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2012年09月03日06:43

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花と嘘。

花展を見に行った。
 私を招待してくださった方を何故か受付の人だと勘違いしていたが、実際はもっと偉い人だった…ドキドキ。
 花展と一口に言っても今回のは、いけばななので、私が作るアレンジメントとは違い、随分のびのびと生けてあると感想を述べたら、「アレンジは空間を埋めるもの」「いけばなは空間を生かすもの」だと教えてもらった。
「ところで、ちゃんと受付で私の名前をおっしゃって下さいました?」
 私は嘘をついた。400円の出費だった。が、私の嘘はあまり上手くなかった様だ。「ダメですよ、ちゃんとタダでお通ししましたのに」と言われたが「黙って休憩取ってきたので、三十分の時給をそのままそちらに、って事で」二つ目の嘘はバレなかった。私の時給はそんなに高くない。
「お花が好きなんですね」という私への感想に、嘘はつかず素直に自分がこうしている経緯を、好きで始めたことではないと簡単に話した。
「それでも、花の扱いを判ってると言うか丁寧だったから」そう評価され、つい出た三つ目の嘘は「この半年で好きになったからですかね」だった。



毎日海沿いの路線に揺られていながら、一度も海で遊ぶ事もなく、水着を見る事もなく夏が終わる。
 そんな事実や、下らないイライラを覚えては、鬱積をぶつける宛も、受け止めてくれる相手も居ないと判っている。
 自分にとって、それは誰であれば良いのだろう。思い浮かぶ顔は、私に笑顔を見せてはくれない。そして、そんな用途で他人に見せていた笑顔を汚そうとした己を自覚する。生まれ持った属性や醜さではない。今まで生きてきて自ら培って根付いてしまった、今ではもう落とす事の出来ない嫌らしい汚れを。
 だけれど、笑顔を見せてくれない理由は私が汚れていようがいまいが関係なく、ただ私では足りないからだとも判っている。それが私の生まれ持った値打ちであるとも。
 汚れは落とせず、足りない値打ちも補えず、求めるものは手に入れられない。生きる事はもはや諦めの領域だけで展開されていて、これから先も、そこから出る事は叶わない。車両内の強い冷房を浴びながら、停車駅の先に広がってはいても、この足で踏み締めることのない熱い砂浜を眺める。私が月に二万円を出している定期券はこの駅で降りる様にはなっていないから。
 そして、降車駅以外から降りようと足掻いたりしない自分は他人にとっても扱い易く、値打ちがあると知ってしまった以上、その事実に逆らう強さもなく、今しか感じられない夏の暑さを、車両内でやり過ごしていく。内側で膨れ上がった心を空調の風は冷やしてささくれ立たせる。鉄の車輪が擦れる耳障りな音はその心を撫ぜて、日々を、景色を流れ去らせる。

…なんて感傷的なこと書いたけど、何だか状況はそんな悠長な感じでもなく。しばらくは頑張るフリでもしていようと思う。

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