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2013年05月29日01:10

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イピーの研究テーマ〜K大編〜

Figure 1 APPとその分解機構のイメージ
Figure 2 研究に用いたsAPPαとそのアミノ酸配列
Figure 3 大型放射光施設SPring-8

K大を卒業した僕は今、O大にいます。というより別大学の大学院に行っています。他大学の大学院に行くということは学部時代の大学、K大とはまた異なる研究をしているということに他なりません。もし僕が大学院に進むという道を通らなかったら…面接ではどうなっていたのでしょうか。O大院の場合の面接については1月23日の日記を見てみてください。



面接官「まずはあなたのお名前と大学を教えてください」

イピー「イピー Aです。K大学理工学部で生命科学科に所属しています」

面接官「あなたが行っている研究テーマは何ですか」

イピー「はい!私の研究テーマは“β-アミロイド前駆体タンパク質の動的構造の解析”です!」

面接官「…これで面接は終わりです。本日はお疲れ様でした」

イピー「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!なんで前と全く同じネタにするんですか!」

面接官「もうなんですか。前と全く同じネタってなんですか」

イピー「いえ、なんでもないです。2013年1月23日の僕の日記「イピーの研究テーマ」と同じかと思いましたが、やっぱ気のせいです」

面接官「なんなんですか。あとその“アミロイド前駆体タンパク質”ってなんですか」

イピー「アミロイド前駆体タンパク質(APP)は大型のタンパク質です。あ、そうそう!タンパク質は英語でプロテイン…」

面接官「そうだよ」

イピー「淡泊ですね」

面接官「そうだね」

イピー「で、sAPPαは様々な役割を持つドメインが集まってできたアミノ酸602個つながった大型のタンパク質です。セクレターゼという酵素が分解することでアルツハイマー病の原因となるアミロイドベータを産生すると考えられています」

面接官「ふむふむ。イピーさんではそんなに分解が?」

イピー「いえ。分解には二通りあり、αセクレターゼによる分解を受けてからγセクレターゼによって分解されるとアミロイドベータは産生されません(Fig1の下の図)」

面接官「ふむふむ。ではイピーさんには違う分解が?」

イピー「もう一つの分解はβセクレターゼによる分解を受けてからγセクレターゼによる分解。こちらではアミロイドベータが産生されてしまいます(Fig1の中の図)」

面接官「ふむふむ。イピーさんではこちらの分解が…」

イピー「やかましわ!どんだけ僕をアルツハイマー病にさせたいねん!」

面接官「APPそのものはいったい何の役割を果たしているんですか!?(ドキドキwktk)」

イピー「それはズバリ!“わかりません”!」

面接官「…はい?」

イピー「わからないんです。APPはヘパリンという化合物や銅と結合するドメインを持っていて受容体や細胞同士の接着、銅の酸化還元などに関係するだろうといわれているんですが、詳しい役割はまだわかっていないのです」

面接官「…え、え〜と、それは弊社には何のメリットもないのでは?」

イピー「(ガン無視キリッ)私はこの不安定なsAPPαを発現、精製するプロトコールを見つけ出し、分解を最小限に抑えることに成功しました」

面接官「え?それだけ?」

イピー「いえ。精製したsAPPαの大まかな構造、大きさを測定するために兵庫県にあるSPring-8という大型放射光施設をお借りして、測定及び解析をすることにも成功しました」

面接官「スプリングェ…」

イピー「エイトヤァ…」

面接官「本日はお疲れ様でした。誠に申しあげにくいのですが、イピーさんの今後の就職活動を心よりお祈り申し上げます」

イピー「ご丁寧にありがとうございました。合否のご連絡をお待ちしています!」



イピー「やはり僕はO大院に行くべきじゃなかったのかもな…」


三行にまとめると
・APPからアルツハイマー病の原因であるアミロイドベータが出来うる
・Spring-8を用いて不安定なタンパク質の大まかな構造を測定できた
・学部も院も共通するのは「タンパク質」と「アミロイド」
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