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2014年06月29日17:52

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刮目して観るべき試合

■ブラジル、PK戦でチリを下し8強へ! 「対極」の戦術が生んだ極上の死闘。
(Number Web - 06月29日 17:06)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=191&from=diary&id=2945862

 今朝がた観たブラジルとチリの試合は本当に見ごたえ十分で、まさに死闘と呼ぶに相応しいものがあった。

 ブラジルはPK戦でやっとチリを制したところだけ捉えれば、「あまり強くない」という評価をされそうであるが、そんなことはない。

 今大会のチリを制したのは、最後はブラジルの地力であり、これで徐々にコンディションをピークに持っていく可能性は十分にあると思う。

 それにしても、ザックが言いたかった「インテンシティ」というのが、今大会のチリみたいなサッカーを指すのだとすれば、日本代表がこの次元にまで到達するには相当の道程があると覚悟した方がいいのではないだろうか。

 少なくとも、大した実力もないのに「自分たちのサッカー」なんて曖昧なセリフを吐いている連中は、この試合を刮目して観るべきであろう。


≪ブラジル、PK戦でチリを下し8強へ! 「対極」の戦術が生んだ極上の死闘。 17
2014年06月29日 17:06 Number Web
 
 サッカーの「クオリティー」なら、おそらく時代の最先端にして今大会最高。しかしそのチリをほんの僅かな差で上回ったのは、戦術に特別な新しさも革新性もないブラジルの、王国としての気骨だった。

 2000年以降の対戦成績は、ブラジルの12戦10勝2分け。まさに圧倒的と言える戦績だが、指揮官ルイス・フェリペ・スコラーリはむしろ、明らかにチリを恐れていた。本大会の組み合わせ抽選が行なわれた昨年12月、抽選結果を受けて彼はこう話している。

「チリが決勝トーナメントに進出しないことを願っているし、できればチリ以外の国と対戦したい。チリはとてもよく組織されており、賢さもある素晴らしいチームだ。だから、欧州のチームと対戦するほうがいい。システムと戦術が対極にあるチリと対戦すれば、ブラジルは“痛み”を伴うことになる」

 試合前日に発したあまりにもネガティブなコメントからも、グループリーグの戦いを見てさらに警戒心を強めていたことが分かる。

「チリのパフォーマンスは良くなっている。我々を苦しめることもできるし、我々が倒されることもあり得る。もちろん勝つための準備をしてきたが、仮に負けても人生は続く」

スコラーリの懸念が具現化した120分間の死闘。

 百戦錬磨の名将がそれほどまでに恐れた理由――それは確かに、120分間の激闘に詰まっていた。

 チリのサッカーは、ストロングポイントを「前」、ウィークポイントを「後ろ」に持ち、ストロングの“強度”でウィークを消そうとするスタイルである。

 コンパクトな守備陣形を維持し続けるためのハイプレスと、それを可能にする圧倒的な運動量。さらに相手のキーマンをマンツーマンで潰す戦術は、前回王者スペインのアイデンティティーと言える「ポゼッションサッカー」を完全に凌駕した。スペインはチリの弱点である最終ラインの脇のスペースを使いたい。しかしチリは、「前」をケアすることで「後ろ」を使わせない。そうして弱点を消す戦術が見事にハマった。

まさに「フルインテンシティ・フットボール」。

 ボール奪取という守備の要素に本領が発揮されるスタイルは一方で、常に「前」を向いて相手に向かうという意識が強く、もはや守備的か攻撃的かという二元的な議論に当てはまめることさえできない。オールコート、オールタイムでその“強度”を落とさない「フルインテンシティ・フットボール」は、構えて潰す、潰してから前に出るというブラジルの伝統的な戦術とは対極にある。

 スコラーリが「対極」と話すこの両者の違いは、確かに、キックオフ直後からピッチに示された。

 開始直後の3分、ブラジルはチリのお株を奪う強烈なプレスで相手のミスを誘い、ボールを奪ったフッキが前線のネイマールにパスを通した。しかし、チリはセンターバックのガリー・メデルが自らのポジションを飛び出して全速力でアプローチし、さらに前線にいたMFチャルレス・アランギスが猛スピードで追い掛けて足を伸ばす。

 奪われたら奪い返す。自らのポジションを飛び出しても、「奪える」と思ったら躊躇なく追い回す。開始直後にネイマールをピッチに倒した一連の守備は、この日のチリが絶対的な自信を持ってブラジルに挑んでいることを感じさせた。

ブラジルの理想、それを防ぐチリの守備力。

 とはいえこのシーン、もしメデルとアランギスがネイマールに振り切られるようなら、チリの守備は一気に崩壊する。ネイマールにボールが渡った瞬間、ブラジルは右サイドバックのダニエウ・アウベスが広大に空いたスペースを駆け上がり、ボールを奪ったフッキはそのままの勢いで最前線にまで飛び込んでいた。

 ネイマールが2人をかわしてD・アウベスに展開し、精度の高いクロスを放り込む。フッキが頭で落として、走り込んだネイマールがシュート……その流れがブラジルにとっての理想であり、チリにとって最も避けなければならない展開だ。しかしチリは、最初の1プレーでそれを阻止する守備力を示した。

ブラジルの“チリ対策”も機能していた。

 もっとも、ブラジルの“チリ対策”も有効に機能していた。

 特にフッキ、の高い位置を取ってサイドのスペースを突くポジショニングと、フィジカルの強さを活かしてそこに割ってはいろうとするドリブルは見事だった。ネイマールをトップ下に置いたのも、おそらく同じ狙いを持ってのことだろう。最も突破力のあるネイマールにボールを集めてチリの守備を中央に寄せ、サイドに展開してドリブルで仕掛ける。

 左サイドのフッキや右サイドのオスカルだけではなく、ボランチのルイス・グスタボまでもがドリブルを仕掛けてサイドのスペースを突こうとする姿勢に、ブラジルのチリ対策が見て取れた。

 この試合、ブラジルは9本のCKを獲得し、39本のクロスを上げた。チリのハイプレスに苦しめられたとはいえ、サイドを攻略するという狙いは十分な成果を残したと言える。18分、CKから生まれた先制点は“チリ対策”としてまさに理想的なゴールだった。

 一方、チリの同点ゴールもまさに理想的な形だった。敵陣深くで相手のスローインをカットしたエドゥアルド・バルガスが、中央へのラストパス。アレクシス・サンチェスがこれを冷静に流し込み、試合を振り出しに戻す。たった一つのミスが失点につながる恐怖心を植えつけたことで、チリは再びメンタル的な余裕を取り戻した。

スタッツにも現れた、全く互角の戦い。

 後半、そして延長も両者のテンションは全く衰えなかった。

 ボール奪取はブラジルが「66回」でチリが「63回」。ボールロストは、ブラジルが「116回」でチリが「113回」。さらにボールポゼッションではブラジルが49パーセントでチリが51パーセントと、スタイルの違いはあれ、まさに互角の展開だったと言える。試合終盤はカウンターを最も得意とするブラジルが攻撃に人数をかけられず、ハイプレスを身上とするチリが“追い切れない”というシーンが何度も見られた。つまり両者とも、最後はスタイルを維持できなくなるほど死力を尽くした。

「ブラジルは痛みを伴うことになる」

 半年前に指揮官スコラーリが発した言葉の意味が、準々決勝以降にどのような影響を及ぼすかは分からない。チリの「フルインテンシティ」に対抗するために費やした120分間分の体力は、選手たちに相当なダメージとして残るだろう。準々決勝では、中盤の要として機能したルイス・グスタボを累積警告による出場停止処分で欠くことになる。想像以上の難敵を退けたという安堵感が、思わぬ落とし穴となる可能性も決して小さくない。

“総力戦”のブラジルは強い。

 ただし、今大会のブラジルには特別な力がある。

 チームの弱点と懸念されたGKジュリオ・セザルがPKを2本ストップする活躍でヒーローになったこと、エスコートキッズまでもがまるで叫ぶように歌う国歌斉唱、さらにあくまで慎重な姿勢を崩さない指揮官と、涙もろいが力強くチームを牽引するエース・ネイマールの存在。やはり“総力戦”になれば、ブラジルは強い。

 チリは間違いなく、最先端にして最高のチームだった。しかしブラジルは、総力戦でそのチリに勝ったのだから。

 それから、120分間のフルインテンシティ・ゲームを最高に面白く見せた、ハワード・ウェブ主審の見事なジャッジにも触れておきたい。試合開始直後に激しいタックルで相手を倒したルイス・グスタボに黄色いカードを出さなかったこと、その素晴らしい判断が、「フルインテンシティ」のこのゲームの面白さを最大限に引き上げたことは間違いない。

細江克弥=文≫
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