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2012年10月30日17:41

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遠足での出来事

【男性編】遠足で「ある!」と思うものは? ランキング
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=95&from=diary&id=2205497

あの出来事は、大人になった今でも忘れない。

僕が小学校の低学年の時の遠足の話。

僕らの遠足は、クラス替えがあったばかりの春にあった。

遠足は、小学校の近くの山の中腹まで登り、そこでお弁当を食べて帰ってくるというものだった。
山といっても、小学校が登るような山だから、ハイキングコースみたいなものだ。

僕の母親は、それでも僕に山に登った後に、冷たいお茶が飲みたいだろうと、魔法瓶の水筒に冷たいお茶を入れて、僕に持たしてくれた。

僕が子供の頃の魔法瓶は、今のようにステンレス製のものではなく、ガラス魔法瓶だった。
ガラス魔法瓶の水筒は、水筒の内部にガラスが張ってある。
そのガラスが熱を逃がさないようにするのだが、欠点は、重いということと、落としたり、衝撃を与えると割れるということだった。

家を出る時、母親は僕に、水筒を落とすと割れるから、絶対に落とさないように、と言いきかせた。

僕は、水筒を大事に抱えるようにして、学校に登校した。

学校に着き、教室から集合場所のピロティに移動する時、僕は階段に躓いて転んだ。
大事に抱えていた水筒を廊下の床にぶつけた。

あっ!!と僕は思い、起き上がって水筒を少し振ると、水筒から、カラカラと音がする。
慌てて、水筒の中を覗くと、水筒の中で魔法瓶のガラスが割れ、お茶はガラスでキラキラと光っていた。

もちろん、お茶はガラスが混じっていて、とても飲めるようなもんじゃない。
その時に、僕は担任の先生に、このことを言えば良かったのだが、僕は恥ずかしくて言えなかった。
先生どころか、誰にも恥ずかしくて言えなかった。

そうして、僕らは遠足に出発した。
途中、何度か休憩があり、みんなは個々に水筒のお茶を飲んだ。
僕は、その間ガマンをした。

山の中腹に着き、そこでみんなで、弁当を食べた。
お茶のない弁当は辛かった。
何度か食べ物がノドにつかえて、苦しかった。

僕がそんな風にしていると、近くにいた男の子が僕が水筒に手をつけないのに気付いて、話しかけてくれた。
僕は、その男の子だけに、そっと打ち明けた。
お茶にガラスが混じって飲めないことを。

その男の子は、自分の残り少ない水筒の中から、お茶を一杯、僕にくれた。
僕は、嬉しくって涙が出そうだった。

男の子のくれたお茶は、今までに飲んだこともない、美味しいお茶だった。

その男の子のことは、残念ながら、誰だったか、今は思い出せない。

でも、あの優しさは、大人になった今でも忘れない。
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