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2013年04月30日23:46

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大切な事なので書き写してみた。

同人誌の売り上げを気にするヤツは死ねばいいと思った……『サンデーまんがカレッジ つくろう!同人誌』
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=53&from=diary&id=2412603
今回、紹介するに当たって再読して、あらためて内容の素晴らしさに気づいた。
『サンデーまんがカレッジ つくろう!同人誌』。
タイトルの通り「少年サンデー」編集部による同人誌の作り方をまとめたマニュアル本である。
この本が出版された1980年代前半「少年サンデー」が「同人誌グランプリ」なんて企画をやってたのも、今から考えるとすごいことだが、それはさておき、中で記されている内容は現代でも通用することばかり。
いや、今から同人誌を作ってみようかという人は、読んでおいて損のない内容である。
さくまあきらが構成を担当しているこの本。
当時の人気作家より石ノ森章太郎、新谷かおる、高橋留美子、岡崎つぐおの4人が同人誌時代を語った上で、実際の制作のレクチャーへと入っていく構成だ。
大人気の漫画家たちも同人誌をやっていた! イコール、同人誌はプロデビューへもつながる可能性を秘めている! という夢のある構成だ。
というわけで、夢を膨らませながらページを読み進めていくと……同人誌の第一歩として記されているのは「まずは会員を集めよう」というもの。
これは、注目すべきポイントである。今でこそ、個人サークルなんて当たり前になっているけれど、当時は同人誌というのは仲間同士で集まって制作するのが当たり前だったということが見て取れる。
なにせ、1行目に「同人誌をはじめるには、まず会員を集めなければなりません」と書かれているくらいだし。
そして、読者層を10代前半あたりに設定しているのか、仲間集めに関する説明がとても丁寧だ。
仲間を集める方法としては、雑誌読者欄への投稿が一番早い方法として懇切丁寧に説明されている。
さらに、注意事項の説明も微に入り細に入っている。
中でも「(雑誌に募集告知する場合)しっかりした書き方をしないと、あっという間に200人以上もの入会希望者が集まってしまうので、注意しないと大変なことになってしまいます」という一文は見事だ。
なにせ、夢を持たせながらも「サークルの方向性はちゃんと決めないとグダグダになっちゃうよ」と教えているわけなんだから。
注意事項では、募集する人の年齢もちゃんと考えるようアドバイスがなされている。
ちょっと引用してみよう。
「せっかく募集しても、入会希望者が5歳も6歳も年上ばかりでは、会の運営はなかなかうまくいきません。できれば、何歳以下の人を募集中と、明記したいものです」
どうだろう。
ここで書かれた内容を実践して出来上がるサークルは、かなり「本気度」の高いものではなかろうか。
ネタでマニュアルっぽく書いているのではなく、文章の端々から、ぜひサークルを設立してうまくいってもらいたいという執筆者の願いが見えてくる。
これらの記述から見えてくるのは、ここで目指されている同人誌が現在とはかなり異なるということ。
会員集めに続いて原稿の書き方、スケジュールの立て方などを解説したあと、「会員紹介のページをどうするか」という項目が設けられていることからも、それは明らかだ。
ここで執筆者は多くの文字数を割いて会員紹介の大切さを記す。
「同人誌を読んでいて、この本はいいなあと感じるときは、作品の出来はもちろんですが、会員紹介のページの良し悪しが左右することが多いのです。会員紹介のページが楽しそうで、ていねいに作ってある本は、まずいい本と思って間違いないようです。同人誌というと、どうしてもひとりよがりな作品が、掲載されている場合が多いものです。このような作品が、多く掲載されている本にかぎって、会員紹介のページがなかったり、あったとしても非常に冷たさを感じるページになってしまっているから不思議です。また、同人誌のなかには、絵はうまくないけれど、読んでいてあたたかみを感じる作品が多い本があります。各作家が一生けん命やって、チームワークもいいなあと感じる本もあります。こういう本の場合、必ず会員紹介のページがおもしろいのです」
この記述は、大上段に構えることなく同人誌がどういうものかを示している。
同人誌とは本来、コミュニケーションのツールである。
同人誌を通じて仲間と研鑽し合うこともできるし、即売会に参加することで同好の士や、いまだ見ぬ仲間との出会いも無数にある。
実のところ、人気があるとか売れるとかは同人誌においては、あまり重要な要素ではない。
「同人誌とは何か!」みたいに肩肘張って書き記すのではなく、「うまいヘタとか別にして、仲間と一緒にやったほうが楽しいでしょしいでしょ」と優しく教えてくれる点で、この本の価値は高い。
■本来の同人誌は、こういうものです
ここまで、本の内容を解説するというよりも、べた褒めするようなスタンスで記してみた。
というのも、このような懇切丁寧な記述を行っている本が現在では存在しないからだ。
この原稿を書くにあたってGoogleで「同人誌作り方」と検索をしてみて、アレッ? と思った。
原稿の描き方(サイズとかなんとか)や、印刷所への入稿の仕方など、技術を解説したものは無数にある。
しかし、基礎の基礎……「同人誌とはこういうものですよ」と、教えてくれるようなものは、ついぞ見当たらない。
「同人サークル 作り方」とかでも検索してみたのだが、Yahoo!知恵袋などでQ&Aはあるものの、サークルの立ち上げや運営を解説してくれるサイトも見当たらない。
近年では、同人誌を制作するに至る前段階としてネットで絵を公開するなり、同好の士と交流している人が多数派になっている。
いわば、同人誌を発行せずとも創作意欲が満たされたり、交流できる場は増えたわけだ。
それでも、コミックマーケットには3万を超えるサークルが参加する。
そして、その中で儲かっているサークルなんかほんの一部にすぎない。
それでも、大勢の人々がサークル参加をしているということは、大多数の人は、わざわざ解説されなくても同人誌はコミュニケーションのためのツールだと理解しているということだろう。
でもやっぱり、そうではない人はいる。
昨年、同人誌印刷会社の人から聞いた話だが、ポスターをスタンドの裏表ともに掲示して、背中側のサークルに「ウチのポスターが見えなくなるから、スタンドを立てるな」と要求して揉めたサークルがあったという。
なんだか、理解し難い出来事だが「自分のサークルの売り上げが下がったらどうする。ほかのサークルのことなんか知らない」という主張だったそうだ。
この事例は極端だとしても「同人……なんだよね?」と首をかしげることは、日常的にあるのではなかろうか。
先月だったか、同人誌が売れなくて死にたがっている人物とやらがネットで話題になったし、売れないマンガ家なんかが、即売会の売り上げで生活費のせせこましい計算をしているのも、よく聞く話だ。
別段、それが悪だとか愚かであるとか批判する気もないが、同人誌なのに人気や売り上げに一喜一憂していて、楽しいのか大いに疑問だ。
なにより、そんな意識で作った本なんて、どこか殺伐としていて読者にイヤな思いを与えるのではなかろうか。
前掲の「また、同人誌のなかには、絵はうまくないけれど、読んでいてあたたかみを感じる作品が多い本があります」の一文がすべてを語っている。
儲かろうが儲かるまいが、作っていて楽しい、人に喜んでもらいたいという根本的な部分を忘れたものが売れるわけもないだろう。
そうした人たちに向けて、書籍でもサイトでもいいから、ちゃんと基本を教えてくれるものは必要なのではないかと、筆者は考える。
もっとも、ホントに基本が必要な人は、入門書なんか読まないんだけどネ!
(文=昼間たかし/文中敬称略)
(日刊サイゾー)
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