mixiユーザー(id:2958687)

2014年07月10日21:41

8 view

六月の読書記録

六月は約二年ぶりの帰省中にもう少し読書が捗るかな…と思っていたのだけれど、期待していた程捗らなかった。後、哲学思想関係の本がいつになく多いな…
それからナイスの数が多いのが嬉しい。

2014年6月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:5242ページ
ナイス数:72ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/4147/matome?invite_id=4147

■テアイテトス (岩波文庫 青 601-4)
対話篇ということで、字面を追っているだけだと、わりに読みやすく、さくさく読み進めることができるのだが、その内容を汲み取るのは、思いの外や難しい。やはり、巻末にある注釈をその都度参照しないと、読者が勝手な解釈をしてしまう可能性大なのではないだろうか?また、その注釈も現代の読者のためにもっとかみ砕いた分かりやすい物が必要だと思う。とりあえずその会話対の文章になれるところから初めて、その内容に深く入っていくという読み方を採らねればならないということか?本の内容に触れるには、理解があやふや。また読み返したい。
読了日:6月27日 著者:プラトン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39129283

■時と永遠 他八篇 (岩波文庫)
表題作を読むのは、これで三度目なのにも拘わらず、その半分も理解出来たか心許ないというのが、正直なところ。それでも第七章にはある種の感動を覚える。難解ではありながらも、不思議な吸引力を持つ作品であることを再認識した次第。それから本書全体を通じて、著者の思想を深く知るためには、カント理解が必要だと痛感。長いことスルーし続けてきたカントだが、これを機会に挑戦してみるかな?という気になった。それにしても、日本哲学界に不滅の金字塔を打ち立てた本書であるが、この系統を受け継ぐ哲学者が出てこなかったのは甚だ遺憾。
読了日:6月24日 著者:波多野精一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39064907

■六白金星・可能性の文学 他十一篇 (岩波文庫)
改めて著者の作品で多用される大阪弁に何とも言えない味わいを覚える。恐らく現在このような言葉が殆ど失われていると思うと、余計に愛おしさが増す。また、本書ではこれまで読んできた著者の作品ではあまり伺えなかった著者と文壇との関係が垣間見られたのが興味深い。特に巻末に収められた二つの評論、「二流文学論」と「可能性の文学」。前者の「二流」という言葉に込められた意味には坂口安吾の「二流の人」におけるそれと相通じるものがあるし、後者ではやはり安吾が題材にした坂田三吉の晩年が取り上げられているのが面白いと思った。
読了日:6月24日 著者:織田作之助
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/39048901

■古典夜話: けり子とかも子の対談集 (新潮文庫)
サブタイトルとその解説ともいうべき円地文子による前書きが何とも言えずユーモラスで良い。それはともかくとして、とにかく二人の博識ぶりに脱帽。教養というのはかくあるべきと言いたくなるくらいに、日本の古典文学が血肉化されている。まさにまだ江戸の空気が残っていた東京で生まれ育った二人だからこそこのような味のある対談が実現できたのだろうとつくづく思う。個人的には『源氏』を主題にした対談がとりわけ興味深く読めた。これまでいくつかのヴァージョンで読んできた『源氏』だがまだまだ読み方が浅いということを痛感させられた。
読了日:6月21日 著者:円地文子,白洲正子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38966255

■一神教と国家 イスラーム、キリスト教、ユダヤ教 (集英社新書)
名前はよく目にするけれど、なかなかその実態が把握しづらかったイスラム教の意外な側面が色々知ることができたのが最大の収穫。中でも驚かされたのが、イスラム教が一般的に認識されている厳格なイメージとは違って、かなり緩い側面も有しているということ。また、本書を読んでいると、アメリカという国と、それが推し進めている「いわゆるグローバリズム」がいかに凶悪かということをまざまざと思い知らされる。そして、そのカウンターとしてのイスラム的な共同体のあり方、ひいてはカリフ制が秘める可能性には少なからず希望を感じた。
読了日:6月20日 著者:内田樹,中田考
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38947308

■叛逆―マルチチュードの民主主義宣言 (NHKブックス No.1203)
著者達は一笑に付すのだろうけれど、本書にはある種のユートピア指向が伺えるように思う。特にマルチチュードという概念には大衆が自らの立場に目覚め社会に働きかけていくという契機が前提になっているという要素が伺え、そこに一抹の理想主義を感じざるを得ない。ユートピアを実現しようとすると、限りなく反ユートピアに近づいてしまう。このことに著者達が無自覚であるはずがない。恐らく著者達はユートピアを実現するのではなく、ユートピアへと生成していくことに価値を見いだしているのではないか?突っ込み所はあるけれど、勇気が出る一冊。
読了日:6月17日 著者:アントニオ・ネグリ,マイケル・ハート
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38871150

■哲学の三つの伝統 他十二篇 (岩波文庫)
タイトルで示唆されているようにインド、中国、ギリシャという人類における三大哲学の発生がほぼ同時期であるということに改めて新鮮な驚きを覚える。そしてその後ギリシャ哲学がキリスト教と結びつくことによって第四の哲学として変貌し、言わば主流の哲学となり世界を席巻するという流れを概観すると、その必然性は一体どこにあったのか?ということをふと考えてしまう。ただ、第二部の京都学派の先達についての物はかなりの歯ごたえで正直理解の程はあやふや。ただ、今は殆ど人口に膾炙されなくなった哲学者の名前に時代の流れを感じた。
読了日:6月16日 著者:野田又夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38845121

■賭けるもの (集英社文庫 え 1-6)
解説にも言及されていたが、千波のファム・ファタルぶりには、つい谷崎の『痴人の愛』のナオミを彷彿させるものを感じた。ただ、その人物造形が今一つ深みを感じさせないのが、個人的には残念。逆に言えば、千波以外の登場人物を濃く描くことによって、千波という人間を炙り出すという手法を取ったとも言えるか。また、ファム・ファタル的人物ではあるけれど、ナオミと決定的に違うのは、何だかんだと岳夫を徹底的に愛し抜いているのが、千波の最大の特色。二人が離れる時はどちらかが死ぬ時という強い結びつきにくらいつく美音も強烈である。
読了日:6月14日 著者:円地文子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38793460

■言語学とは何か (岩波新書)
言語、及び言語学というのはかくも厄介な物なのか…ということを改めて認識した次第。言語に関する学問は昔からあったが、今日言語学と称される学問の歴史はごく短いものでしかないという指摘は虚を突かれた思いがしたが、ただそれ以前の言語研究についての省察がなされていないのがかなり不満。それから小林訳ソシュール『講義』の訳文の酷さについて一言も言及が無いのも個人的に物足りなかった。せっかくエングラー版『講義』刊行に触れているのだから、どうせならエングラー版に沿ってソシュールの思想について語るべきだと思うのだが…
読了日:6月12日 著者:田中克彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38739434

■多神教と一神教―古代地中海世界の宗教ドラマ (岩波新書)
クリスチャンとして、地中海やオリエントの古代史と絡めてユダヤ教やキリスト教などの一神教が誕生する背景を垣間見ることができて、非常に興味深かった。特に一神教の誕生とアルファベットの発明との関連性への指摘は、目から鱗が落ちる思いがした。著者自身も述べているとおり、この辺りはあまり短絡的に考えるのは危険だが、今後探求を続ける価値はありそうである。それと一神教と多神教を厳密に分けるのは、実は難しいという指摘も面白かった。結局人は完全にその一方にはなかなか帰依しがたいということだろうか?これも探求の余地有り。
読了日:6月11日 著者:本村凌二
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38717991

■ネグリ、日本と向き合う (NHK出版新書 430)
3・11直後の反原発の動きと昨今の安倍政権の席巻とそれに伴う右傾化とのギャップがかねてから不可解だったのだけれど、本書を読んで、多少疑問が解けたような気がする。また、従来の市民運動のあり方を根底から変える可能性を秘めるマルチチュードという概念に一抹の希望を感じると共に、ネグリの思想に否定的な佐藤某の見解が脳裏をよぎる。また上野千鶴子の論考は介護の現場に携わる者として非常に興味深く読めた。そして何より、今後ヘゲモニック的な労働として挙げられた「非物質的労働」の中に医療や介護が含まれることに勇気づけられた。
読了日:6月10日 著者:アントニオ・ネグリ,市田良彦,伊藤守,上野千鶴子,大澤真幸,姜尚中,白井聡,毛利嘉孝
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38690787

■江戸文学問わず語り (講談社文芸文庫)
江戸時代に生まれた祖母に語り聞かされた昔話が文学的素地となった著者による江戸文学解説ということで、そこには他の追随を許さない豊饒さを湛えている。それと同時に解説にもある通り江戸文学が今日ではあまり顧みられないということに時代の趨勢を感じるのも確か。僕の僅か二つ上の世代ではまだ脈々と受け継がれていた江戸時代の文化や風俗が急激に失われているということにもう少し危機感を覚えるべきではないか?そんなことを思わされた。また、古典文学の魅力を伝えることなく文法ばかりに囚われる今日の古文教授法に改めて疑問を感じた。
読了日:6月9日 著者:円地文子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38666565

■林芙美子紀行集 下駄で歩いた巴里 (岩波文庫)
『下駄で歩いた巴里』というタイトルが、本書の魅力を端的に表していると思う。解説にもある通り、この当時半ば捨て身で女性が一人できな臭い空気が濃厚なヨーロッパ諸国を経巡ることがどれだけ大変なことだったか?でも、著者はその偉業(?)を何の屈託もなくやり遂げているかのように語っているというのが凄い。これは、彼女がアカデミックな知性とは別種の知性…言わば彼女の身体性と一体になった知性のなせる業だったのではないか?という気がする。後、個人的に印象的だったのは、母親との二人旅を語る行。この親子の特異性が垣間見られる。
読了日:6月6日 著者:林芙美子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38588304

■神学の履歴書: 初学者のための神学書ガイド
著者が冒頭で述べているとおり、ある程度神学の素養がある者。あるいは神学を専攻している人向け。著者の解説は比較的わかりやすいものの、それでもキリスト教の素養が無い者には殆ど理解しがたいだろうし、またかなりの紙幅を占める神学書の引用文がかなり難解。それなりに神学書を読んできたと自負する者にとっても理解するのに窮した。逆に言えば、本書はそれだけの読み応えがあるものであり、本書を足がかりにして、新たな知への飛躍の可能性が秘められているということでもある。実際、本書を読んで、改めてバルトの著作を読み返したくなった。
読了日:6月6日 著者:佐藤優
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38576258

■《日本の思想》講義――ネット時代に、丸山眞男を熟読する
サブタイトルに「熟読」という語があるが、先だって読んだ丸山の『日本の思想』の一部を改めて読み返してみると、まさに熟読が必要だな…と痛感させられた次第。そのくらい、『日本の〜』の内容とその背景の複雑な思想の絡みは一筋縄ではいかないものだった。それはともかくとして、個人的に本書の肝と思えたのは、著者が幾度となく口にするネット住民への呪訴(笑)。しかも本文中だけではなく、後書きでまでそのことに言及しているのだから、その恨みの深さは相当なものがあるらしい。また世間で議論とされているものの底の浅さを思い知った。
読了日:6月4日 著者:仲正昌樹
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38531877

■物語「京都学派」 - 知識人たちの友情と葛藤 (中公文庫)
日本に輸入されて間もない哲学という学問を京都という特異な風土の中で発展させていった京都学派。本文でも触れられている通り、様々な難はあるものの、ある程度世界に通用する独自の哲学を打ち立てた西田の功績には改めて目を見張る思いがした。その西田を始めとして、田辺、波多野、三木など蒼々たる碩学が織りなす様々な人間模様には、ある種の憧憬さえ覚える。個人的にとりわけ気になったのが、東大哲学科との関係。戦後、東大からは廣松渉という哲学者が輩出されるわけだが、京大からは彼に匹敵する学者は出ていない。再考に値する気がする。
読了日:6月2日 著者:竹田篤司
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/38491079


▼読書メーター
http://book.akahoshitakuya.com/

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2014年07月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

最近の日記

もっと見る