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2012年06月15日15:20

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仰げば尊し



 
昨日は桐朋時代の大恩師、山内泰雄先生のお通夜に行ってまいりました。



山内先生は生徒たちのおとーちゃん的な存在の、
ちょっとシャイで、とてもあたたかくてチャーミングな先生でした。

美食家で、美味しいお店をよくご存じで、
私も時々お食事に連れて行っていただいては演劇論などたくさん聴かせていただいたのに、
当時の私にはちんぷんかんぷんで、それでも一生懸命理解を試みていたら、


「ははは、今はまだわからなくてもいいんだよ。」


と、笑ってワインを勧めてくださいました(苦笑)

ほんと、あの頃の私はただ我武者羅で冷静さに欠き、
先生のお話の九割も理解できていなかったと思いますが、


「俳優はね、どんな汚れ役を演ったとしても、品格を損なってはいけないんだ。」


と、ハッキリと言葉にして教えてくださったのは
山内先生だったということだけは確りと覚えています。


「自分のタイプを決めつけずに、役を十全にこなしてこそ俳優なんだよ。」


というお言葉もとても印象深く、
先生の教えは今も私の仕事をする姿勢に大切な影響を与えてくださっていると実感します。


お通夜には同朋が多数出席して、
懐かしい話に花が咲き、ちょっとした同窓会のようになりました。
山内先生のご子息で、桐朋の後輩でもある大ちゃんが、
お父さんに声も雰囲気もソックリになっていてビックリ!
案の定、あちこちで

「似てきたねぇ〜」
「似てきたねぇ〜」

と、言われていたようです(笑)


そしてお通夜の帰りには後輩の詞葉くんとたまちゃんを誘って、
銀座に同期生のももちゃんのジャズライブを聴きに寄りました。
ももちゃん、相変わらず癒してくれます♪

わいのわいのとお酒を呑んで、いっぱい笑って、
山ちゃんこーいうの好きだから喜んでくれてるよね〜♪
と、都合よく解釈させていただいて、
ほんと内輪のプチお通夜をさせていただきました。


「山ちゃんの物真似よくやったよね〜」

「ちかちゃんが出欠とるときの
 『ムッシュ〜○○』『マドモアジェ〜ル○○』っての好きだったな〜(笑)」

「あべちゃんって、すんごい愛妻家だったんだよ〜」

「秀ちゃんは相変わらずエネルギッシュだったねぇ!長生きしてくれそーだよ!」

「エーソくんに久々に会ったら相変わらずの皮肉を言われちゃったよ〜(笑)」


などなど…
田中 千禾夫(ちかお)先生や阿部廣次先生や石澤秀二先生など
演劇界の大重鎮を“ちゃん”“くん”呼ばわりするとんでもなく失礼な教え子どもですが、
その親しみと尊敬と感謝の念ははかりしれません。

在学中は先生方の教えが半分もわかっていなかったことに、
卒業してから気づきました。

役と向き合うたび、人と向き合うたび、


「あぁ、あの時先生が仰っていたことはこういうことだったのか…!」


と、今更のようにストン、と、腑に落ちることが、正直今でもあります。


「役を魅力的に演じるためには、まず、人として魅力的にならなくてはならない」


と、私の胸に深く刻まれるこの想いは、
間違いなく桐朋時代の先生方から学んだことであります。


山内先生のお通夜をきっかけに、こんな風に改めて想いを言葉にできたのは、


「日常に流されずに、今一度、立ち止まって見つめてごらん。」


と、死して尚、
山内先生がこの愚鈍な教え子に教えを説いてくださっているような気がしてなりません。




「ははは、今はまだわからなくてもいいんだよ。」


の、ところから、どれだけわかるようになったのか…???



はぁ…先生、不肖の生徒でどこまでも及第点をいただけない私かもしれませんが(苦笑)、
先生の教えを見失わないように頑張ってゆきますので、
どうか空の上から見守っていてください。


そして天国でまた美味しいものいっぱい食べて、
先生らしく朗らかにお過ごしください。




山内泰雄先生、ほんとうにどうもありがとうございました…!









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