私は小中学生に勉強を教える仕事をしているのですが、
今日は中学生で和歌の部分だったのです。
万葉集、古今和歌集、新古今和歌集。
今と言葉がちがって、なじみのない言葉もたくさんある。
「 防人に 行くは たが背と 問ふ人を 見るがともしさ 物思もせず 」
なんて和歌を、
「防人ってのは、九州の守りを固めた兵隊さんのことね。基本的に単身赴任だから、奥さん子供をおいて戦いにいかなくちゃならないんだな。もちろん戦争があったら、生きて帰れるかわからないってんで、悲しいわけよ。でも、ダンナの晴れ姿だから、すっと後ろの方で涙をこらえて別れを惜しんでる場面。そしたらそこへ隣のオバハンが、『ねえねえ、あの人戦争に行くんですってねー。どこのダンナさんかしらねー。たいへんねー』とかのんきに話しかけてきたもんで、『あんた何の心配もしなくていいわね』って思いを、こっそり和歌に詠んだら、万葉集に採用されちゃってさー大変って歌だねー」
なんて具合にテキトーに説明しているわけです。
和歌の中で、現代の中学生にピンと来ない表現技法のひとつに、「枕詞」というのがあります。
ひさかたの→光
たらちねの→母
あをによし→奈良
あしびきの→山
ちはやぶる→神
なんていって、「特定の言葉の前において和歌全体の調子をととのえる言葉」とか説明しても、まぁピンと来ない。
そこで、「たとえばだなー」と言って、
「燃える闘魂 → アントニオ猪木」
とか、
「ゴジラ → 松井」
とか、10年前はそれで行けてたんだけど、だんだん苦しくなってきた。
もう猪木とか松井とかじゃ中学生知らないのね。
で、
「何かほら、選手のキャッチコピーみたいな、名前の前につける言葉みたいな、そんなのあるじゃんよ」
と言ってたら、生徒のひとりが、
「悪童 マリオ・バロテッリ みたいな?」
と言ってきたんだが、それはおれ知らない。(今ネットで名前確認して書いた)
そこで、私は、ピーンときちゃいましたよ。
「そうそう、自己紹介の前に、決まってつける言葉ね。たとえば、
えくぼは恋の落とし穴 百田夏菜子
とか」
と、思いついたと同時に口にしてしまうというこのバカっぷり。
生徒からは、
「なにそれ」
「だれそれ」
「あぁ」
「ももクロかよ」
とバラバラな反応があがり、
「あとほら、
泣き虫で甘えん坊なみんなの妹 玉井詩織
とか」
と重ねてダメ押し。
生徒からは、
「とか、じゃねーよ」
「なにそれ」
「だれそれ」
「ももクロだよ」
と声があがるという。
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もう少しももクロが一般的な人気を得たら、私の授業もラクになる。
ガンバレももクロ、そしてσ(▼▼;)おれ!
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