刺青と偏見

美奈子のタトゥー告白に賛否、背中全面に子どもの名前や鳳凰の絵。
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価値観の話をしようと思う。
僕は、今年で40歳になる、5歳と2歳の息子を持つ父親だ。
嫁は、今年33歳になる。
お互い、いたって普通の家庭で育ってきたと僕らは思っている。

この普通というのも、人によって違うので、僕らの普通があなたの普通かどうかは分からない。
これは価値観の問題で、もしかしたら育ってきた環境によるのかもしれない。

僕が育ってきた家庭環境の中では、刺青やタトゥを入れることは、まずあり得ないことだった。
刺青というのは、ファッションでも何でもなく、あんなのはヤクザ者が入れるものだ。
真っ当に生きていて、まず刺青なんて入れることはないし、そういう人たちと付き合ったり、関わり合いにはならないように。

そういった家庭環境の中で僕は育ってきた。

これが、刺青やタトゥを入れている人に対する偏見なのは知っている。
でも、偏見であっても、こうした価値観を植え付けられて育ってきたのだ。
僕は40歳になった今でも、刺青を入れている人には、怖いイメージがあるし、できれば、そういった人たちとは関わり合いになりたくない。

仕事上、まったく関わり合いがないわけではないのだが、プライベートでは、刺青どころかタトゥすら入れている友人はいない。
勿論、僕自身も刺青やタトゥはこれまでに入れようとすら思ったことはない。

嫁についてもそうだ。
もし、嫁の背中に刺青が入っていたら、僕は嫁と結婚しなかったろう。
こう書くと、なんて酷いことを言うんだと批難されるかもしれない。

でも、これは僕の本音だ。
建前で、理解しているようなフリをして付き合うことはできるかもしれない。
しかし、結婚し、一緒に暮らしていくとなると、それはムリだ。

刺青以前に価値観の問題なのだ。
つまり、自分の身体に刺青やタトゥを入れることに抵抗感のない価値観の人とは、決定的に僕とは住む世界が違うのだ。
勿論、これまでに育ってきた環境が違うのだから、夫婦と言っても、全く同じ価値観の相手なんていないだろう。
だから、お互い違う価値観の中で折り合いをつけるしかないのだが、絶対に相容れない価値観ってのはある。

僕にとって、自分の身体に刺青やタトゥを抵抗なく入れしまう価値観の人とは、どう折り合いをつけようが、絶対にムリなのだ。

幸い、刺青やタトゥに対する考え方に関して、嫁は僕と同じ価値観だった。
だから、この先、2人の息子を子育てしていく上でも、刺青やタトゥを入れることは許すことはないし、その前に、そうしたモノに対する見方というのは、僕たち夫婦の価値観を受け継ぐだろうから、入れたいとも思わないんじゃないだろうか。

そんな僕だから、僕には、この美奈子さんの考え方が理解できない。
一人で子供を育てていく決意のために、何故刺青を入れる必要があるのか。
僕には、自分の若気の至りを子供の所為にしているようにしか見えない。
まあ、もともと住む世界が違うし、絶対に関わり合いになるような人じゃないから、理解出来なくて当たり前なんだろう。

そして、もっと理解できないのは、そうまでして入れた刺青を何故、こんな偏見の言葉で簡単に消そうと思うのだろうということだ。
世の中には色んな価値観があるのだから、信念と覚悟があるのなら、寧ろ、何故自分が刺青を入れたかということを娘に教える、絶好の機会ではないか。

僕には、美奈子さんがただ安易に自分の身体に刺青を入れたように思えてならないのだ。
それは、これまでの生活環境の中で育ってきた、この人の価値観であり、生き方なんだろう。
刺青を入れるということは、日本では生活は制限されるし、周りの偏見の目に晒されることだってある。
それは、本人だって、解っていたはずだ。
それでも、一人で子供を育てていくという覚悟で、刺青を入れたということなら、刺青を入れることによる偏見に対する覚悟も必要になってくる。

それを、こうした偏見の目で見られたからと、刺青を消そうと思うのは、覚悟なんかでなく、単に安易に刺青を入れてしまったからで、刺青を入れることによる生活の想像力が欠如している。
刺青を入れるのも子供の所為なら、刺青を消そうと思うのも子供の所為。
きっと、この人は、こうして誰かの所為にしながら、これまでの生活を刹那的に生きてきたのではないか。

まあ、これは僕の価値観で見た考えだから、本当のところは、美奈子さん本人にしかわからない。

最後に。
今回の日記は大変不快な内容で、申し訳なく思っております。
お気を悪くされた方。
どうか、お詫びいたします。