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2012年09月04日23:03

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映画【情婦】 〜何のことはない勧善懲悪なのに、なに、この大傑作〜

午前10時の映画祭の青の50本のセレクト作品、みゆき座の終日上映のおかげで観る事が出来ました。

前知識全くなしで観て大正解。
(オープニングで、ビリー・ワイルダーの名前を見てテンション上がったくらいです)

すごく面白かったです。
法廷モノとしても、ミステリーモノとしても、屈指の名作だと思いました。

登場人物のそれぞれが、ちゃんとキャラが立っていて、誰一人、余分な人物がいないのが凄い。
ちょい役かと思える人物が、ちゃんと、ラストの二転三転に噛んでくるし、コメディ担当と思しき人物が、正論でラストを締めてくるのも素晴らしい。

オープニングやらエンディングやらで、『結末をしゃべるな、云々』というのは、てっきり『シックスセンス』とか『シャッターアイランド』の十八番かと思っていたのですが、どうやら、元祖はこちらの作品だったようで、ほんとに、本作の結末には、ビックラこきました。

冷静に考えれば、『理屈で裁けない相手が暴力で制裁される事に溜飲を下げる』図式の勧善懲悪ドラマなのに、ひねり方が巧くて、観客がそのことの怖さに気付く前に、気持ちよく終劇してるんですね。

ラスト5分くらいで二転三転して、ひねりまで入って、ちゃんと、着地まで決めている、さながら、内村航平の器械体操みたいな映画。
もう、これ以上、なにを書いてもネタバレで作品の魅力をスポイルしてしまいそうです。



この作品を観て、『女の敵は女』とか『ひとを呪わば穴ふたつ』とか『恋は盲目』とか、色々な慣用句だのことわざの類が頭に浮かんでは消えました。
その中から、あえて、次の言葉を選びます。


『リア充、爆発しろ!』
(観た方なら納得してくれる、はず…)


それから、邦題。
邦題の第一印象の悪さを指摘する声は大きいでしょうが、実際に観てみると、この邦題は、後からじわじわきます。
タイトルに二重の意味を持たせる例は少なくありませんが、実際に観てみて、その二重構造が判ってくるという芸の細かさに感心しました。
情婦が指しているのは、間違いなく、マレーネ・デートリッヒの役どころなのですが、観終わると、もう一方の存在があぶり出しのように見え隠れしてくる秀逸さです。
(これも、観た方なら納得してくれる、はず…)


映画の面白さの真髄とは、撮影技術やカラーや3D映像なんぞではなく、ずばり、『脚本と構成』であると再認識させてくれる傑作。
まだ観ていない方全員にオススメいたします。
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