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2013年01月11日21:21

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アルミの山に立つ…。≪短編小説…。≫

団地がパズルになった、繋がる家繋がっていない家庭…。いつもある光景に少しずつ変化がやって来る、或る男と或る女…。毎日の生活に変化が訪れ彼らは旅に出る事になった…。「昔、お母さんと出掛けた先で別れる事になった母は家に帰りあたしは教室に行くその別れ際あたしは先に歩いているとふっと後ろを振り返ると母があたしの後姿を見続けていたあたしはその時から不安だった…。母がしがみついて来るんじゃないかって…。そして母が大嫌いになった…。」


団地の風景…、見慣れたはずのこの風景いつも誰かの家と隣り合わせアパートなんかより生活がどこの家と繋がってそうで親密感が湧くんだよ…。家には母親とこの前まで団地に住んでたけどもう居ない…、もう死んでしまった。男の俺が結局最後まで母親を介護して見送った。誰も頼る事なんて出来なくって世話をしてくれる介護ヘルパーくらいほんの少ししか愚痴を聞いてくれなかった。

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もう何年になるだろう母を介護して5年かもしくは7年くらい出逢った彼も陰ながら見守ってくれていたけどあたしの方から彼に連絡はしない…。彼が今のあたしに嫌気が差していつ彼から別れるって言われるかいつも不安…。だから彼が仕事を持っているし彼にいつ転機が来ても仕方ないって思ってる…。

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ついこないだ同じ境遇者の親子が死んでしまった…。親子は高齢者の母と娘だった。母は寝たきりそして彼女は介護で付ききりそしていつの間にか難病を抱えた母親は団地で息をひっそり引き取りそしてその娘は介護で衰弱して母を追うように亡くなった。誰も知らないひっそりした亡くなり方だった…。あたしも団地で暮らしているがどうなるか今もあたしは判らない…。

俺は、もう仕事が無い…。役所に任せっぱなしの人生しかない…。勿論、まだ少しは若い俺に役所も働けって言ってくるその度にラブホテルの清掃そして廃品回収をやって来た。今はこんなに不景気になってしまいアルミ缶を集めて金に換えている。アルミ缶は1kで100円単位だこんな稼ぎ方しか今は出来ない…。俺にはアレルギーがある子供の時からこの皮膚病でからかわれてまともに人と人間関係が作れない…。

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今日は役所の支給日だった保護を受けて介護生活が長い…、また不景気が深まったので受給者が増えてしまっている。今日、列に並んでいると前の男性の本の栞に気がついた本の間に誰かの女性の写真を挟んでいた。きっとお気に入りの昔の外国の女優かもとモノクロの写真だったのでそう思ったけど良く観たら日本人の女子高生のようだった。どこかで見つけて気に入ってしまったのかしら…。

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今日、役所に行ったら後ろに並んでた彼女なんだか綺麗な感じの女性だった…。前をしきりに気にしてたのは担当が彼女を早く呼ばないか気が落ち着かなかったんだな。列が長く早くこの人の列から外れて役所を出たかったんだろう。俺も早くあの人の列から出たかった。けど、今日の彼女なんだかもう少し一緒に並んで居たかった…。

「奈津子…、元気か?お母さんはどうだ?また何処かに息抜きに遊びに連れててやろう。奈津子はいつ暇になりそうだ?。」と彼から電話が半年振りに来た。「もしもし、覚えてくれてた?満夫さんの暇に合わせます。そちらで調整してください。」彼は落ち着いた感じで「そうか…じゃ今度展覧会に行こう…。この次の週の土曜日に行かないか?」と彼は打ち明けた。「はい、解りました。時間作って置きます。」とあたしは彼に返事をした。「迎えに行くよ。奈津子の団地の近くのバス停に車止めて待ってるよ。」彼は電話を切った。

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ネットで観た人体の不思議展は感動的だった。献体した人体を使って人体の標本を作るんだ。一つ感動的だったのは人体の皮を脱いだ標本だ。俺もこんな感じであの世に旅に出る時は子供の頃からのコンプレックスのこの皮を脱ぎ捨ててあの世に逝きたいもんだな…。この難しい本でアレルギーの事を知ろうと思ったがしかしあまりに難しすぎて解らない…。それでも俺の身体について俺は知りたいんだ…。

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「奈津子、何処へ行くんだい?そんなに綺麗なかっこして?」と母はなんとなく不機嫌そうにあたしに尋ねた。「ちょっと昔の友達からこないだ食事に行かないって誘われて少しよすぐ帰って来るから夕ご飯の支度には帰ってくるわ。安心して…。」あたしはなんとなく答えた。いつも監視する様に認知症の母は付きまとう感じが嫌だった。「奈津子、遅かったね。少し不安だったよ、来ないかなって…。」「うん、お待たせ。ちょっと母がね説得に時間が少し掛かったのすみません。」「いいよ、行こう。」とあたしが乗ると彼は車のエンジンを掛けて車を出した。

こないだ図書館に貼ってあった地域で作った手製の新聞の張り紙に可愛い女子高生のモノクロ写真が貼ってあった。俺はこの写真が気に入って剥がして持って行ってしまった。テレビを観ていたら子供の頃に良く見ていた特撮ヒーロー物の子供向け番組を観た。俺はすっごくはしゃいでテレビのヒーローに合わせて敵にとび蹴りをした。「イヤーァ、どうだぁ!スペシャルアッタック!」俺は大きな声で笑った。
  

彼は、今日ジオラマの展示会に連れて行ってくれた。世界の風景をミニュチアのジオラマで街を再現して小さな人々が町を歩いているかの様だった。横から街を眺めると特に風景が立体にした。「面白かった…。街の風景を上から観てるってあたし達もこの上から誰かに見られてるかしら?どこで何をして誰がどんな景色を醸し出してるか見ている人がいるのね…。」とあたしは彼の部屋に居た。「こんな風に奈津子と逢ってるって横から見てる誰かがいるのかぁ?」彼はニヤッと笑いなら宙を見た。彼の仕事が雲行きが良くないとあたしに告げた。



フォト身体の病で世間から外れてしまった男…。

フォト母の介護で結婚を逃しそうな女…。

アルミ缶を集めて廃品回収所に行った。「今日はこれだけ集めて来ました。どのくらいになります?」俺は社長に聞いた。「今日ね…。目方で測って3千円と500円かね?いいそれで?」
と社長は言った。「まぁ、それでお願いします。」俺は今日は体調も悪かったので軽く食事をして酒を飲んでそれで寝れたらいいやと思い頷いた。俺はアルミ缶を潰した山の上に立ったそこから観た風景は一面のアルミの山だった。俺はそのアルミの山を物凄い勢いで駆けて降りたそして俺が住んでる団地に向かって走った。

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あたしは彼の家でシャワーを浴びてゆっくりしていた。「この前ね、役所の支給日に受給者の列に並んだ時に前の男の人が難しそうな本を読んでたの岩波書店のアレルギーって本その本に栞で入ってたのが女子高生の写真だったのね。昔の思い出の彼女なのかしらね?なんだか写真の枠が切れてて写真にも折り目がついてたわ。」あたしは思い出した様に言った。「どこかで見つけて拾ったんじゃないの?男はそう言う所あるよ。」彼は眠りながら言った。あたしはもうそろそろ帰るしたく始めた。口紅を塗って化粧をして彼が送ってくれるのを待った。

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なんだかだるいな…。いつもより身体がだるい、なんだか寒くって風邪を引いてるのは解ってけどこの感じは随分続いてるなぁ。俺は身体がだるくって今は市販の風邪薬に頼ってる。自分がどうなっても構わないと思ってる。この身体が鬱陶しくってしかも俺は男もう頼る人も居ない。この身体が尽きたらこの身体を病院の献体にしてもらおう。俺は随分前にキリスト教会に行くようになった。あまり訪れる事はしない。あまり人に馴染めないから教会の人々も俺に馴染めないだろうってそうも思うからだ。俺の身体を病院で調べてもらって俺はキリストに認めてもらおう。俺は天国に行ってもう生まれ変わらないために身体をあげよう。

あたしは小さかった頃に男の子に殴られた覚えがある。げんこつで顔を殴られたその時のガツンと言うすっごい音がもう40近くなったあたしの記憶にまだある。その時に中年くらいの男の先生は「許してやれ。これから大きくなってどんどん罪を償って行くんだ。もっとあの子にも辛い思いをする事がある。」とあたしを諭したが殴られたあたしにも辛い苦難がやって来てた。「うそだぁーぁ、殴られたあたしも辛い思いをしてこんな生活みんな嘘だ−ぁ。」あたしは顔を手で覆いながら泣いた。その内お酒を沢山飲んで酔っ払って寝てしまった。
彼はガラス工芸の仕事を自分で立ち上げて会社をしていた。しかし、今は大金を払ってガラス工芸を買うよか100円ショップの簡単なガラスになって食器を買ってしまうので彼は苦境に立たされた。
 

 
団地の夜の風景が寒さをもっと醸し出すかのようにひっそりしながら別の家の灯りがぽつんぽつんと点いていた。俺は寒いながらに毛布をぐるぐる身体に巻きつけて灯油ストーブを着けていた。寝ながらまたアレルギーの本を読みながら寝ているとやっぱり写真の女の子が気になってしまった。こんな病気女の子は近寄ってこなかったがやっぱり思春期頃から女の子が気になった。テレビのドラマに出てくる様なそんな女の子が俺と付き合ってそんな事を考えたり。そんな期待があった時もある。しかし、身体がだるいな…。

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「社長、どうですか?まだ続けて行けそうですか?会社」と取引先の友人が満夫に尋ねてきた。「続けるよ、迎えにもうそろそろ行かなきゃならない女性を待たせてる。ここで仕事を無くしたら迎えに行けなくなる。そうすれば彼女が可哀想だ。無理しても続けるよ。こないだベネチアのガラス工芸が上手く取引先に受けて取引できそうだ。」満夫は厳しい顔をしながらも薄っすら笑みを浮かべた。彼とはイタリア語を趣味で習った時に教室で出逢ったあのイタリアの太陽の様な陽気な街が好きだった。そのお陰でカトリックの信者にもなった。

俺、ものすっごくだるい。風邪薬を飲んでも効かない。どうしたんだろう。風邪が酷くなってるな俺風邪でダメになるんだろうか?そうだこの時の為に書いておかなきゃな。なんだか息が苦しい熱で気が遠くなりそうだ…。

「奈津子、もうじき迎えに行く。お母さんの事は俺も考える、だから心配するな。」彼があたしのファクシミリの電話機に流してきた文面だった。彼が迎えに来るって本当に?待っていた奇跡が起こった。

一人の男が団地の一室で発見された。役所の担当が心配して訪ねて見つかった。警察が調べるとアレルギーと言う本の中から女子学生の写真とメモがあった。文面は「俺が死んだ後病院にこの身体をケンタイします。俺の身体を調べてください。」と書いてあった。男の身体は病院へ運ばれて身体を洗った後にアレルギーで赤黒く班点がありかさかさの乾燥して剥けた男の身体は丹念に調べられた。

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