氏物語』への辛辣な評価や、日本的霊性は鎌倉時代から始まるという説には、個人的に若干不満を抱いたものの、法然や親鸞の思想を生き生きとした叙述で持って語るその熱情には少なからず打たれるものがあった。また、仏教が生まれた印度では禅はあまり発展しなかったのにも拘わらず、日本という国で独自の発展を遂げたという指摘には、日本の良い意味での特異性を再認識させられた。何かと保守化、右傾化が叫ばれる昨今だが、本当の意味での保守が読むべき一冊ではないかと思う。
読了日:7月4日 著者:鈴木大拙,橋本峰雄
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39303105

■西洋哲学史 1 「ある」の衝撃からはじまる (講談社選書メチエ)
他の人も述べているとおり、決して入門者向けではないけれど、かなりユニークで読み応えのある哲学史。良くも悪くもオーソドックスな哲学通史という体裁をとっていないところが面白い。何せ序文で取り上げられているのは、十六世紀末の恐らく日本で最初にラテン語で神学や哲学を学んだクリスチャンというのだから、その特異性はある程度窺い知れるだろう。とにかく各執筆者の個性が色濃く出ており、これまでの哲学史の常識に疑問を呈する箇所が散見されるのが非常に興味深い。従来の哲学史に飽き足らなかった人にはぜひご一読することを勧める。
読了日:7月1日 著者:
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39236728


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