あのときのこと

■不明の女児を保護　神奈川、自宅から２３キロ先
(朝日新聞デジタル - 01月15日 06:33)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=2722954

これから書くことは、この記事の内容とは全く関係がない。
今回の行方不明に、事件性があったのかどうか、それは、この女児の口から警察にいずれ語られるだろうし、そのことを僕らは詮索する必要はないのかもしれない。

というのも、僕がまだ小学生の頃だったか。
僕が通う小学校の隣の小学校の女生徒が行方不明になった。
小学校からの帰宅途中に行方不明になったのだ。
何故、僕がこのことを憶えているか。
実は、その女の子は、僕と同学年で、とある同じ学習塾に通っていたからだ。
直接話したりするほどの仲ではなかったが、顔や名前は知っていた。

もちろん、僕の住む町は、この行方不明事件で大騒ぎになった。
数日経っても女の子は見つからなかったため、マスコミも連日取材にやってきた。
もしかしたら、顔写真や名前も公開されたんじゃなかったろうか。
そのあたりの記憶は定かでないが、とにかく町は異様な雰囲気に包まれた。

行方不明になって、一週間くらいが過ぎたろうか。もしかしたら、2、3日くらいだったかもしれない。
誰もがその女の子の生存を心配し始めた頃、女の子は僕の住む町から遠く離れた他県で、無事保護された。

無事保護されたのだが、何故、その女の子は、そんな遠く離れた他県で保護されたのか。
それが問題だった。

女の子は、ある変質者の男に誘拐され、連れ回されていたのだ。
もちろん女の子は保護され、連れ回わした男は逮捕された。

事件は、それで終わるはずだった。
だが、人の噂というのは怖いものだ。
その女の子が変質者に連れ回されていたということもあって、事件が終わってからも、噂だけは止むことはなかった。

連れ回されていた数日間、この女の子の身に何があったか。
そんなことは、本当は知りようの無い事だ。
それでも、人の口から口へと噂だけは一人歩きする。

''数日間も変質者に連れ回されたんだから、その間に何かあったはずだ。何かされたはずだ。''

本当のところはわからない筈なのに、噂だけは一人歩きする。
そうなると、どうなるだろう。
本当は被害者であるはずの女の子や女の子の家族が、その噂話によって、辱めを受ける。

もちろん、人々は噂話の中で、その女の子のことを可哀想だと同情はする。
でも、そんな同情に何の意味があるんだろう。
単に、自分たちの興味本位のネタの最後に罪滅ぼしのように取ってつけたような同情に何の意味があるんだろう。

結局、その女の子の家族は、その町に居られなくなり、程なくして町から出ていかれた。
一体、何故、被害者であるはずの家族が、こんな目に遭わなければならないのか。

今回の日記の内容は、この記事とは何の関係もない。

事件性があるかどうかは、この記事から知りようもないことだ。
今はこの女児が無事帰ってきた。
それだけでいいんじゃないだろうか。

事件性があるならあるで、後は警察が捜査すべきことで、この女児の名前や顔が世間に公表されてしまった以上、詮索すべきことではない。

あとは、マスコミを含めた周りも騒がす、そっとしておくべきだろう。

ただ、今回の女児がこの先、健やかに育っていかれることを願うばかりだ。
これは、同じ子供を持つ親として、心からそう思う。