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2013年03月06日19:07

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汚染水のはなし

東電、処理後汚染水の放出計画
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=2347181

僕の患者さんのお孫さんに、大学院で化学を専攻している方がいる。
その方は、子供の頃からとにかく理科が優秀で、高校生の時には化学の世界大会に出たこともあるらしい。

福島第一原発の事故で、過去に一度、低濃度とはいえ汚染水を海に大量放出したことがあった。
その時、その患者さんはお孫さんに、そんなことをして大丈夫なのかと訊いたらしい。
海が汚染されて大変なことになるのではないかと。

それに対してのお孫さんの答えは、こうだった。

「お祖母ちゃん、何言ってるの。海って、どれだけ広くて、どれだけ水があるかわかってる?
そんな広大な海に、原発の汚染水を流したところで、薄まってしまうから大したことないよ。」


この話を聞いた時、僕は違和感を覚えた。
そんなことをはたして、福島の方や福島第一原発周辺の太平洋で漁業をされている人に、面と向かって言えるのだろうか、と。

まあ、これは祖母と孫との間で交わされた会話だから、実際には面と向かっては言えないだろう。
だが、このお孫さんにとって、この言葉は本音なのかもしれない。

廃炉作業に於いて一番のネックになってくるのは、やはり作業の過程で発生する汚染水の処理であり、今も原発内に残されている使用済み燃料棒の取り出し及び保管場所なんだろう。

汚染水の場合、原子炉の冷却において、どうしても発生する以上、棄て場所がなければ、タンクに貯蔵しておくしかない。
しかし、廃炉作業の目処が立たない今、どこかでタンクの汚染水を処理してしまわなければ、どうしようもないのだろう。
近くに海があるなら、東電としてはいっそ海に流してしまいたいと思うのであろう。

過去に一度、東電は汚染水を海に放出している。
だから、僕はこのまま汚染水が増え続けると、どこかの段階で、東電はまた汚染水を海に放出すると言い出すんじゃないだろうかと思っていた。

何故なら、それが一番汚染水問題を解決するには、安易な方法だからだ。
そして、東電の中にも、冒頭のお孫さんのような考えの人がいるなら、放出に躊躇いもないだろう。

だが、本当に大丈夫なんだろうか。
トリチウムは、分離できないのなら、そのまま海に流すしかない。
いくら薄めてから流すと言っても、海に放出されるトリチウムの総量は変わらない。
これは、海に流してしまえば、薄まってしまうから大したことないという理論と同じだ。

この問題は原発推進や反対とは別の次元にある。
原発を反対することによって、日本の経済が大打撃を受けるというなら、海洋に汚染水を放出することで、福島沖で漁業をされている人は、大打撃を受けることになる。

だからこそ、安易に汚染水を放出することはあってはならない。
国は原発の推進の責任があるというなら、責任を持って、汚染水の問題を東電と考えるべきで、地元の漁協の納得のいく解決法を探るべきなんだろう。

それにしても、これから先も増え続ける汚染水については、皆が納得する解決法なんてあるのだろうか。
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