mixiユーザー(id:2958687)

2013年10月22日21:36

2 view

九月の読書記録

後半はケアマネの勉強のために読書が若干滞ったか?それはともかくとして、相変わらずの読書傾向の滅茶苦茶さに我ながら呆れる。それから、ナイスが相変わらず多いのが嬉しい。

2013年9月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:4588ページ
ナイス数:61ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/4147/matome?invite_id=4147

■ヨオロッパの世紀末 (岩波文庫)
タイトルを目にして単純にヨーロッパ史の一部分を本書で概観できると思うと火傷する。いみじくも解説で辻邦生氏が述べているとおり、著者の「明晰な晦渋体」ともいうべき独特の文体に惹かれる物を感じながらも、その言わんとするところを理解しかねるに違いない。また、本書で扱われている十九世紀といえば、バルザック、ディケンズを始めとして英仏で数多の大作家を生み出した時期であり、個人的には本書で述べられているような停滞期というイメージにはかなりの違和感を覚えた次第。とりあえず、著者の「明晰な晦渋体」には魅力を覚えた。
読了日:9月30日 著者:吉田健一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/32290671

■藝人春秋
期待を大きく越える面白さで一気に読み終えた。こういう著名人についてのエッセイは、人によって当たり外れがあるものだが、これはどれも非常に面白く読めた。人間の情けなさやおかしみをお笑い芸人という立場から知り尽くした著者ならではの芸か?また、著者の理知的な部分が嫌みになる一歩手前で抑えられているところにも唸らされた。個人的には、知的で温厚というイメージしかなかった草野仁が体力、知力共に超人的なものを持っているというエピソードにかなりびっくりさせられた。とにかく目から鱗のエピソード満載。一読の価値あり。
読了日:9月28日 著者:水道橋博士
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/32243730

■日曜日だけの一カ月 (新潮・現代世界の文学)
初めてのアップダイク。しかも好色な牧師による日記という体裁を取っているという、一クリスチャンとしては、なかなか複雑な感情を抱かせる物。その上、新旧約聖書の様々なエピソードが頻出するのは、まあ仕方ないとして、バルトやティリッヒといった神学者の名前まで出てくるかなり異色な作品。それでいて、訳注が一切無いというのは、いかに翻訳が困難だったとはいえ、怠慢の誹りは免れないだろう。そのため、この作品を違和感なく楽しめる読者はかなり少ないに違いない。とりあえず姦通というテーマのわりには良い意味で渇いた味わいだった。
読了日:9月21日 著者:井上謙治,ジョンアップダイク,JohnUpdike
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/32055415

■岬にての物語 (1978年) (新潮文庫)
解説でも触れているように、ここに収められた多くの作品で「死」が大きなモチーフとなっていることに驚かされる。後年、自ら壮絶な死を遂げることになる著者にとって死とは一体何だったのか?ということを改めて考えさせられる。表題作は詳細をあえてぼかしながら思春期にさしかかろうとする少年の心理を巧みに表現した逸品である。そして自死を遂げた男女が兄妹であることを仄めかす手法も心憎い。本書の中ではいささか特異な趣のある「不満な女たち」はどこか荷風の『あめりか物語』を思わされる。この二人の関係も追求すると面白いかもしれない。
読了日:9月18日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31999921

■マゾッホとサド (晶文社クラシックス)
邦題に反して、実際はマゾッホに主眼が置かれている。難解な精神分析や心理学用語が頻出しているうえに、ドゥルーズ特有の特殊な論理の展開を弄しているため、正直言って理解度はかなりあやふや。ただ、世間で言われているように、サディズムとマゾヒズムは単純な二項対立概念で捉えきれるようなものではないということは理解できた。また、そのマゾヒズムの元祖というイメージばかりが先行して、なかなかその文学的真価が評価されず、翻訳も少ないマゾッホとその著作に新たな興味がわいた。本書が世に出た後も、状況が変わっていないのは遺憾。
読了日:9月18日 著者:ジルドゥルーズ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31987199

■サド侯爵夫人;わが友ヒットラー
「サド侯爵夫人」のラストが何とも印象的。それまでひたすら献身的にサド侯爵につくそうとしたルネが、サドの変わり果てた姿での帰還を耳にした途端、門前払いを食らわせるというオチには、一見して不条理でありながらも、妙に納得もさせられる不思議な味わいがあった。「わが友ヒットラー」はレームとシュトラッサーの奇妙なやりとりが印象的。元々犬猿の仲だったという二人が、ある程度のところまで折り合おうとしながらも、結局物別れに終わってしまう行には誰にでもありうる人間同士の埋めようのない溝について考えさせられざるをえない。
読了日:9月16日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31934016

■聖なる怠け者の冒険
やっぱり森見氏の作品は読み出すと止まらない。他に読みかけの本があったのにもかかわらず、つい一気読みしてしまった。最終的に小和田君がぽんぽこ仮面の座を受け継ぐことになるのかな…?と思いきや、意表をつく結果になったのは、いささか強引だけれど、それもありか?と思わせるのも著者の妙。後、きになるのが改訂される前のオリジナル版。できたらオリジナル版も出して欲しいと思うのは、無い物ねだりか?それと終盤で所長が浦本探偵に申し出た依頼内容。これが次の作品のモチーフになるということだろうか?個人的に玉川さん、好きです。
読了日:9月14日 著者:森見登美彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31889483

■チャペック小説選集 (6)外典
古代ギリシャや、新旧約聖書、シェイクスピアなどを題材にした短編集…というより、その短さからして、ショート・ショート集と言ったほうがよいかもしれない。実際、その端正な味わいは星新一のそれを想起させられた。それはともかくとして、個人的に気になるのは、著者の宗教的背景。これまで読んできた作品において、少なからずキリスト教に触れている箇所があり、本書も新旧約聖書を題材にした作品がいくつかあるが、著者が生前何を信仰したかあるいは無宗教であったか?ということについて触れている記述を一切目にしたことがない。大いに不満。
読了日:9月12日 著者:カレルチャペック
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31843723

■夫婦善哉 正続 他十二篇 (岩波文庫)
殆ど一気に読んだ。やはり表題作における柳吉の駄目っぷりと憎め無さが良い。柳吉も決して駄目一辺倒ではなく、やるときにはやるという一面を持っている所が妙。このキャラを森山未來が演じるというのは、やはりはまっていると思う。あまり期待していなかった続編も、どうしてこれまで埋もれていたのかが不思議なくらいのでき。ラストの蝶子のセリフが何とも言えない余韻を残す。ただ、全体的にどこか食いたり無さを覚えてしまうのも事実。著者がもっと長生きすれば、より濃厚な世界が展開できたかもしれない…その早世が惜しまれる。
読了日:9月11日 著者:織田作之助
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31828210

■真夏の死―自選短編集 (新潮文庫)
これまで読んできた著者の短編集の中でも、とりわけ良い意味で濃い内容。やはり表題作が特に印象深いか。義妹と子供二人を同時に失うという悲劇を経て、幾つかの困難や虚無に直面しながら、新たな幸福とまでは言えないまでも、ある種の安定を得るに到る女性とその家族のプロセスには、胸の詰まる思いがした。後、恐らく佳作の部類にも入らないだろうが、妙に気になったのが、60年代前半の爛れた若者の風俗を描いた「葡萄パン」。当時の若者の流行であった逆さ言葉を多用しながらも、主人公の青年に文学趣味を持たせたというのが何とも意外。
読了日:9月10日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31796837

■近代能楽集
タイトルに若干身構えてしまうが、能楽ではなく戯曲集と捉えて読んでも全然構わないのではないか?という気がした。ただ、解説で触れているように、本ネタを知っていると、より味わいが深くなるかとは思うが。中でもとりわけ能楽色が強く、かつ印象的だったのは、「卒塔婆小町」だったか。ゴミ拾いで食いつないでいる老婆と通りがかりの詩人との美しくも不気味、そして残酷極まりない恋の一夜。特にラストに醸し出される殺伐とした空気が強烈。後、狂女を囲った中年の女流画家を描いた「斑女」に底流する妖しい美しさにも惹かれる物を感じた。
読了日:9月9日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31777379

■知性について 他四篇 (岩波文庫)
内容はともかくとして、訳注が全く無いというのが、ちょっと不親切。訳文は悪くないのだから、余計にそこが残念に感じた。先に読んだ「自殺について」程ではないとはいえ、これもなかなかの難物。とりあえずカント哲学についての初歩的知識がないと、殆どチンプンカンプンなのではないか?それはともかくとして、個人的には後半で展開された天才論(?)がわりに面白く読めた。天才というのは常人とはかけ離れているので、生前はなかなか認められないというのは、思わず清志郎を思い出してしまった(笑)。いずれまたじっくり読み返してみたい。
読了日:9月9日 著者:ショーペンハウエル
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31771440

■自殺について (角川ソフィア文庫)
タイトルからつい想像してしまうような、人を自殺に誘うようなものでは決してないなというのがちと意外。それはともかくとして、思ったよりも難解で、つい字面だけを追ってしまうだけの読書に堕しがち。他のレビューでも難解という声が多いのに納得。後、このとっつきにくさは訳の問題もあるのかな?という気がした。機会があれば、別の訳でも読んでみたい。理解は甚だ怪しいなりに、惹かれる箇所はあったので。特に興味深かったのは、終盤で釈迦と聖フランシスコについて触れていた箇所。未読の人には、訳者解説を最初に読むことをお勧めする。
読了日:9月8日 著者:ショーペンハウエル
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31734041

■教会と国家〈1〉「赤い牧師」・「弁証法神学」時代から反ナチズム・教会闘争時代へ (バルト・セレクション)
サブタイトルが示唆するように、時代的背景をある程度把握できていないと、理解が難しい代物。また逆に時代と対峙する著者のスタンスが顕著であるとも言える。個人的に一番興味深く読んだ(のと同時に読み通すのに苦労させられた)のが「今日の神学的実存!」。タイトルに反して「実存」について多く語られていないのがやや不満だが、押し寄せてくるナチズムの趨勢に対して、バルトがどれだけの勇気を持って、彼らに「否」と唱えたかが、端的に理解できる。また、次の「訣別」で伺えるバルトの苦悩は何とも言えず痛ましい気持ちにさせられた。
読了日:9月5日 著者:カールバルト
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31671391

■熱帯樹 (新潮文庫)
戯曲特有の台詞回しが今一つ苦手なのだけれど、これはわりに楽しめた。特に印象的だったのは、「薔薇と海賊」。なぜか著者の『美しい星』が思い出された。あの作品で神魔観られた著者の孤独感が、この作品の阿里子と帝一が紡ぎ出す世間と隔絶したユートピアにも醸し出されているのでは?という気がしたのである。解題では作品と自分の内面との関連性には当然触れていないが、そこに一層著者の知られざる孤立感が垣間見られるのでは?それから、「白蟻の巣」のラストは色々な意味で虚を突かれた。悲喜劇の一つの典型だと言っていいかもしれない。
読了日:9月3日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31620135

■脂肪の塊・テリエ館 (1951年) (新潮文庫〈第172〉)
解説にもあるとおり、かなり緻密な構成になっているのに唸らされる。また、各々の登場人物の描写が実に生き生きとして、躍動感がみなぎっていると言っていいくらいなのも印象的。本書に収められた二篇とも数十頁程のヴォリュームなのだけれど、繰り返し読む度毎に新たな発見がある…そういう類の作品なのでは?という気にさせられた。また、先に読んだ著者の短編集に収められてもおかしくないよくできた短篇という印象も拭えない。変な言い方だが、この二つの作品だけを取り上げるのではなく、他の短篇に紛れ込ませることで違う魅力が出るのでは…
読了日:9月2日 著者:モーパッサン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31585948


▼読書メーター
http://book.akahoshitakuya.com/

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2013年10月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

最近の日記

もっと見る