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2013年02月27日23:19

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大手前大学 「メディア文化」専攻 第2回公開研究会『アニメ×地方都市〜「マチ★アソビ」から考える〜』

2月2日(土)、大手前大学で開催された
「メディア文化」専攻 第2回公開研究会『アニメ×地方都市〜「マチ★アソビ」から考える〜』
に参加させていただきました。

フォト


(大手前大学HPより)
『「(アニメ)聖地巡礼」の認知とその経済効果が知られるにつれ、
アニメを活用した地域活性化事業が注目を集めるようになりつつあります。
今年度の研究会では、
アニメと関連したイベントとして特に注目を集める「マチ★アソビ」(徳島市)を事例として、
アニメと地方都市との関係について考えていきます。
「マチ★アソビ」は2009年10月からこれまでに計9回開催されていますが、
2012年9月22日〜10月8日にかけて開催された「マチ★アソビvol.9」では、
全国から50,000人を超える参加者が集いました。
本研究会では、
この「マチ★アソビ」の総合プロデューサーを務められております近藤光様をお招きして、
制作者、さらに徳島県出身者としてのお立場から
「マチ★アソビ」開催の経緯やイベントを通じたファンとのかかわりなどについて
お話ししていただく予定です。
他にも谷村ゼミの学生による研究発表等さまざまな企画を予定しております。
「マチ★アソビ」に関心がある方だけでなく、
アニメに関連して引き起こされる社会現象やその実情に関心がある方も是非ご参加ください。』


まずは、谷村要さん(大手前大学メディア・芸術学部講師)よる簡単な講演。


『「地球規模の地域間競争」
→地域をゆるがす社会の流動性

メディアコンテンツで場所を価値づける手法
→コンテンツツーリズム
→カギになるのは消費者(ユーザー)の情報行動

一方でコンテンツ業界では・・・

ビデオグラム出荷数→年々下がり気味
BD・DVDが売れない!』



そして、ufotable近藤光社長の講演へ。

今回、取材が入らないという事で、近藤社長はかなり「自由に喋られて」いて、
ネットに書けないような内容連発の「業界関係者トークイベント」状態でしたww

ですので、「書いたらまずい」と思われる、
あるいは、直接近藤社長から「書くな」と釘を刺された内容はカットしています。
それを差し引いても、「マチ★アソビ」や地方イベントについて考えるにあたって
非常に有意義なお話だと思います。




近藤光社長(以下・近)
「あ、ufotable近藤です、こんにちは。
えーと、ビデオグラムの出荷と町おこしが並べられるという不思議な光景を垣間見たのですが、
みんな、なんでそんなに売り上げとか好きなの?(場内笑)
先ほど、数字が下がって、って出たけど、
売り上げが下がったらダメなの?
あれ、何を根拠に作ってるか分からない。
製作費いくらかとか、みんな知らないでしょ。
だから、利益がどれだけか分からないじゃん。
製作費いくらかとか、ネットで検索して還元すればいいじゃん。

今、1万本が損益分岐点だと思う。
計算すれば出るよ。
でも、売り上げがいくらか、って、
放送するコストも違うでしょ。
1万枚の損益分岐点を行ってる作品って、ほとんどないじゃない。
だったらみんな赤字じゃん、って言うかもしれないけど、赤字なんです。(場内笑)
なんで、続いているんだろうね。
だから、会社どんどん潰れてるじゃないですか。
じゃあ、なんで作品が作られ続けてるかというと、
みんな、40分の1とかに賭けて勝負してるんですよ。



『マチ★アソビ』とメディアは全く関係ないです。
僕ら、不遇な世代なんですよ。
僕らの少し前は8ミリの時代があって、パソコンは早すぎる時代で、
機械を使うという事について、プロにはとても及ばない世代だったんですよ。
だんだんいい時代になっていって。
僕らが業界に入った時はアニメを観てもらえるのは、
放送と劇場とOVAしかなかったんです。
2000年代に入ってインターネットが普及して、発信場所が広がって、
自分が作ったものを人に観てもらう機会が広がったの。
でも、直接お客さんに観てもらう機会があまりない。



2000年くらいから、アニメ会社がどんどん上場したんです。
上場したら四半期決算しないといけない、
つまり、1年に4回結果を出さないといけないんです。
4クール全部結果出せ、と。
だとすると、発信する場所は都心に固まるんです。
最速で結果を出さないといけないから。
アニメ業界で四半期決算するのって難しいの。
『マチ★アソビ』を何で始めたかと言うと、
アニメ業界って言うか、僕が始めたのね。
観てくれてる人の顔が見れたら嬉しいなって。
観てくれてる人の顔が見れたらスタッフ元気出て、いい作品がつくれるんじゃないかと。

昔、ufotable cafe作った時に、
みんな『何考えてるんだ。』と言われたんです。
スタジオの1階にカフェがあって、階段登る時にお客さんの顔が見えるの。
『Fate/Zero cafe』やった時は、最高5時間待ちとかで、
それを見ながら僕ら会社に入っていくんだけど、
それを見たスタッフから、
『近藤さん、僕達頑張らないとね!!』と言われて。
『マチ★アソビ』もその延長で。

ufotableは、最初、友達の小さなアパートを借りて、
そこにテーブルを1個だけ置いて始めたんです。
その後、『もう会社作らないとまわらないよ。』と言われて会社を作りました。

ufotable徳島を作った理由は2つあるんですけど、
1つはやめましょう。
まず、いい物をつくって観てもらいたい、というのが僕の基本的な欲求なのね。
いい物をつくるにはどうすればいいか?
アニメつくるのは長い工程なんです。
よく建設業に例えられるんですけど、
いろんなところに発注して、その手掛けたところによってクオリティが変わってくるじゃない。
それをやりたくないと思って、
『ブラック★ロックシューター THE GAME』は全部社内でやりました。
そういうふうに社内制が進んでいって、
『Fate/Zero』もほとんど社内でつくってます。

アニメの会社って、ほとんどが西東京に、
中野から国分寺に集中してるんです。
僕達は見たものをインスピレーションして絵を描いていく訳じゃない。
だから、内装とかも気を遣ってたんだけど、
環境を変えようと思って。
最初に思いついたのは沖縄。
オーシャンビューのスタジオって他にないと思うんですよ。
僕達デジタルでつくってないんですよ。
全部紙なんです。
沖縄は郵便は翌日届かない。
僕らの業界、それじゃダメじゃん、っていう事になって。
徳島があるじゃんって思って。
僕は、この20年、ほとんど徳島に帰ったことがなかったんです。
だって、年末はコミケ、春は東京国際アニメフェアって。(場内笑)
つまり休みが無いんです。
そういう事を20年やってきましたので、
徳島がどうなっているのか全く分からなかったんです。
高度成長時代の日本はみんなそうだったんですけど、
ドブ川が広がっているけど、どこも人が溢れてた。
過疎化が進んでいるとは聞いていたけど、
行ってみたら、川はきれいになってたけど、人がすごく少なくなってた。

スタジオを作って、その時にいろんな方とお話したんですけど、
その中にたまたま観光協会の人がいて、
阿波おどりポスター製作の話が来て、
今思うと、よくやらせてくれたなー、と。
偉いのは、この人、何も言わなかったの。
『分からないから任す。』と。
そんな、度量の大きい人、普通いないですよ。
ただ、リテイクが2つだけ出たんですよ。
何だか分かります?
『笠の角度が阿波おどりの角度と合ってない』と、
あと、『眉山の電波塔の位置が合ってない』と。
それで、写真を撮ってきて、1ミリもずらさず電波塔ぴたっと合わせましたから。(場内笑)
その時、観光協会が『眉山山頂秋フェスタ』というのをやってて、
元々アニメイトさんとかと『マチ★アソビ』みたいなのやりたいね、という話はあって。
2009年7月の阿波おどりポスターの時点では、
『マチ★アソビ』の企画は立ってないんです。
凄いとんとん拍子に進んで。


『マチ★アソビ』始めて、変な事が起こってる。
凄い有名な漫画家さんから声かけられて、
『私、「マチ★アソビ」行きたいんです。
描き下ろしイラスト描いていきます。』
って言われて。


僕が一番こだわってるのは満足度なの。
さっき先生が戦いは世界だ、って話してたじゃない。
それ、とても難しくて、
『マチ★アソビ』に来てくれる人が一番多いのは徳島県内で、
2番目は圧倒的に東京なの。
徳島とほとんど変わらないくらい。
神奈川・千葉・埼玉入れたら徳島追い抜かす。
僕らエンタメ業界が東京を鍛えすぎちゃったの。
ここの人達ね、アクティブなの。
もう1つあって、東京しかアクセスできる場所がないの。
全部のハブが東京なの。
徳島の人は(海外へ行く時)関空行かない。
羽田へ行って、そこから海外へ行くんです。
関空は不便だと。
ハブとコンテンツ、両方作らないと意味無いんです。
やっぱりバスが一番人気なんです。
バスだけが地方から一気に徳島に来れる。
結局、東京が一番便利なんです。
だから、みんな東京でしかイベントできないんです。


『マチ★アソビvol.1』の時、
眉山山頂でしかできない事、何かなって考えて、
野外ステージって当時はあまり無かったよね、とか1個1個考えていって。

星海社の太田(克史)さんが羽田空港から僕をDISり続けてて。(場内笑)
岩上(敦宏)さんと高橋祐馬と、ずっと僕の悪口を言ってて、
行ってみたら山の上に人がいっぱいでびっくりした、と。

(「マチ★アソビ vol.9」のフライヤーを見て)
これはスポンサーじゃなくて、出展企業なんです。
皆さん、ほとんど自腹切ってやってます。
何で自腹切ってまで来てくれるのか。
この後ゼミ発表する人、そこを分かってほしい。
『ヱヴァ』の『Q』を観に行って、
『僕の人生変わるかな。』とか、『アニメ業界の事分かるかな。』とか思って観に行かないでしょ。
楽しみたいんです。
一緒。
みんな、行ったら楽しいから、っていうのがほとんどなんです。
みんな、同じ事言います。
ビジネスで行く訳ねーじゃん。
友達がどんどん集まって、いい場所になって。
バンナムの富澤さんとアニプレックスの岩上さんとニトロプラスのどいさんが夜飯食ってて、
『今、「まどマギ」やってるんですよ。』『ゲーム化していいですか?』
と言って決まったのが『まどマギ』のゲーム。
自分達も楽しまないと、いい作品つくれる訳ないんですよ。


僕らもどうやって楽しもうかと考えていろいろ実験しました。
『警備どうするんですか。』と言われた時に、
『やめてくれ。』って言ったの。
東京と同じ事やってどうすんの、と。
ユーザーと近い関係でやりたいから、ロープ張るのやめてくれ、と。
そういう事やりたいから、声優さん、そこ歩いててもついて行かないで、って最初に言った。
その結果、みんなついて行かない。
警備費がほとんどかからないイベントができた。


『業界関係者トークイベント』って参加した人います?
松山(洋)さんとヤマカンが訳の分からない事を延々と言い出して。(場内笑)
『絶対にTwitterに書くな。』って言ったら、みんな書かない。
どっても結束の高いイベントができて。


東京と違う事やらないと、みんな飽きてくるから。
羽田空港ジャックするの大変じゃん。
でも、徳島空港はできちゃった。
去年、台風の日があって、なぜか飛行機飛んでないのに
空港の中に人がいっぱいいるという不思議な状態ができて。


vol.3の時に『橋の下美術館』っていうのやったんですよ。
僕、あれがとても気に入っていて、
これでやっと山と川っていうのを大きな目玉でやれたんじゃないかな、と。



町の活性化とはなんぞや、と。
よく、経済効果とか集客力とかそういう話ばっかりするじゃない。
それ、そんなに大事?
人口が減ってる、減っていない、
みんなそればっかり議論するじゃない。
お金出して幼稚園作らなきゃとか、そうじゃなくて、
この町に住みたいかどうかだと思うんですよ。
その町に行きたい、住みたい、っていう町を
どうやって作っていくかという事じゃないかと思うんですよ。
凄くシンプルな事だと思ってるの。
本当にシンプルに考えたほうが町の活性化につながって行くんじゃないかと思います。
みんなで楽しい事やろうね、楽しい町にしようね、という事から始まった事なので、
僕から言える事は、『マチ★アソビ』に来て一緒に楽しんでください、
年に何本かパッケージを買って、何回か映画館にきてください、という事。
反応がなければ続けられないんで。
そういう世代になっていると思います。
『ufotable CINEMA』は、ufotableがやってるんじゃなくて、
来てくれるお客さん含めてやっていると思っているので。」



こうして、約1時間の講演は終了。


この後、谷村ゼミの学生による発表に続き、
近藤社長を交えたディスカッションへ。
ここは、本当に書けない話ばかりでした。(爆)

近藤社長の興味深いお話の中から、書いても大丈夫なお話を簡単に^^。




『今、アニメは普通の人しか観てないと思ってるんですよ。
今、CDが売れないって言うじゃないですか。
それに対してアニメファンは、僕らのつくっている物をリスペクトしてくれて。
皆さん偏見を持ちすぎなんですよ。
だから、いちいち、そんな偏見を持っている人に説明しないから。
なんで今『ガンダム』が売れるのか。
みんな、子供の頃観たからです。(場内笑)』



『徳島の人は歩かないんですよ。
車で何分というスケールで考えないと。
地方だから物価が安いと言うけど、物は東京が一番安いんです。
東京は物がハブになってるから、地方に送る交通費がかかるんです。
何が安いか、って言うと、土地代だけです。
それ以外は東京が一番安いです。
あれだけスーパーが乱立して、戦ってるからです。
なんで、それを地方だったら物が安いとか、環境がいいとかって、勝手に決め付けるのか。
実は税金も地方のほうが高いんです。
よく駐車場が無いっていうけど、東京のどこに駐車場があるんですか。(場内笑)』



『今の人に必要なのは情報を捨てる事かな。
8千本の大ヒットと刷り込まれてるけど、業界の人から見ると8千本は赤字なんだけどなー、と。
しょうがないよね、こういう時代だから。
だから、こういう場で、ufotable大変だからお客さん来てよ、と言って、
1人1人増やしていきます。(場内笑)』



『なんで徳島に飲食店が多いと思う?
人がいなくて空いてるところ多いから、店はじめやすいんですよ。
地方、店はじめるの簡単。
東京は難しいし、うるさい。
あれやっちゃダメ、これやっちゃダメって。
とくしまは、「どうぞ」。
美容院、地方多いでしょ。
独立しやすいから。
新しく作るのは東京のほうが安いんです。
なら、今あるものを利用しないと地方のメリットが無いんですよ。
高円寺、土地だけで50坪2億5千万だからね。
そう考えたら、物事が見えてくるでしょ。』



『(「マチ★アソビ」を他の場所で開催するとしたら、という質問に対して)
海外なら行きたい。
よく話するんだけど、海外しかないよねって。
海外行くなら言葉の問題もあるし、課題もあるし、行けないよね。
でも、海外では日本のアニメは本当に人気あるんです。
13万人、凄い人が来てくれて。
向こうはものづくりをやってる人が人気で、
僕とあおきえい、2人でサイン会したけど、2日間まるまるやっても終わらなくて。
でも、アメリカではアニメが売れない。
ありとあらゆる会社がアメリカに行って戻ってきてる。
向こうでの課題は、ユーザーはいるんです。
ただ、それを経済効果に結びついてないというのが現象です。
そういう事含めてどういうふうにやっていくかという事。
僕が楽しみにしてること。
日本のユーザーとアメリカのユーザーがつながってほしい。
これが次の課題。
これができると楽しい事になるよ。』



『(マチ★アソビでこだわっているのは)
規模というか、来てくれてる人がどれだけ喜んでいただけるか。
それは、アニメを観て喜んでくれるのと一緒。
例えば、○○○○が来ると何万人とか、そういうのは全然考えてないんですよ。
今度のvol.10、ゲスト全く発表しなくてやってもいいと思ってて。
でも、3万人は来てくれる。
○○○○で人が来たら『マチ★アソビ』じゃないじゃないですか。
○○○○のイベントじゃないですか。
だから、いろんなコンテンツを用意して、
たまたま好きな人が来てくれて、そこでいろんな作品や監督さんに興味を持っていただいて、
帰って観るとか、そういうふうになってほしい。』



『(「マチ★アソビ」が他の県だったり、アニメ以外のコンテンツだったら成功したか)
場所はあまり関係ないと思います。
大事なのは人なんですよ。
アニメで阿波おどりポスターをポンと任せられる人がいたって事が大事で。
まず人、ここがほぼ全部。
『マチ★アソビ』が成功したのって、奇跡だと思ってるの。
業界の超大物が徳島まで遊びに来て帰ってくれてるの。
本当にあのタイミングだったからできたイベントだと思います。
徳島に危機感があったから、やっちゃいけないっていう範囲が少ないの。
だから、あのタイミングで始まったからできたと思います。』

「お好み焼きを食べに行ったけど焼肉もおいしかった」というのはあるけど、
でもやっぱり、お好み焼きを食べに行ったらお好み焼きを食べたいじゃない。
だから、最低限裏切らないようにはしないといけない、とハードルは上がっています。』


こうして、合計約3時間強のプログラムは終了。

引き続き、近藤社長も交えた参加者の懇親会へ。

やはり、こういう場に来るだけあって、
「マチ★アソビ」歴戦のつわものや、聖地巡礼界の超大物様たちと、
いろいろ深いお話ができてとても濃ゆい時間でした。
昔からパク、、、もとい、参考にさせて頂いている大手巡礼サイトの管理人様数人と
お話できたのは嬉しかったですね、、、。


そして、場の流れ的に近藤社長のまわりに参加者が大勢集まって、
絶対にネットには書けない業界トークタイムへ、、、。(汗)

本当にお忙しそうな中、遅くまで残ってお話してくださり、ありがたかったです。


その後は、流れ的に近藤社長のサイン会へ、、、。
(お忙しい中、ありがとうございました、、、。)
フォト



近藤社長が帰られた後も、夜遅くまで懇親会は続き、
いろいろな方と「マチ★アソビ」トークで盛り上がり、「また徳島で。」とお別れ。

大学の公開講演会という形はとっていたものの、
まるで「マチ★アソビ」番外編とも言うべき熱くて密度の濃い1日でした!!
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