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2013年06月03日00:13

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五月の読書記録

先月はわりに読めたか。後、改めて見ると、哲学思想系の本が多いのが我ながら印象的。後、ナイスが多いのも嬉しかった。

2013年5月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:5998ページ
ナイス数:72ナイス
http://book.akahoshitakuya.com/u/4147/matome?invite_id=4147

■饗宴 恋について (角川ソフィア文庫)
とりあえず訳語の古さが気になった。本書で頻出する「稚児」という言葉を一つとっても、多くの人にとってはわかりにくいだろうし、その用語に対する解説が一切なされていないというのは、あまりに不親切だろう。それはともかくとして巻末の『饗宴』解説にて、とりあえず表題作の持つ今日的意味や読者が『饗宴』に対してどう取り組めばいいのか?ということがそれなりに分かってきた気がする。とにかく紀元前の作品を今日的な視点から読み説こうというのにそもそも無理がある…ごくごく当たり前のことに気づかされた次第。いずれ読み返したい。
読了日:5月30日 著者:プラトン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/29187318

■西田哲学への導き―経験と自覚 (同時代ライブラリー (339))
全てを理解できたわけではないが、興味深い一冊だった。西田を知る上で重要な概念である「純粋経験」について、かなり具体的なイメージがつかめたように思う。そして、何よりもう一度西田の著作を紐解いてみたいという気にさせられたのが、一番の収穫かもしれない。それにしても西田と鈴木大拙という方や日本を代表する哲学者、方や世界的に有名な禅思想家。この二人が同じ高校で学び、終生変わらぬ友人であったことを思うと、明治初期の日本というのは、いわば噴火寸前のマグマのようなエネルギーが蠢いていたのでは?という気にさせられる。
読了日:5月29日 著者:上田 閑照
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/29155270

■マンガホニャララ ロワイヤル
なまじ「ロワイヤル」とタイトルにあるから、却って「前作よりテンションが落ちているのでは?」と一抹の危惧を抱いたが、それは全くの杞憂であった。前作を凌ぐとは言わないが、前作と同じく漫画に対する深い愛と理解、そして鋭い洞察に満ちていて、殆ど一気に読ませる。著者の凄いところは、マニアックとも言える細部への拘り随所に見られるものの、それが決して単なるマニア向けネタに終わらず、本ネタを知らない者にも興味深く読めるところ。そして、そのネタになった漫画を読みたいという気にさせられるところ。前作と同じく漫画好き必読の書。
読了日:5月28日 著者:ブルボン小林
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/29121265

■さよならアメリカ、さよならニッポン ~戦後、日本人はどのようにして独自のポピュラー音楽を成立させたか~
非常に刺激的で示唆に富んだJポップ論。ここまで日本の音楽とそれについて書かれた書籍に通じたアメリカ人がいるということに驚愕させられる。また、日本が速く他のアジアのどの国よりも欧米の音楽を吸収し、独自の音楽を創造し、それをいち早く欧米諸国へとフィードバックさせたということに改めて驚かされた。こういう歴史の究明を日本人がやるとナショナリズムに堕する危険性があるので、アメリカ人の手によってこういう仕事がなされたというのは意味があると言える。ただ、誤字脱字が目立つこと、また索引が不完全だったことが残念。
読了日:5月27日 著者:マイケル・ボーダッシュ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/29103759

■親鸞 決定版
これまで読んできた吉本の著作の中で一番とっつきにくかったというのが正直なところ。とにかくある程度仏教に通じていないと分からない人物名や専門用語が頻出しているのにもかかわらず、注釈が一切無いというのがちと不親切。今後版を改める際には詳細な注釈を付けて欲しい。それはともかくとして、親鸞という人間が当時の状況において、いかに仏教や世相に果敢に拘わったかということは理解できたように思う。特に印象的だったのは、息子が自分の思想に反する行動に出たというエピソード。先駆者というのは、常に苦悩を背負うものなんだな…
読了日:5月25日 著者:吉本 隆明
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/29030309

■木―なまえ・かたち・たくみ (平凡社ライブラリー)
誤解を恐れずに言えば、本当の愛国心とは、この本で言及されている日本の豊かな自然や伝統を愛することであって、国歌や国旗を無理強いすることではないのではないか?という気にさせられる。そして、日本古来の物が失われつつあることに幾度となく憂う本書が書かれてから早二十数年の月日を経た今、更に多くの大事な物を失いながらも、そのことに何ら危惧感を持たないまま、闇雲に経済発展に血道を上げる日本の政治家に「この本を読め!!」と言いたくなる。伝統を蔑ろにする保守など、最早保守の名に値しない。なぜそんなことに気づかないのか?
読了日:5月23日 著者:白洲 正子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28990299

■西田幾多郎随筆集 (岩波文庫)
解説にもあるように、哲学論文では晦渋…というより、意味不明とさえ言える文章を綴る著者が、それ以外の文章ではその純朴さひたむきさが伺える文章を綴っているのが非常に印象深い。恩師、数々の友人、教え子、そして幼くして亡くなった長女や長らく病床にあった妻に対する思いを綴った文章はとりわけ心に染みる。中でもその後の活躍を期待されながら夭折していった教え子への哀悼には、些か飛躍するようだが「歴史的必然とは一体何だろう?」という気にふとさせられる。また戦争へと歩む日本を危惧する書簡には昨今の状況もあって共感する所大。
読了日:5月22日 著者:西田 幾多郎
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28958151

■逢魔物語 (講談社文芸文庫)
タイトルからして、どんな内容なんだろう?と思って読んでみたが、現代におけるこわい話というテーマで書かれた短編集という他は、良くも悪くも著者独特の世界。女手一つで私生児を育てたり、不倫をしたり…言い方は悪いが日陰の世界で、色々と迷いながらも何とか地に足をつけて生きる女性達の姿が描かれる。個人的には冒頭に収められた「伏姫」における主人公葉子と近所に住んでいた明石との幼き日のエピソードに惹かれる。著者の他の作品でも似たようなエピソードを持つ物があるが、この手の話には妙に妄想をかき立てられるな(笑)。
読了日:5月18日 著者:津島 佑子
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28846074

■一私小説書きの日乗
まず驚かされたのが、テレビ出演の多さ。ここまでメディアに露出した芥川賞作家…しかも、前時代的な私小説家というのは、前代未聞ではないか?作品ではいかにも不器用で世渡りが下手という性格が強調されているが、意外にこの人したたか者ではないか?という気にさせられる。そして何と言っても魅力的なのが、著者の食事歴。メタボを端から無視しているとしか思えない無茶な食いっぷりは、小心に自分の体を気遣った食べ方しか出来ない者としては、ある種の憧憬さえ覚える…後、母校で講義した少女から手紙が来たという話にはホロっとさせられた。
読了日:5月18日 著者:西村 賢太
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28836177

■夜の樹 (新潮文庫)
解説にもある通り、著者には都会を舞台にした作品と田舎を舞台にした作品があるが、個人的には田舎を舞台にしたものの方がしっくりくるなと改めて感じた。特に最後に収められた「感謝祭のお客」は既に他の訳でも読んだが、主人公と従姉妹の老女との交流には、何とも言えず心温まる思いがする。また、田舎を舞台にしたと言っても、決して牧歌的と言えないのもミソで、「誕生日の子供たち」の悲劇的な結末など、何となしフィッツジェラルドの短篇を想起させられた。都会物では「無頭の鷹」における主人公と謎の女性との経緯が特に印象的だったか?
読了日:5月15日 著者:トルーマン カポーティ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28773654

■西田幾多郎―人間の生涯ということ (同時代ライブラリー (243))
他の感想にもあるように、確かに西田哲学の入門書には不向きではあるが、ある程度西田の思想や生い立ちを知っている者にとってはかなり興味深く読める。個人的には右寄りという印象を西田に対して抱いていたのだが、実は戦争や軍国主義に強い反感を抱きながらも、それを表だって言うことができなかったこと。また戦後は一変してあたかも戦争協力者であったかのごとく表されたというエピソードには少なからず驚かされた。このあたりは、更なる検証が必要なのかも知れない。また、様々な苦悩を背負った西田の人生を改めて垣間見ることになった。
読了日:5月14日 著者:上田 閑照
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28744469

■浮雲 (1972年) (岩波文庫)
言文一致を最初に実践した作品ということで、さぞかし古めかしくて読みにくい代物かと思えば、予想外に読みやすくて面白いので、かなりびっくりした。落語に影響を受けたというだけあって、軽妙でユーモラスな語り口が印象的で現在では多少意味が通じにくい箇所も気にせず読める。それにしてももどかしいのは主人公文三の優柔不断で子供じみた言動。官職を解かれたのなら、そこで心機一転新たな道を探すのがまず第一なのに、従姉妹のお勢との関係もあやふやなままずるずると居候住まいを続けながら、あれこれと思い悩む姿は一昔前のラブコメみたい?
読了日:5月13日 著者:二葉亭 四迷
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28716505

■ツァラトゥストラ〈下〉 (光文社古典新訳文庫)
上巻以上にさくさく読み進めることができたが、やはりその理解度は甚だ怪しい。聖書のパロディ、逆説、寓話的要素といった特色はある程度把握できるのだけれど、やはり詳しい注釈が欲しいところ。そこをあえて省いた訳者の意図もある程度理解できるのだが。そうして理解があやふやなまま闇雲に読み進め、訳者解説にまで行き着いた時、読者は「とりあえず読んでみることにこの書の意味はあるのだな」という気にさせられる。何せこの書の発表当時、チンプンカンプンと評されたというのだからさもありなん。気楽にニーチェに親しむのもありか?
読了日:5月12日 著者:フリードリヒ ニーチェ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28675440

■源氏物語論 (洋泉社MC新書)
非常に刺激に富んだ源氏論で殆ど一気に読み終えた。著者後書きに本書がどれだけ偏狭な国文学者に酷評されたかを綴っているが、それに対する著者の痛烈な反撃には胸がすく思いがする。個人的に特に興味深く読めたのは、宇治十帖について論じた「厭離論」。宇治十帖全体に漂う厭世観、虚無感、薫の宮が抱えている苦悩に苛まれる姿に何とも言えない共感を覚えた者として、薫が知らず知らずのうちに自分が憧憬する女性をいわば台無しにしてしまうという指摘には色々な意味で虚を突かれた思いがした。著者の生前寂聴と源氏について対談して欲しかった。
読了日:5月10日 著者:吉本 隆明
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28619981

■ツァラトゥストラ〈上〉 (光文社古典新訳文庫)
これまで何度か挑戦してきたが、その度に挫折してきた『ツァラトゥストラ』。この新訳では何とか上巻を読了。確かに読みやすい訳にはなっているが、決して理解しやすくはなっていないというのが、ニーチェたる所以か?おかげで、読了後殆ど何も頭に残っていない。それでも、何となし気になって読み進めたくなる。とりあえずは、こうやってニーチェの文章になれていくのが、ニーチェ哲学理解への近道かもしれない…?それから本文で「Geist」を「精神」と「幽霊」に訳し分けているが気になっていたが、これは訳者独自の訳し方とのこと。納得。
読了日:5月9日 著者:フリードリヒ ニーチェ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28579631

■遠い声遠い部屋 (新潮文庫)
これまで読んできた他の著作と同じく、鮮烈な文章、巧みな情景描写が印象的。ただ、他の著作にはない幻想的な要素がかなりあり、そこは個人的に今一つしっくりこなかった。また途中からややダレ気味なるのも残念。そこは著者が手を入れる余地があったのでは?という気がするのだが。それから、ジョエルと双子の姉妹の一人フローラベルとにもっと関係の発展があるのかと思っていたのだけれど、これも幾分肩透かしを食らった感じ。ただ、著者としては妹のアイダベルの方に重点を置きたかったのだろうけれど。そのアイダベルも終盤近くで消えたしな…
読了日:5月8日 著者:カポーティ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28564330

■同志社大学神学部
非常に興味深い内容で殆ど一気に読んでしまった。最初のほうで延々と引用が続いた神学部教授と学生運動家との討論にはやや辟易させられたが、同じ大学出身で、クリスチャンで、京都で大学生活を送り、今も神学に少なからず興味を抱いている者にとって、著者の学生時代の回想記は何とも言えない魅力を持つ。逆にそうではない人にとって、本書がどれだけの意味を持つのか?という一抹の疑念にも囚われるが。個人的にとりわけ興味深かったのは、カール・バルトを巡る一連の記述。ここで言及されているバルト神学の危うさに余計に興味を抱くことに。
読了日:5月5日 著者:佐藤 優
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28471901

■善悪の彼岸 (光文社古典新訳文庫)
一見したところ、読みやすい文章で、その文体に乗せられて、つい先へと読み進めてしまうのだが、いざその内容を問われると、答えに窮してしまう。また、所謂価値の転倒というか、常識の足揚げを取るような記述には、ある種のいじまじさを覚えてしまった。しかし、巻末の「本書の読み方について」を読んでみると、本書が思っていた以上に一筋縄ではいかない代物だということを思い知らされ、半ば愕然とすることに。特に本書の中で度々現れるハイフンにも、深い読みが要求されると言及される行には、自分の読みの浅はかさを思い知らされた次第。
読了日:5月4日 著者:フリードリヒ ニーチェ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28426285

■吉本隆明が最後に遺した三十万字〈上巻〉「吉本隆明、自著を語る」
吉本の入門書として、またファンにとっては吉本の歩みを改めて概観する際にうってつけの一冊ではないかと思う。僕自身、ここで言及されている著作の幾つかを読んできたのだけれど、結局何も理解できていなかったのでは?という思いに囚われると同時に、他の著作ももっと読んでみたいという気にさせられた。このあたり吉本が持つ魅力と懐の深さのような者が現れているのでは?また、畑は違うものの、熱心な吉本ファンであった渋谷陽一のインタビューもかなり的確で好感が持てる。これだけの言葉を引き出せたのは、渋谷だからこそできたことでは?
読了日:5月4日 著者:吉本 隆明
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28422811

■傾国子女
まるでジェット・コースターのような極端な上昇と下降を見せる主人公千種の人生。特にそれまで栄華を極めたかと思われた地点から、若き政治家織田 の裏切りに一矢を報いようとスキャンダルを暴露したのが裏目に出て、ひたすら落ちていく過程には、この先どうなるのだろう?と本当にハラハラさせられた。ついには殺傷沙汰を起こし、服役するも、服役後あっと驚くような返り咲きを見せたのにはちょっとびっくり。ただ、親友由里の死に立ち会う場面はさすがに痛ましかった。もしかすると、本当に千種が愛したのは由里だったのではないだろうか?
読了日:5月1日 著者:島田 雅彦
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/28354503


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