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2014年04月07日00:11

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【映画】白ゆき姫殺人事件 〜問題は犯人ではなく、我々の無意識だ〜

人間は、昔から井戸端会議が大好き。
ヒトの不幸は蜜の味というのは、まぎれも無く真実だよね。

なので、基本、ワタクシは、ワイドショーとかいうのは、もの凄く嫌いだけれど、人間が人間でいる限り、その需要はなくならないと思っている。
また、マスコミが、記者クラブ等という大本営発表を真に受けるような体質でいる限り、受け手、送り手の両面から、それは、あるべきしてあるのであるから、無くなりようがないだろうとも思う。

かといって、ネットが万能かというと、それも、また違っていて、結局、どんな規模であれ、組織であれ個人であれ、一度流れた情報が一人歩きを始めれば、それは、止めようがないし、流してしまった事をいくら反省しようが、反省しまいが、時間は逆には流れない。

ましてや、そんな事、当事者以外にとっては、どうでもいいことで、所詮、鮮度があるうちに食してなんぼくらいにしか思っていないだろう。


このお話は、早い話、『げげっ!野次馬だらけの羅生門水泳大会(一部誇張)』なわけだから、当事者以外の面々は、次におこる事をwktkしながら、固唾をのんで見守っているわけだ。

むしろ、『ポロリ』がおきてほしいとさえ思っているだろう。
そりゃ、『ポロリ』なしじゃ、納得しないよね…

横道に逸れたので、話題を戻すが、本作は、そんな身勝手な無意識の本流の中に突然投げ出された場合のシミュレーションムービーとも言っていいだろう。


ちなみに、犯人は、最初から判っているも同然であるから、そんなに驚く話ではない。

ミステリーの王道である、発見者を云々というラインと、もうひとつ、うわさ話を広げるときの常套句『ここだけの話…』を切り出した人物を結べば、なんのどんでん返しも無い、普通の結末である。


また、本作で悪役を一気に引き受けている立場の人物も、その人物が特段にヒドいというお話では決して無く、単に、当事者以外の代表として、役柄上、判りやすく提示されている事に気づくべきだろう。

むしろ、単に、勝手な事を並べては、他人の人生を詮索し自分好みのストーリーに脚色している野次馬連中よりも、自分なりに真実に近づこうとしていたのは、評価されるべきところだろうと、一応、擁護しておく。

ただ、そのやり方が、あまりに稚拙で、虚栄心だけが空回りしていただけなのだ。
しかして、この、一見、本人頑張ってます。正義を貫こうとしています。という、悪意の無い行動こそが、最も、タチが悪く、そこに最初から付け入られている訳だから、始末に負えない。

でも、大抵の方々は、安易に批判できないんじゃないかな?
大事に至って無いだけで、その手の、はた迷惑な誠意というのは、誰しもにあると思う。
たまたま、小さなコミュニティの関係性の中で、不問に付されているだけだと思うのだ。


期せずして、巻き込まれてしまった主人公を支えていたのが、ヒッキーの友人というのは、もの凄いリアリティを感じた。
その友人自身が、先にそういう思いをしているからこそ、主人公の立場に気持ちを寄せる事が出来たのだろう。

同時に、やっちまった形の人物にも、同様に、ちゃんと、最初から最後まで寄り添っている存在がいる事も、なかなかだと思った。

キャリアを失った後、心の支えになってくれるのは、最早、彼以外はいないだろう。
でも、いるだけましというものだ。感謝した方がいい。


なお、舞台となった長野県という選択も、非常に巧い。
本作では、警察の動きが、ほぼゼロであることが、勝手な憶測を呼んでいるかのように感じるだろうが、そうではない。

司直の動き如何にかかわらず、憶測は生まれるし、根も葉もない噂は、一人歩きするし、人間は、そういうのが大好きでたまらないように出来ているからだ。

長野県は、かつて、松本サリン事件を経験し、田中康夫を知事に迎え、河野義行氏が公安委員会を勤めたこともある土地柄であるから、県警の稚拙な捜査から誤認逮捕というような失態は、なんとしても避けるはずだ。
慎重に慎重を重ねて、外堀をじわじわと埋めていったかのような行間を感じ取る事が出来、非常に、納得感のある舞台設定だったと思う。

これが、いくら別荘が多いとはいえ、箱根あたりが舞台だと、神◎川県警のお出ましであるから、ちょっと、イメージ悪くなるだろうなぁ…

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コメント

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