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2013年09月02日23:20

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八月の読書記録

先月は結構頁数いったな…後、相変わらず三島読んでる。何だかんだと五冊読んだ。滅茶苦茶好きというわけでもないのに、気になった作家はある程度読み込まないという難儀な性格の故である…

2013年8月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
読んだページ数:6016ページ
ナイス数:55ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/4147/matome?invite_id=4147

■聖書と説教 (バルト・セレクション)
六百頁を越える大部ということで、かなり身構えて手にしたのだけれど、説教集ということで、意外な程さくさく読み進めることができた。ただ、その読みやすさに惑わされて、肝腎な所を読み飛ばしている可能性は大きいので、いずれじっくり読み返したい。何より気になるのが、本書のかなりの部分を占めるバーゼル刑務所における説教。解説にもあるが、バルトの説教は囚人達に概ね好意的に受け止められたとのこと。しかし、囚人達が具体的にどのような感想を抱いたのか?ということが気になる。後、「きみ」、「きみたち」という訳語が気になるな…
読了日:8月31日 著者:カールバルト
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31546392

■甦るヴェイユ (洋泉社MC新書)
個人的に食い足りないという印象が拭えない。ヴェイユというとりわけ個人的思い入れを抱きやすい思想家について書かれた書物において、著者とヴェイユとの関わりについてあまり触れていないというのは、どうしても不満が残る。ましてやその著者がかの吉本とくれば、その不満は余計に募る。ただ、ヴェイユの労働運動の挫折の経緯について述べる辺りで、著者が自らの体験を投影させていることはかなり濃厚に伺えるが。また、トロツキーとの会談について述べている箇所は、この二人の決して交わることのできない一点が改めて興味深く映った。
読了日:8月31日 著者:吉本隆明
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31521883

■増補・ヨーロッパとは何か―分裂と統合の1500年 (平凡社ライブラリー)
訳者後書きには高等学校の教材にふさわしいとあるが、確かにヨーロッパ史を概観するのにはいいけれど、しかし初級者向けとは到底言い難い。本書を読み通すのには、世界史、政治、経済、哲学等の素養が必要かと思われる。しかも、専門用語の解説や、図版が殆ど無いというのは、あまりに不親切。ただ、作者が元々哲学畑の人というだけあって、単に歴史的事実を叙述するというだけには終わらない、深い考察に裏打ちされた記述が多々見られるという点に関してはかなり好感が持てた。できたら、著者に今一度本書の新版を出して欲しいと思うのだが…
読了日:8月27日 著者:クシシトフポミアン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31430096

■ヤスパース哲学入門 (1973年)
内容はともかくとして、とりあえず訳文を何とかして欲しいな…というのが第一印象。ある程度哲学的素養がある人間が読んでも、分かりづらい所が多々あるのに、全くの素人だったら殆ど理解不可能ではないか?ラジオ放送を元にしたのであれば、音読されてある程度分かる訳文、専門用語をかみ砕いて日常言語に言い換える必要があったのではないか?と思うことしきり。後、訳語だけではなく、注釈に関してもあまりに不親切ではないか?という思いが拭いきれない。思いがけなくも、キリスト教への言及が多いのが、興味深かったが、やはり説明不足。
読了日:8月23日 著者:草薙正夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31319459

■ラディゲの死 (1980年) (新潮文庫)
作者の死後に編まれた短編集という事情のためか、何となし今一感が否めない。特に「魔群の通過」における読者の意表を突くようでいて、どこか工夫の足り無さを感じるラストには、鼻白む思いが拭えなかった。それよりは牧歌的な風景の中でささやかなデートを楽しむ一組のカップルの理不尽極まる死でラストが飾られる「日曜日」やどことなくつげ義春の旅物を思わせる「箱根細工」が個人的にはしっくりきた。それから「偉大な姉妹」における今の時代からすると想像を絶すると言っていいくらいの時代錯誤な美意識には些か絶句させられた。
読了日:8月21日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31271950

■音楽 (1965年)
正直、それ程期待せずに読んだのだけれど、予想外に面白かった。個人的には主人公麗子より、手記者の愛人明美の方に惹かれる物を感じたけれど(笑)。それにしても、近親相姦という重たいモチーフを孕んだ作品なゆえ、多分悲劇的な結末を迎えるかと思ったが、そうならなかったのがやや肩透かしか?それに麗子の兄の落ちぶれ方はあんまりだという気もした。それから解説にもあるように、途中まではかなりの比重を占めていた花井がいつの間にか消えていたのは不可解であるのと同時に残念でもある。麗子の回復のために敢えて彼を消したという気もする。
読了日:8月19日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31233965

■はじまりのレーニン (Image Collection精神史発掘)
第一章の「ドリン・ドリン!」のタイトル、及びそこで描かれるよく笑うレーニンの姿が何とも言えず躍動感に溢れているのが印象的。それはそうと、これまで読んできた中沢の著作に感じていた「面白いけれど、何だかね…」という印象は良くも悪くも変わらない。特にヤーコブ・ベーメなどキリスト教思想を持ちだして、レーニンの思想を論じた後半部分は、なまじキリスト教思想に対する興味があるため、非常に刺激に富む物という印象と共に、「本当にそんなことが言えるのか?」とつい眉に唾をつけたく鳴ったのも確か。このあたり誰か突っ込まないのか?
読了日:8月19日 著者:中沢新一
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31215229

■政権交代という幻想 ラスプーチンかく語りき3
内容はともかくとして、このタイトルは何なのだろう?という気持ちが拭えない。本書を読む限り、佐藤氏はある程度まで民主党政権を評価していたと思えるのだが。個人的にはこのタイトルに込められた意味についてもう少し言及してもらいたかった。内容については、やたら官僚や政治家の名前が出てきて、正直ついていけなかった。佐藤氏の状況分析にもう少し、哲学や神学の蘊蓄が挿入されていたら面白く読めたのだが。ただ、近年…特に震災を境にして、日本がますます抜き差しならない状況に追い込まれているということは理解できた気がする。
読了日:8月17日 著者:佐藤優,魚住昭
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31171136

■今に生きる親鸞 (講談社プラスアルファ新書)
これまで読んできた著者の親鸞関係の著作とほぼ重複する内容になっており、あまり新味はない。逆に言えば、これまで読んできた著者の親鸞論のおさらいとして読んだという感じか?一クリスチャンとして一番気にかかるのは、親鸞の善悪論。ごく自然な流れから行う善行は良いが、意図的に行う善行は駄目という発想は、キリスト教的な立場と対立するもの、かといって、親鸞の見解にもある程度理解できる所もあるわけで、このあたり熟考が必要だろう。それから吉本による親鸞論を読むのもいいが、親鸞自身の著作も読みたくなってきた。
読了日:8月16日 著者:吉本隆明
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31139952

■盗賊 (1954年) (新潮文庫)
解説にもあるとおり、詰めが甘い箇所が散見されるものの、それまでとは違った人間像を描いた意欲作を処女作としたというのは、やはり作者の並々ならぬ才能を物語っている。また、時代背景が戦前であるのにも拘わらず、この作品に流れている空気は、むしろ戦後のものに近いのではないか?とふと思わされた。しかも本作の初出は戦後すぐなのである。もしかすると、著者は戦後の民主社会の空気をいち早く感じ取って、作品に反映させたのではないか?ふとそんな気にさせられた。それから、ラストの美子と佐伯が対面する場面はやはり圧巻だった。
読了日:8月15日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31110170

■沈める滝 (1963年) (新潮文庫)
観念とは無縁な主人公を観念的に描くという著者お得意のパターン。これまた著者特有のもってまわった言い回しにやや鼻につくところもあるが、それでも最後まで読ませてしまうところは、やはり著者の才能がゆえだろう。個人的には主人公昇と表裏の関係にあるとも言える、トリック・スター的存在(?)瀬山の言動が妙に気になった。そういえば、著者の他の作品で瀬山のような人物は登場しなかったように思うが…ただ、個人的には彼の言動によって昇の愛人顕子が自ら死を遂げるという展開は、あまりに唐突すぎる気がして、些か納得いかなかったが。
読了日:8月14日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31102205

■ジュスチーヌまたは美徳の不幸 (岩波文庫)
いくら創作とはいえ、あまりにものご都合主義的な展開の連続につい突っ込みたくなる。何より、主人公ジュスチーヌ、学習能力なさ過ぎ。あれだけ何度も悪者に拐かされながらも、自分が慈善を施した人にあっさりと騙されてしまうのには、殆ど同情する気にもなれない。ただ、最終的にはすぐに命を落とすことにはなるとはいえ、姉ジュリエットから救い出されたことによって、彼女の美徳はある程度報われたとも言えるし、何より放蕩生活にあったジュリエットが改心したという展開には、それまで繰り広げていた反道徳説に留保をつけたようにも思えるが…
読了日:8月13日 著者:サド
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31057935

■歪んだ忌日
以前の作品にあったがむしゃらで生き生きとした感じがちょっと薄れてきたかな?という印象が正直拭えなかった。本書に収められた唯一の「秋恵物」である「青痣」などベンチのエピソードの他は、殆ど他の作品のネタの使い回しだし。以前はそれでも面白く読めたのだけれど、ここまでくるとやや鼻白むという印象が拭えない。それでもここで描かれる主人公のデリカシーの欠落ぶり、身勝手さ、横暴さはかなり強烈なものがあるけれど。また著者と同じく親族関係と疎遠になっている者として「感傷凌轢」で描かれる母親に対する冷淡さには身につまされた。
読了日:8月12日 著者:西村賢太
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/31040416

■赤と黒 (下巻) (新潮文庫)
個人的にはレナール夫人のようないわば古典的女性より、奔放…というより、面倒臭いマチルダのような女性に惹かれる(笑)。こういう女性像というのは、当時としてはかなり型破りなものでは?という気がする。それはともかくとして、互いに自尊心が強くて、理想肌というある意味似たもの同士であるジュリアンとマチルダとのやりとりは、確かに後の少女漫画に通じるものがあるかもしれない。ただ、そのままマチルダとの愛を全うするのかと思えば、自分が殺そうとしたレナール夫人への愛を再び燃え上がらせるジュリアンには正直言ってがっかり…
読了日:8月10日 著者:スタンダール
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/30980332

■赤と黒 (上) (新潮文庫)
主人公ジュリアン・ソレルのはにかみ屋でコンプレックスが強い反面、自尊心が強く、野心家であるという複雑な性格に共感とも反感とも言えない不思議な気持ちを抱いた。また、こういう理想を抱く青年像というのは、内田樹が度々言及するかつて漱石、鴎外が描いた青年像の原型の一つではないか?という気もした。それはともかくとして、この上巻最大の山場というべきは、やはりジュリアンとレーナル夫人とのロマンス。双方の複雑な心理描写はこの時代の物としては出色…というより、現在でもここまで緻密な描写はなかなか無いのでは?と思わされた。
読了日:8月8日 著者:スタンダール
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/30934382

■哲学講義〈2〉―認識〈2〉 (ちくま学芸文庫)
前巻に引き続き、本当にフランスの高校生はこんな高度な内容の物を読みこなしているのか?という素朴な驚きを抱かずにはいられない。日本の平均的な哲学科の学部生でさえ、このレベルの内容を充分に把握できているとは恐らく言い難いのではないか?改めて日本とフランスとの知的レベルの歴然たる差に恥じ入らざるを得ない。こういう物事を根本から突き詰めるという姿勢が日本の教育に欠落しているというのは、体制側が密かに意図しているところではないか?と邪推したくなる。とりあえず熟読が必要なので、またいずれじっくりと読み返したい。
読了日:8月5日 著者:ポールフルキエ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/30876462

■花ざかりの森・憂国―自選短編集 (新潮文庫)
個々の作品の出来不出来はともかくとして、初出の年代に開きがあるとはいえ、作品の幅の広さに驚かされる。究極の殉死を描いたとも言うべき「憂国」の後に、六十年代初頭の爛れた若者像を描いた「月」を配したというのは、某かの意図があってのものだろうか?とつい勘ぐってしまう。また、永井荷風的とも言える「橋づくし」では、生まれも育ちも東京である作者が描く東京にはなぜかよそよそしさのようなものを感じると改めて思わされた。後、「卵」のようなユーモラスなナンセンス物も、これまで触れたことのない著者の一面に触れた気がした。
読了日:8月4日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/30857573

■愛の渇き (新潮文庫)
舞台が大阪であること、また文体に他の作品に時折見られるぎこちなさが希薄なところから、冒頭を読んでいて、何となし谷崎のオマージュか?という気がした。それはともかくとして、終盤で観念的な悦子と観念とは殆ど無縁な三郎が織りなす殆どかみ合わないやり取りが、何とも言えないもどかしさとおかしみを感じさせた。通常であれば、観念的で空回りするのは男性であるのに、その役割をあえて逆にしたところに、著者の特徴が現れているように思う。それにしても、こういう鈍感な男がもてるという設定は今では通用しないだろうな…という気もした。
読了日:8月3日 著者:三島由紀夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/30809382


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