どういう運命の巡り会わせか、『ルパン三世カリオストロの城』と『レオン』を立て続けにスクリーン鑑賞する機会に恵まれました。
この2作品については、以前から薄々と感じていたことがあったのですが、なにぶん、実際に観た時期が違うのにくわえ、自身の年代による感じ方の差もあったと思います。
今回、それらの差が、ほとんどない状況で鑑賞した結果、漠然と感じていたことが確信に変わったので、書き記しておきたいと思います。
簡単にいうと、『ルパン三世カリオストロの城』におもいっきり火薬をふりかけて、血のソースでぐつぐつ煮込んで大人の味にすると、『レオン』になる、という戯言なのですが…
ちなみに、カリオストロで隠し味程度に入れられていた『背徳感』は、レオンにおいては、はっきりと判るくらいに盛大に盛られているので、『倫理面の配慮』というのも大事なポイントになってきます。
以下、ネタバレどころか、作品の基本構造に触れてしまいますので、未見の方はスルー願います。
両作品のメインプロットを取り出してみると、それらは、かなりの部分で一致しています。
どちらも、
1_ アウトローの中年男が
2_ 追われる娘を助け
3_ 親しくなりながらも
4_ 結局、別れてしまう
という展開に集約できるのです。
上記の1〜4は、ほぼ、起・承・転・結と読み替えてよいでしょう。
そして、それぞれのパートを並べて比較してみると、両者の共通項と味付けの方向性に、一定の法則が存在していることが判ります。
ためしに、以下、左側にカリ城、右側にレオンを並べてみると、こうなります。
1_ アウトローの中年男
泥棒 → 殺し屋
2_ 追われる娘
17歳、結婚を拒否って逃走 → 12歳、家族を皆殺しにされ、逃亡
3_ 親しくなり
プラトニックに惹かれる → 娘側に性的自覚/行動あり
男の仕事に憧れ → 仕事を手伝い、私怨の成就を目論む
4_ 結局、別れてしまう
将来を案じ、突き放す → 一緒の人生を望むが、引き裂かれる
このように、カリ城における設定や展開を下敷きに、より『過激に』『血生臭く』脚色されているのが、レオンであることが判ります。
少なくとも、両作品ともに、『中年男が生娘に惚れられちゃう』という、メルヘンを下敷きにしている以上、現実世界でうだつのあがらない一般男性が、一時の妄想に浸るに、格好の材料で満たされていることは間違いなさそうです。
ところで、どちらの作品の主人公も、一様に『かっこいい』と評されますが、それは、必ずしも、見た目やら若さやらのことを指してはいません。
惚れる側から見た場合において、この『中年男』の接頭語に、『凄腕の』という形容詞がつくことこそが重要なポイントになります。
つまり、両作品の主人公がかっこいい存在として成立する前提条件として、『仕事の遂行能力の高さ』は必須であり、それは、作品に感情移入する女性の立場から見ると、『自分の為にちゃんと稼いでくれるか』ということを代弁しているのです。
というわけで、いい年こいた現実の男性がモテナイ場合、それは、大抵、外見の良し悪しなんぞではなく、『うだつのあがらない状態』、『稼ぐ能力が相手の期待値を下回っている現実』こそが、その原因の本丸であると、2つの作品はちゃんと示していたのです。
両作品ともに、大筋においてフィクションまみれでありながら、『男のモテスキル』の描写については、えげつないくらいにリアルそのものとは。
やれやれ、つくづく、男はつらいよ、でありまする…orz
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